1. エリンギについて

エリンギは、ヒラタケ科ヒラタケ属のきのこだ。コリコリとした独特の食感が特徴で、クセがなく食べやすい。日本では自生しないため、市場に流通するものはすべて人工栽培のエリンギである。
ヨーロッパ生まれのきのこ
エリンギはヨーロッパ地中海沿岸が原産のきのこで、ヨーロッパでは古くから親しまれてきた。セリ科の植物であるエリンギウムに生えることが、エリンギという名称の由来である。現在も、ヨーロッパ南部や中央アジアでは自生している。自生のエリンギは、日本で流通する人工栽培のものよりもカサが大きく、軸は小さいそうだ。
2. エリンギの栄養素

エリンギにはどのような栄養素が含まれているのだろうか。「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」(※1)より、エリンギ(生)の栄養成分を紹介する。
100gあたりに含まれる栄養
・たんぱく質:2.8g
・脂質:0.4g
・炭水化物:6.0g(食物繊維:3.4g)
・ミネラル類
・ナトリウム:2mg
・カリウム:340mg
・マグネシウム:12mg
・リン:89mg
・鉄:0.3mg
・亜鉛:0.6mg
・銅:0.10mg
・マンガン:0.06mg
・ヨウ素:1μg
・セレン:2μg
・モリブデン:2μg
・ビタミン類
・ビタミンD:1.2μg
・ビタミンB1:0.11mg
・ビタミンB2:0.22mg
・ナイアシン:6.1mg
・ビタミンB6:0.14mg
・葉酸:65μg
・パントテン酸:1.16mg
・ビオチン:6.9μg
・脂質:0.4g
・炭水化物:6.0g(食物繊維:3.4g)
・ミネラル類
・ナトリウム:2mg
・カリウム:340mg
・マグネシウム:12mg
・リン:89mg
・鉄:0.3mg
・亜鉛:0.6mg
・銅:0.10mg
・マンガン:0.06mg
・ヨウ素:1μg
・セレン:2μg
・モリブデン:2μg
・ビタミン類
・ビタミンD:1.2μg
・ビタミンB1:0.11mg
・ビタミンB2:0.22mg
・ナイアシン:6.1mg
・ビタミンB6:0.14mg
・葉酸:65μg
・パントテン酸:1.16mg
・ビオチン:6.9μg
エリンギ100gあたり90.2gを水分が占めており、エネルギー産生栄養素の含有量が少ない。そのため、カロリーは31kcalと低い。また、ミネラル類やビタミン類、食物繊維などさまざまな栄養素が含まれている。
3. エリンギの主な栄養と効能

エリンギに含まれる栄養素のうち、代表的な成分の特徴を紹介する。各栄養素により期待できる効果効能についても、併せて見ていこう。
食物繊維
エリンギ100gあたりに3.4g含まれる食物繊維は、摂取すると消化されず大腸まで届く栄養素である。エリンギの食物繊維はほとんどが不溶性食物繊維だ。腸内で水分を吸収し、便のかさを増やす働きにより排便を促すため、便秘の予防や改善に効果がある。また、便を作る際に有害物質を吸着させたり、善玉菌のエサとなったりすることで、腸内環境の改善にも役立つ。(※1、2)
ビタミンB1
ビタミンB1は、エリンギ100gあたりに0.11mg含まれる(※1)。糖質をエネルギーに変える重要な役割を持つ栄養素である。エネルギーを作り出すために欠かせないため、不足すると疲労や食欲不振などの症状を招く。さらに深刻になると脚気や脳障害などにつながるため、注意が必要だ。適量を摂取することにより、疲労の回復、脚気などの予防効果が期待できる。(※3)
ビタミンB2
ビタミンB2は、エリンギ100gあたりに0.22mg含まれている(※1)。エネルギー産生に関与する酵素を助けるほか、発育や成長を促す働きもある栄養素だ。また、皮膚や粘膜の健康を保つために役立つ。そのため、口内炎や口角炎、角膜炎などの予防や改善が期待できる。(※4)
ナイアシン
ナイアシンはビタミンB群に含まれる栄養素で、B1やB2と同様にエネルギー産生に関与している。さらに、脂肪酸の生合成やDNAの修復・合成、細胞分化などにも補酵素として関与し、幅広い役割をもつ。エリンギ100gあたりには6.1mgのナイアシンが含まれ、成人が一日に必要とする量の約半分を賄える。ナイアシンを十分に摂取することで、ペラグラの症状(発疹や口舌炎、下痢、神経障害など)を予防できるといわれている。(※1、5)
ビタミンB6
ビタミンB6は、主にアミノ酸代謝の補酵素として働くほか、免疫機能の維持や赤血球のヘモグロビンの合成や神経伝達物質の合成などにも作用する。皮膚や粘膜を健康に保つ効果や、貧血を予防する効果も期待できる。エリンギ100gあたりのビタミンB6含有量は0.14mgである。(※1、6)
ビタミンD
エリンギ100gあたりには1.2μgのビタミンDが含まれている。きのこ類に多く含まれるビタミンDは、主にカルシウムとリンの吸収を促す働きのある栄養素だ。そのためカルシウムとともに摂取することで、骨や歯の形成、維持に役立つ。骨粗しょう症などの予防にも効果があるといわれる。また、神経伝達や筋肉収縮を正常に維持する作用もある。(※1、7)
カリウム
エリンギに含まれるミネラルのなかでも、カリウムは100gあたり340mgと多い(※1)。カリウムの主な働きは、細胞の浸透圧を維持する作用である。また、神経刺激の伝達や心臓・筋肉の機能調節などさまざまな役割をもつ。ナトリウムの排出を促す作用があり、血圧を下げる効果が期待できる。(※8)
アスパラギン酸
アスパラギン酸とは、たんぱく質を構成する20種類のアミノ酸のうち、体内でも合成される非必須アミノ酸の一つである。食物ではアスパラガスに多いが、エリンギ100gあたりにも180mgのアスパラギン酸が含まれている。たんぱく質の合成に欠かせないほか、神経伝達物質としても働く。疲労回復や代謝促進などの効果も期待できる成分といわれている。(※9、10、11)
4. エリンギの栄養をしっかりとる料理法

