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つるむらさきに毒性はない!注意ポイントと美味しく食べる方法を紹介

つるむらさきに毒性はない!注意ポイントと美味しく食べる方法を紹介

投稿者:ライター 佐々木このみ(ささきこのみ)

監修者:管理栄養士 佐々木倫美(ささきともみ)

鉛筆アイコン 2021年10月27日

つるむらさきはあまり一般的な食材ではないため、扱い方を知らない人も多く、毒性があると誤解されやすい。ただし、食べ方には注意が必要な野菜でもある。本記事では、つるむらさきとはどのような野菜なのか、安全性や栄養成分を中心に解説していく。また、基本の調理の仕方についても紹介する。

  

1. つるむらさきの基本情報

つるむらさきは、東南アジア原産のつる性植物で、葉野菜の一種として扱われている。東南アジアや中国を中心に広く栽培され、日本でも家庭菜園で育てやすい野菜として人気を集めている。茎が紫色のもの(赤茎)と緑色のもの(青茎)があり、いずれも夏に旬をむかえる。

ほうれん草やモロヘイヤと似ている

見た目はほうれん草やモロヘイヤに似ており、おひたしや野菜炒めなどによく使われる点も共通している。とくに、つるむらさきとモロヘイヤは、見た目のほかにも旬の時期や粘りのある食感など共通点が多く、間違われやすい。大きな違いは原産地だ。つるむらさきが東南アジア原産であるのに対し、モロヘイヤは北アフリカ原産の野菜である。

2. つるむらさきに毒性はない

つるむらさきに毒性があるというのは誤解で、モロヘイヤとの混同が原因と考えられる。

モロヘイヤに毒性がある

収穫され野菜として扱われているモロヘイヤには、毒性はなく安全だ。しかし、モロヘイヤの種子に含まれるストロファンチジンという成分が、強心作用をもち身体に有害である。成熟した種子に多く含まれるが、成熟種子のさや、成熟中の種子や発芽から日の浅い若葉などにも含まれる。このような部位を誤って摂取すると、めまいや嘔吐などの中毒症状が出る。そのため、家庭菜園でモロヘイヤを栽培する場合は、誤食しないよう注意が必要だ。(※1、2)

つるむらさきも注意が必要

つるむらさきには毒性はないが、摂取に注意が必要な成分がある。モロヘイヤ、ほうれん草、小松菜などの葉野菜に含まれるシュウ酸だ。アクの成分で、葉野菜だけでなく紅茶やタケノコ、バナナなど、さまざまな食品に含まれている。えぐみがあるだけでなく、摂取し過ぎると尿路結石の原因となるため気を付けたい。つるむらさきなどの葉野菜は、調理の工夫によりシュウ酸を減少させることができる。(※3)

3. つるむらさきの栄養成分

「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」(※4)によると、つるむらさき(茎葉、生)に含まれる主な栄養素と100gあたりの含有量は下記の通りである。
・たんぱく質:0.7g
・脂質:0.2g
・炭水化物:2.6g(食物繊維:2.2g)
・カリウム:210mg
・カルシウム:150mg
・マグネシウム:67mg
・β‐カロテン:2900μg
・ビタミンK:350μg
・ナイアシン:0.3mg
・葉酸:78μg
・ビタミンC:41mg

健康維持に最適

つるむらさき(※4)は、重量の95%を水分が占めており、100gあたりわずか11kcalの低カロリーな野菜だ。エネルギー源とはならないが、ミネラル類やビタミン類、食物繊維を含み低糖質でもある。
ミネラル類では、ナトリウムの排出を促し血圧を下げる効果のあるカリウム(※5)や、骨や歯の形成、維持に欠かせないカルシウム(※6)の含有量が多い。
ビタミン類ではとくにβ‐カロテンが多く、ビタミンK、ビタミンB群やビタミンCなども含む。β‐カロテンは体内でビタミンAに変換され、主に目や粘膜の健康を保つ働きをする(※7)。また、β‐カロテンやビタミンCには抗酸化作用があり、活性酸素の発生や働きを抑えることから、疾病の予防やアンチエイジング効果が期待できる(※8)。
さらに、食物繊維には便秘を改善し予防する効果があるほか、腸内環境の改善にも役立つ(※9)。 

