目次
- ※1.公益財団法人長寿科学振興財団「ビタミンCの働きと1日の摂取量」 https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-c.html
- ※2.国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構「フロレチンのがん細胞へのアポトーシス誘導作用」 https://www.naro.go.jp/project/results/laboratory/nfri/1997/nfri97-12.html
- ※3.小学館「日本大百科全書(アポトーシス)」
- ※4.集英社「情報・知識 imidas(ヘスペリジン)」
- ※5.小学館「日本大百科全書(クエン酸)」
1. フィリピンで人気のカラマンシーとは

カラマンシーはフィリピンを中心に東南アジアで栽培が盛んな果物である。通年で収穫できることから、四季柑や四季橘などの名前も持っている。見た目の愛らしさから鑑賞用にも用いられるカラマンシー、どんな特徴があるのだろうか。
ビタミンC豊富な奇跡の果実
ミカン科に属するカラマンシーはすだちによく似た果物である。柑橘類の一種、カラマンシーは、豊富なビタミンCを有している。フィリピンレモンと呼ばれるようにフィリピンではドリンクや料理においてさまざまな形で食されている。カラマンシーは現在、日本では奇跡の果実として話題になっているのである。
カラマンシーとはどんな味?
フィリピンレモンと呼ばれるように、カラマンシーの特徴は強い酸味にある。沖縄のシークワーサーやすだちと形状が似ているものの、成分や風味は異なる。果皮は甘く果実に酸味があるのが特徴である。そのまま食するよりも、ジュースや料理のアクセントとしての役割を担うことが多い。
2. カラマンシーの栄養成分と美容や健康への効果とは

柑橘類の一種、カラマンシーには豊富な栄養が含まれている。その栄養価の高さが日本において奇跡の果実として注目されている理由である。カラマンシーに含まれる栄養と、それによってもたらされる可能性がある効能について詳しく見てみよう。
ビタミンC
カラマンシーには形状がよく似ているシークワーサーと比較すると、数倍のビタミンCが含まれているといわれている。ビタミンCは骨や皮膚などを構成するコラーゲンの形成に必須の栄養素である。(※1)歯や血管の健康を保つためにもビタミンCは重要な栄養素であり、風邪やストレスに対する抵抗力を養う働きもある。(※1)
フロレチン
フロレチンはりんごをはじめとする果物に含まれる栄養素で、カラマンシーもこれを有している。農研機構の研究によれば、フロレチンはアポトーシスという現象を誘導することが判明したという。(※2)アポトーシスとは生物を構成する細胞が役目を終えて死ぬ現象を指し(※3)、そのシステムはがん抑制の機能があるという。(※2)
ヘスペリジン
ヘスペリジンは苦味の原因となる物質であり、柑橘類の皮に含まれることが多い。カラマンシーにも含まれるヘスペリジンは、肝臓における中性脂肪合成を抑えて分解させる働きがある。(※4)ヘスペリジンを配合したドリンクが特定保健用食品として販売されているのは、こうした効能があるためである。(※4)
クエン酸
クエン酸は柑橘類に含まれる有機酸であり、物質の代謝の一助となる栄養素である。(※5)さらにカルシウムの吸収を助ける働きもある。酸味を与える食品添加物として、清涼飲料にも使われている。(※5)
3. カラマンシーのおいしい使い方とは

フィリピンではドリンクから料理まで、カラマンシーの出番は非常に多い。日本ではまだなじみの薄いカラマンシーは、はたしてレモンやすだちと同じ要領で使用できるのだろうか。カラマンシーを美味しく取り入れるためのいくつかのアイデアを紹介する。
カラマンシージュース
カラマンシーの美味しさをストレートに味わうには、ドリンクにするのが一番であろう。カラマンシーをジュースにするには、果汁を絞って甘みをつけるだけである。砂糖や蜂蜜で好みの甘さを調整して美味しく飲むことができる。
ジャムなどに加工する
カラマンシーの皮にはほのかな甘みもあるためジャムにすると美味しい。適当な大きさに切ったカラマンシーのピールを一晩水に浸けたら茹で、さらに水に浸ける。これを数回繰り返し、最後に砂糖で煮詰めるのである。ジャムとして美味しく食べることができるだけではなく、ケーキの風味付けやヨーグルトに混ぜてもいける。
レモンの代わりに使う
カラマンシーはフィリピンレモンと呼ばれることもあり、レモンのように料理のアクセントに用いることが可能である。サラダやカルパッチョにオリーブオイルと混ぜてかければ洗練された味わいが演出できる。醤油にカラマンシーの果汁を加えれば、ポン酢の感覚で和食にも合わせることができる。
カラマンシー酢を作る
カラマンシーを使ってフルーツの酢を作ってみても応用範囲が広い。炭酸水や牛乳で割って、ヘルシーなドリンクを家族で楽しめるのである。カラマンシー酢を自宅で作る場合には、氷砂糖や市販のりんご酢を使用する。よく洗ってほどよい大きさに切ったカラマンシーを氷砂糖とともに酢に浸け、冷暗所で1週間ほど寝かせれば完成する。
結論
日本ではまだ普及しているとはいいがたいカラマンシー。フィリピンを中心とする東南アジアで栽培されている柑橘類である。強い酸味と甘さのある皮が特徴のカラマンシーは、フィリピンでは飲料や料理に頻繁に使用される果物であり、その豊富な栄養素は日本でも注目されつつある。飲み物にしたり料理に上手に使って、カラマンシーの美味を堪能してみてほしい。
(参考文献)
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