1. トンテキの基本をおさらい

トンテキとは、厚切り豚肉を使ったステーキ料理のこと。豚肉を意味する「トン」とステーキの「テキ」を組み合わせた料理のことで、トンテキの発祥地は三重県四日市市が発祥地とされている。また、四日市のトンテキは他と区別して「四日市とんてき」とも呼ばれている。ジューシーでうま味たっぷりの厚切り豚肉に、お好みのソースをかけて食べる非常に美味しい豚肉料理の一つといえる。
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2. なぜトンテキの肉が硬くなるのか?

トンテキにすると豚肉が硬くなってしまう主な原因には、加熱調理することでタンパク質変性が起きてしまうことや、水分が流出してしまうことなどが関係している(※1)。以下では、トンテキが硬くなってしまう主な原因について詳しく解説する。
原因1.タンパク質が変化してしまう
肉類などに含まれるたんぱく質は、加熱調理すると硬くなる性質がある。これは一般的に「タンパク質変性(熱変性)」と呼ばれるもので、例えば、肉の硬さに影響する「アクチン」は66~73℃程度で変化するという。そのため、高温で加熱調理するトンテキの場合も豚肉が硬くなってしまう。
原因2.豚肉の水分が流出してしまう
通常、強く押しても肉類の水分(肉汁)が出てくることはないが、加熱調理するとタンパク変性が起こり水分も流出してしまう。これによりジューシーさが失われて、硬くてパサパサとしたトンテキになってしまう。豚肉の水分を流出させないことも、トンテキを柔らかくするために必要といえる。
3. トンテキを柔らかくする3つの基本テクニック

前述の通り、トンテキが硬くなる原因にはタンパク質変性や水分の流出などが関係している。これらは基本的に加熱調理によって起きるため防ぐこと自体は難しい。しかし、以下に紹介しているようなテクニックを取り入れることで、豚肉の柔らかさをキープすることが可能だ。
その1.筋切りする/肉をたたく
トンテキを柔らかくしたいなら、豚肉の赤身部分と脂身部分に包丁で切り込みを入れて「筋切り」をするのがおすすめ。これにより加熱調理しても豚肉が収縮しにくくなり、柔らかくて美味しいトンテキに仕上がる。また、表面の繊維を断つために、包丁の背の部分で肉をたたくのもひとつの方法だ。
その2.料理酒などに漬け込む
食品の保水性には「pH(酸性・アルカリ性を表す単位)」も関係しているが、肉は最も保水性レベルが低いpH5付近とされている。そのため、酸性の料理酒やコーラなどに漬け込むのもおすすめとなっている。これによりpHが酸性に寄るため、保水性が上がり柔らかさをキープしやすくなる。
その3.小麦粉をまぶして焼く
トンテキは、豚肉をそのまま焼いても作れるが、小麦粉などをまぶしておくのがおすすめだ。これにより豚肉がコーティングされて、水分やうま味などの流出が防げるようになる。また、小麦粉をまぶすと調味料の味が染み込むため、より濃厚な味わいのトンテキを楽しめるようになる。
その他のトンテキを柔らかくするテクニック
・塩麹やヨーグルトに漬け込む:タンパク質分解酵素で柔らかくなる
・豚肉を事前に冷凍保存する:肉の細胞が壊れるため柔らかくなる
・常温に戻してから焼く:火の通り過ぎを防ぐことができる
・豚肉を事前に冷凍保存する:肉の細胞が壊れるため柔らかくなる
・常温に戻してから焼く:火の通り過ぎを防ぐことができる
4. 低温調理器で柔らかトンテキを作れる!

一般的にトンテキはフライパンやグリルなどで調理することが多いが、これではタンパク質変性により硬くなってしまう。これを回避するためのアイデアとして「低温調理」がある。低温調理とはお湯を40~60℃程度にキープして火を通す調理方法のことで、トンテキにも活用することが可能だ。もし挑戦したいなら、専門のレシピサイトなどで手順を確認しながら行うようにしよう。
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結論
ちょっとした贅沢料理として人気があるトンテキだが、そのまま焼くと硬くなってしまうことも少なくない。もし柔らかくてジューシーなトンテキを作りたいなら、ここで紹介したようなテクニックを試してみるとよいだろう。少し手間を加えるだけで、いつも以上に美味しいトンテキを楽しめるはずだ。
(参考文献)
- ※1:熊本県畜産協会「■加熱による食肉の変化」
http://kumamoto.lin.gr.jp/shokuniku/eiyochisiki/henka/kanetu_henka.html
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