4. つるむらさきの赤い斑点は病気じゃない

スーパーや八百屋などで購入したつるむらさきに、小さな赤い斑点が見られることがあるかもしれない。病気が原因のように思われがちだが、購入後のつるむらさきに斑点が見られても、ほとんどの場合は問題なく食べられる。

斑点ができる理由

夏が旬のつるむらさきは、暑さには強いが耐寒性がない。そこで寒さから身を守るために、色素を蓄える習性があるそうだ。その色素が葉や茎に集中すると、斑点として表出するのである。ほかの野菜でも似たような現象が見られることは少なくない。ただし、家庭菜園などで栽培中のつるむらさきに斑点が見られる場合は、菌類が原因の紫斑病(※10)という可能性もあるため、注意が必要だ。

5. つるむらさきの料理方法

つるむらさきはおひたしや炒め物など、ほかの青菜と同様にさまざまな料理に使用することができる。ただし、シュウ酸が気になる場合は、アク抜きをしてから使うとよいだろう。

基本は茹でる

熱湯でつるむらさきをサッと茹でるだけで、シュウ酸をある程度取り除くことができる(※3)。鍋に湯を沸かし塩を加え、つるむらさきを片面30秒ずつ茹でればOKだ。水溶性ビタミンなど栄養素の流出をできるだけ抑えるには、茹で時間を長引かせないことが重要である(※12)。また、茹でたらすぐ冷水にあげることで、色や食感を保つことができる。水気をきってから料理に使おう。

お湯に塩を入れる理由

塩には、つるむらさきなどの緑黄色野菜に含まれる葉緑素(クロロフィル)を安定させる効果がある(※12)。そのため、塩茹でにすることで、つるむらさきの緑色の鮮やかさを保つことができるのだ。

結論

つるむらさきは、種子を中心に毒性のあるモロヘイヤとよく似ているため、毒性のある野菜と誤解されやすい。毒性はないが、尿路結石の要因となるシュウ酸を含むため、サッと茹でてアク抜きをしてから調理すると安心だ。β‐カロテンをはじめさまざまな栄養素を含むため、日常的に食卓に取り入れたい野菜である。
(参考文献)
※1出典:農林水産省 消費者相談「家庭菜園でモロヘイヤを栽培していますが、モロヘイヤの種に毒があると知りました。詳しい内容を教えてください。」 
https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/2004/01.html
※2出典:食品安全委員会 Q&A詳細
https://www.fsc.go.jp/fsciis/questionAndAnswer/show/mob07012000006
※3出典:公益財団法人日本医療機能評価機構 3再発予防
https://minds.jcqhc.or.jp/n/cq/D0003085
※4出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」野菜類/つるむらさき/茎葉/生
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06165_7
※5~9出典:公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット
 ※5:カリウムの働きと1日の摂取量
 https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-k.html
 ※6:カルシウムの働きと1日の摂取量
 https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-ca.html
 ※7:ビタミンAの働きと1日の摂取量
 https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-a.html
 ※8:抗酸化による老化防止の効果
 https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/rouka-yobou/kousanka-zai.html
 ※9:食物繊維の働きと1日の摂取量
 https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/shokumotsu-seni.html
※10出典:全国農村教育協会 病害虫・雑草の情報基地「ツルムラサキ紫斑病」
https://www.boujo.net/release/byougai-release/%E3%83%84%E3%83%AB%E3%83%A0%E3%83%A9%E3%82%B5%E3%82%AD%E7%B4%AB%E6%96%91%E7%97%85.html
※11出典:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「健康食品の安全性・有効性情報」ビタミンについて
https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail178.html
※12出典:一般財団法人日本educe食育総合研究所「料理のコツを知ろう①~茹でる~」
https://www.educe-shokuiku.jp/news/food/yuderu/
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  • 更新日:

    2021年10月27日

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