1. キャベツに含まれる食物繊維

キャベツは食物繊維を含む野菜だが、含有量はどのくらいなのだろうか。レタスとも比較しながら確認しよう。
食物繊維の量
「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」によると、キャベツ(※1)とレタス(※2)、それぞれ100gあたりに含まれる食物繊維量は下記の通りである。
- キャベツ:1.8g(水溶性食物繊維0.4g、不溶性食物繊維1.4g)
- レタス :1.1g(水溶性食物繊維0.1g、不溶性食物繊維1.0g)
同じ重量で食物繊維量を比較すると、キャベツのほうがレタスよりもやや多いが、ほぼ同じくらいである。キャベツに含まれる食物繊維の割合としては、不溶性食物繊維が8割以上を占め、水溶性食物繊維は少ない。
水溶性と不溶性の食物繊維
水溶性食物繊維とは水に溶けやすい食物繊維で、溶けるとゼリー状に変化する。小腸で栄養素が吸収される速度を緩やかにする働きがあり、食後血糖値の上昇を抑える効果が期待できる。コレステロールやナトリウムを排出する作用もあるため、血中コレステロール値や血圧を下げるのにも役立つ。
不溶性食物繊維は水に溶けにくく、水分を吸収しながら主に便のかさを増やす働きをする。水溶性食物繊維と同様に、有害物質を吸着させ排出する作用があり、善玉菌のエサにもなる
ため、腸内環境の改善に効果があるといわれている。(※3、4)
ため、腸内環境の改善に効果があるといわれている。(※3、4)
2. 食物繊維の摂取量と体のサイン

キャベツを100g食べて摂取できる食物繊維量は、1.8gである(※1)。では、実際に必要とされる食物繊維量はどのくらいなのだろうか。
不足している食物繊維
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」(※5)では、一日あたりの食物繊維の目標量を下記のように設定している。
- 男性 18~64歳:21g以上、65歳~:20g以上
- 女性 18~64歳:18g以上、65歳~:17g以上
仮にキャベツのみで一日の目標量を満たそうとすると、1kg以上の量を食べなければならない計算だ。キャベツに含まれる食物繊維量は少ないため、ほかの食品と組み合わせて摂取する必要があるだろう。日本人は食物繊維が常態的に不足しがちなため、積極的な摂取が推奨されている(※3、6)。
体のサインに注目
食物繊維を十分に摂取できているかということは、排便の状態からもチェックすることができる。目安としては、規則的な排便が一日に一回あり、一日あたり約150g(Mサイズの鶏卵約3個分)の排便量とされている(※6)。つまり、排便数が一日に一回を下回る場合や、排便量が目安を下回る場合は、食物繊維が不足しているということだ。
便秘には水溶性か不溶性か?
食物繊維の不足は、便が硬い、便が出にくいなど、便秘の原因となる。便秘になってしまった場合も、改善するために食物繊維の摂取が有効である。便秘の際には、とくに水溶性食物繊維がおすすめだ。硬く出にくい便の排出をスムーズにしてくれる。便のかさを増す不溶性食物繊維ばかりを偏って摂取すると、便が硬いまま大きくなり排便しにくくなってしまう可能性がある。適度な脂質や水分なども便秘に効果的なため、併せて摂取しよう(※3、7)
キャベツには水溶性食物繊維がほとんど含まれていないため、ほかの食品からおぎなう必要がある。たとえば、100gの茹でごぼうには6.1gの食物繊維が含まれており、半分以上(3.4g)を水溶性食物繊維が占める(※8)。このような食物繊維を多く含む食品を日常的に摂取するとよいだろう。
3. キャベツの食物繊維を効果的にとる方法

キャベツは100gあたり92.7gを水分が占めており(※1)、食物繊維を摂取するのに効率的な野菜とはいえない。しかし、調理の際に下記のように工夫することで一度に食べられる量が増え、結果的に食物繊維の摂取量を増やすことができる。
塩もみをしてかさを減らす
キャベツを細切りなどにカットして、塩を少々ふって手でなじませたらしばらく置いておこう。キャベツから水分が出て、手で絞るとかさが減る。生のままコールスローサラダや和え物などで食べると、一度にかなりの量のキャベツを摂取することができる。また、塩もみしたキャベツは餃子やお好み焼きの具などにも使える。
加熱をする
キャベツを加熱調理するとかさを減らせるうえ、食感が変わり甘みも出て食べやすくなる。野菜炒めやホイコーローなどの炒め物、蒸しキャベツ、スープなど、さまざまな料理に使える。鍋の具材にしてもよいだろう。
結論
キャベツには食物繊維が含まれるものの、含有量は少ない。そのため、キャベツのみで必要量を満たすことは難しく、食物繊維が豊富なほかの食品からも補う必要がある。また、効率よく摂取するには、塩もみや加熱調理でかさを減らし一度に食べられる量を増やす工夫も役立つ。便秘の際は、水溶性食物繊維の補給や適度な脂質の摂取なども意識しよう。
(参考文献)
※1、2、8出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
※1:野菜類/(キャベツ類)/キャベツ/結球葉/生
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06061_7
※2:野菜類/(レタス類)/レタス/土耕栽培/結球葉/生
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06312_7
※8:野菜類/ごぼう/根/ゆで
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06085_7
※3出典:公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット
「食物繊維の働きと1日の摂取量」
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/shokumotsu-seni.html
※4、6、7出典:厚生労働省e-ヘルスネット
※4:食物繊維
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-016.html
※6:食物繊維の必要性と健康
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html
※7:便秘と食事
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-010.html
※5出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
※1、2、8出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
※1:野菜類/(キャベツ類)/キャベツ/結球葉/生
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06061_7
※2:野菜類/(レタス類)/レタス/土耕栽培/結球葉/生
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06312_7
※8:野菜類/ごぼう/根/ゆで
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06085_7
※3出典:公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット
「食物繊維の働きと1日の摂取量」
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/shokumotsu-seni.html
※4、6、7出典:厚生労働省e-ヘルスネット
※4:食物繊維
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-016.html
※6:食物繊維の必要性と健康
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html
※7:便秘と食事
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-010.html
※5出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
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