エリンギの効果効能を高めるには、栄養を効率的に摂取し吸収をよくする必要がある。そこで、エリンギの栄養を取り入れやすくする料理のコツを紹介しよう。
油をつかう
エリンギに含まれるビタミンDは、脂溶性ビタミンである。そのため、油をつかって調理することで、吸収率を上げることができる。炒め物や揚げ物、油脂入りドレッシングを使用するホットサラダなどがおすすめだ。また、エリンギを大きめにカットし、短時間で加熱することで、ビタミン類など加熱に弱い栄養素の減少をある程度抑えられる。(※1、7、12)
汁ごと食べられる料理
エリンギにはビタミンB群も含まれるが、水溶性ビタミンのため茹でると流出してしまう。そこで、スープにして茹で汁ごと食べるとよいだろう。流出した栄養も摂取することができて効率的である。(※1、12)
結論
エリンギには食物繊維やビタミンD、ビタミンB群、カリウムなど、さまざまな栄養素が含まれている。水分が多いため栄養含有量は少なめだが、低カロリーで食べやすいため、日常的に食事に取り入れてはいかがだろう。エリンギの栄養を効率的に摂取するには、油を使った料理や汁物がおすすめである。ほかの食品と組み合わせて足りない栄養素を補いながら、美味しく食べよう。
(参考文献)
※1、9出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」きのこ類/(ひらたけ類)/エリンギ/生
※1:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=8_08025_7
※9:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=8_08025_7&MODE=4
※2~8、10出典:公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット
※2:食物繊維の働きと1日の摂取量
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/shokumotsu-seni.html
※3:ビタミンB1の働きと1日の摂取量
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-b1.html
※4:ビタミンB2の働きと1日の摂取量
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-b2.html
※5:ナイアシンの働きと1日の摂取量
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-niacin.html
※6:ビタミンB6/B12の働きと1日の摂取量
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-b6.html
※7:ビタミンDの働きと1日の摂取量
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-d.html
※8:カリウムの働きと1日の摂取量
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-k.html
※10:三大栄養素のたんぱく質の働きと1日の摂取量
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/tanpaku-amino.html
※11出典:医療法人社団協友会 彩の国東大宮メディカルセンター「栄養士だより」58.アスパラガス
https://shmc.jp/public/letter/page.html?did=94
※12出典:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「健康食品の安全性・有効性情報」ビタミンについて
https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail178.html
※1、9出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」きのこ類/(ひらたけ類)/エリンギ/生
※1:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=8_08025_7
※9:https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=8_08025_7&MODE=4
※2~8、10出典:公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット
※2:食物繊維の働きと1日の摂取量
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/shokumotsu-seni.html
※3:ビタミンB1の働きと1日の摂取量
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-b1.html
※4:ビタミンB2の働きと1日の摂取量
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-b2.html
※5:ナイアシンの働きと1日の摂取量
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-niacin.html
※6:ビタミンB6/B12の働きと1日の摂取量
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-b6.html
※7:ビタミンDの働きと1日の摂取量
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-d.html
※8:カリウムの働きと1日の摂取量
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-k.html
※10:三大栄養素のたんぱく質の働きと1日の摂取量
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/tanpaku-amino.html
※11出典:医療法人社団協友会 彩の国東大宮メディカルセンター「栄養士だより」58.アスパラガス
https://shmc.jp/public/letter/page.html?did=94
※12出典:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「健康食品の安全性・有効性情報」ビタミンについて
https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail178.html
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