目次
1. 黒豆がおせちに入っている意味

黒豆は、おせち料理のなかでもとくに欠かせないとされる「祝い肴三種」のひとつである。なぜお正月に黒豆を食べるようになったのか、その意味について詳しく見ていこう。
「マメ」に暮らすため
黒豆の「まめ」には、健康、元気、丈夫という意味がある。そのため、マメに暮らせるように、マメに心を配り生活できるようにという願いを込めた料理となった。健康や長寿を祈願するための1品として大切にされてきたのである。また、黒豆の黒い色には、黒く日焼けするほど働けるようにという意味もあるそうだ。
関西と関東で異なる意味と見た目
黒豆には、ふっくらと丸いものとしわの付いたものがある。主に関西では、ふっくらとしたしわのない黒豆が不老長寿の象徴として好まれる。一方関東では、あえてしわができるような煮方をすることで、長寿を願うのが一般的だ。しわに対する考え方の違いこそあるものの、長寿を願う心は全国共通しているのである。
2. 縁起物としての黒豆

黒豆はおせち料理の定番として有名だが、縁起物のためお正月以外のハレの日にも食べられることがある。とくに、丹波黒大豆の産地である京都府では、郷土料理として年間通してさまざまな機会に黒豆が食べられている。
お食い初めのメニューとしても
赤ちゃんの生後100日を祝う儀式「お食い初め」のメニューに、黒豆が含まれることがある。お食い初めでは、一般的にはお吸い物、尾頭付きの鯛、煮物、香の物、赤飯など一汁三菜を基本とした料理が用意される。
黒豆は必ずしも用意されるものではないが、市販や店、旅館などの豪華なお食い初め膳に入っていることが多い。また、家庭で行うお食い初めにおいても、黒豆を用意する地域がある。いずれの場合も、赤ちゃんの健康や長寿を願う意味が込められている。
3. 黒豆の美味しい煮方

関西風のふっくらとした黒豆煮が簡単に作れる方法を紹介する。黒豆を煮るのには時間がかかるが、難しい工程はない。ポイントをおさえながら、自宅で手作りしてみよう。
豆を水で戻す
まずは黒豆を水に浸けて戻す。さっと洗って水気をきった黒豆と、6倍量の水を鍋に入れて置いておこう。浸け時間は豆の大きさや新豆かひね豆(前年以前の豆)かによっても異なるが、12時間ほどが目安となる。夏場は傷みやすいため冷蔵庫に入れて、24時間かけて戻すとよい。長時間浸けておくと黒豆が水分を含むため、煮る時間を短くすることができる。
豆を砂糖と煮る
黒豆が戻ったら、戻す前の黒豆と同量の砂糖を加え、箸などで軽くかき混ぜる。黒豆は煮ると少し色落ちするため、黒く仕上げたい場合は還元鉄や袋に入れた鉄くぎなどの鉄材を加えてから煮るとよい。中火にかけて沸騰したら、アクを取る。
二重蓋をし、弱火でさらに煮る
アクを取ったあと、弱火にしてさらに煮る。このとき、キッチンペーパーを中蓋として用い、二重蓋にして煮るのがポイントだ。黒豆は煮汁から出て空気に触れるとしわが寄ってしまう。そのため、中蓋をして煮汁を対流させ、黒豆が煮汁から出ないようにすることが大切である。また、吹きこぼれを防ぐために、外蓋をする際にはわずかに隙間をあけて蓋をするとよい。極弱火で3~4時間が加熱時間の目安となる。
醤油で味を調える
黒豆がやわらかく煮えたら、キッチンペーパーの中蓋を一旦取り、醤油を加えて調味する。鍋を傾けながら、全体に醤油をなじませるとよい。黒豆が空気に触れないよう、再度キッチンペーパーをかけて粗熱を取る。すぐに食べきれない場合は、キッチンペーパーをかけた状態で密閉容器に煮汁ごと移し、冷蔵保存しておこう。
結論
黒豆には、マメに暮らせるようにという願いが込められている。関西ではしわができないようにと丸くふっくら煮るのに対し、関東ではしわができるまで生きるようにとわざとしわを付けて煮るが、いずれも長寿祈願という意味は同じだ。お正月のおせち料理をはじめお食い初めなどのハレの日に用いられる黒豆は、昔から伝わる縁起物である。簡単に美味しく仕上げるには、しっかりと吸水させて二重蓋で煮るのがポイントだ。
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