目次
- ※1.厚生労働省「安全なフグを提供しましょう」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000094363.html
- ※2.高知県「食品衛生法等の改正について」 https://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/131901/2020060300085.html
1. シロサバフグはどんな魚?

フグといえばトラフグが頭に浮かぶが、シロサバフグとはどのようなフグなのだろうか。あまり耳にすることがないシロサバフグについて概要を見てみよう。
食用のフグ
シロサバフグは、硬骨魚綱フグ目フグ科の海水魚である。日本の沿岸から台湾、東シナ海にかけて生息する。筋肉、皮膚および精巣は無毒である。従来はサバフグとされていたものが、研究によって別種と判明しシロサバフグの名がついた。トラフグほどの知名度はないものの、日本での漁獲量は多い。唐揚げや汁物に使用されるほか、加工品にされることも多いフグである。
2. シロサバフグの見分け方

シロサバフグは毒がないフグであるが、フグの種類によっては人を死に至らしめる猛毒を持つものも多い。これらのフグとシロサバフグには外観上、どのような違いがあるのか。シロサバフグの見分け方を紹介する。
見た目の特徴
全長は30~35cmほどになる。背側は緑黄色をしており、腹側は銀白色である。尾びれはわずかに黄みがかっている。全体的に細長い円筒形を呈しており、頭部に近い背面には小棘が見られる。尾びれが湾曲しているのも特徴である。
似ている他のフグ
シロサバフグによく似たフグには、近縁種のクロサバフグがある。クロサバフグはシロサバフグと比べて全体の色が暗色である。特徴としては尾びれの中央が突出している。日本近海に生息するクロサバフグは無毒あるいは弱毒であるが、南シナ海や中国に生息するクロサバフグには猛毒があるとされている。シロサバフグに似た種類にはさらにドクサバフグがある。ドクサバフグはシロサバフグよりも大きめであるが、形状は非常に似通っているため混獲されることが多い種である。ドクサバフグは猛毒を有しているため注意が必要となる。
3. シロサバフグも捌くのに免許が必要?

フグが持つ猛毒は人命が奪われることも珍しくないため、厚生労働省や各都道府県はフグを取り扱うための免許を設けている。(※1)無毒のシロサバフグを取り扱うにも免許が必要か否か。答えはこちらである。
免許が必要
フグを扱う免許は、実はその内実が都道府県によって異なる。高知県では、シロサバフグの毒性が弱いことから扱いに関しては免許不要とされてきた。しかし2021年6月の食品衛生法の改正により、毒性の低いサバフグ類に関しても免許が必要となった。(※2)シロサバフグの精巣に毒がないことは確認されているものの、他の部位にわずかな毒性がある可能性が否定できないことがその理由とされている。
4. シロサバフグは加工品でも手に入れられる

シロサバフグはふっくらとした身が特徴で、加工品にしても美味である。どのような形に加工されるのか、その特徴とともに紹介する。
干もの
シロサバフグの加工品は西日本を中心に生産されている。頭部、皮、内臓を取り払って乾燥させたシロサバフグは非常に食べやすい。シンプルな塩だけの味付けから、一夜干し、味醂干しなど干ものにもさまざまある。おかずとして白飯がすすむだけでなく、おつまみとしても最高の一品だろう。
みがきふぐ
みがきふぐとは、鰭の各部位はそのままに頭部、内臓、皮を除去して販売される状態を指す。鰭の形が残っているため、プロならばシロサバフグと毒性を持つドクサバフグとの区別がつけやすいといわれている。鍋物や唐揚げなど、さまざまな調理に使える利便性がウケている。
ふぐへしこ
へしことは魚のぬか漬けであり、フグだけではなくサバやいわしも加工されることが多い。福井県から京都府北部の日本海側が主な生産地である。ふぐのへしこは内臓を除去したあと洗浄し、3年もの間熟成されて生産される珍味である。加賀百万石の領主もこのへしこを愛したとされ、珍重されている。
5. シロサバフグの代表的な料理

他の種のフグと同様、シロサバフグもさまざまな調理法でその美味を堪能できる。シロサバフグの美味しい食べ方とその作り方、特徴について見てみよう。
唐揚げ
ふっくらとした身を持つシロサバフグは、唐揚げにするとさくさくとジューシー感を楽しむことができる。みがきふぐの状態やシンプルな干ものでも作ることができる唐揚げは、酒で軽く下味をつけて片栗粉をまぶし揚げるだけである。抹茶塩やカレー塩でアクセントをつけて食べると乙である。
刺身
透き通るほど薄く切って食べるシロサバフグの刺身はご馳走の極致である。シロサバフグを3枚におろしたあとは、キッチンペーパーなどに包んで1日冷蔵庫で寝かせると味が落ち着く。昆布で締めても洒落た味になる。食べる際には薄く切るのがコツである。
鍋や汁物
フグが美味しくなる寒い時期、温かく寄せ鍋や汁物にしても美味しい。鍋に入れる際にはシロサバフグの身に塩をふったあとしばし寝かせ、冷水に晒したあと使うことになる。表面を軽く炙っても食感がよくなるだろう。味噌汁の具にする場合には、旬の野菜もたっぷりと入れて豪快に楽しみたい。
焼き魚
繊細な味わいが特徴のシロサバフグは、シンプルに焼き魚にするだけで美味である。軽く塩味がついただけの焼き魚で、シロサバフグの魅力を堪能できる。焦げ目がつく程度に軽く焼き、味が薄い場合にはわずかに醤油を垂らして食べてみよう。
結論
フグといえば毒性を有しているイメージが強いが、シロサバフグは毒がないフグである。日本でも漁獲量が多く、調理されるだけではなく加工品としても販売されている。シロサバフグに似た別種には猛毒を持つものも多いため、自宅で捌くことは避けよう。市販の加工品を活用してシロサバフグを美味しく食べてほしい。
(参考文献)
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