目次
- 大根おろしを保存袋に入れて、空気を抜きながら平らにして密閉する
- 金属製トレーやバットにのせ、箸を押しつけながら線をつけて一回分ずつに分ける
- 線が消えないよう、トレーにのせたまま冷凍庫に入れる
- ※1出典:農林水産省 aff2013年号 農林水産分野の最新研究成果を紹介! アフ・ラボ https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1312/report.html
- ※2出典:一般財団法人日本educe食育総合研究所 大根おろしに医者いらずってホント? https://www.educe-shokuiku.jp/news/health/daikon-oroshi/
- ※3出典:一般財団法人ベターホーム協会 冷凍の科学「家庭での冷凍&解凍の基本を、科学的な観点からまとめました。」 https://www.betterhome.jp/lp/book_01/
1. 大根おろしは冷凍するとまずい?

大根おろしを冷凍すると、風味や食感が落ちてしまうというのは本当なのだろうか。また、栄養の変化があるのかという点も気になるところだ。
大根おろしは冷凍できる
大根を冷凍するとふにゃふにゃになってしまうことがある。しかし、それは塊の状態で冷凍した場合だ。凍る過程で大根の組織が壊れ、解凍の際に水分が流出するため食感が悪くなってしまうのである。
大根おろしの場合は、すりおろしているため冷凍する前から組織が壊れている。そのため、冷凍・解凍をしても食感の変化を感じることはない。ただし、大根の辛味成分のもととなる4MTB-GSL(4-メチルチオ-3-ブテニルグルコシノレート)という物質により、多少臭いや変色は発生する(※1)。
大根おろしの冷凍による栄養の変化
大根おろしには、ジアスターゼ、プロテアーゼ、リパーゼなどの消化酵素が含まれる。これらの酵素は熱や酸化に弱いため、生のまま早めに食べることが推奨されている。冷凍することにより酵素の働きは一時的に止まる。冷凍で酵素そのものがなくなるわけではないが、酸化すると減少してしまう。そのため、大根をすりおろしたらできるだけ空気に触れさせないよう、速やかに冷凍する必要がある。(※2、3)
また、家庭の冷凍庫で食品を冷凍すると、組織が壊れるため栄養が流出しやすい。しかし、大根おろしの場合は冷凍前から組織が壊れた状態である。そのため、冷凍により大きく栄養が変化することはない。(※3)
2. 大根おろしの冷凍方法

大根おろしの正しい冷凍保存方法を見ていこう。
冷凍保存のコツ1:汁ごと冷凍
大根おろしを作ったら、水気をしっかり絞ってしまうのではなく、ある程度汁気を残して冷凍するとよい。軽く絞り水分を含んだ状態で冷凍すると、みずみずしい状態をキープできる。大根の水分量は、下部は少なめで上部は多めと部位により異なる。すりおろしてみて、水分が少ない場合は絞らずそのまま冷凍するなど、調整するとよい。
冷凍保存のコツ2:小分けにして冷凍
大根おろしは、一回分ずつ小分けにして冷凍すると便利である。小さめの保存容器や保存袋を使ってもよいし、ラップで包んだものをまとめて大きめの保存袋に入れてもよい。いずれの場合も、必ず密閉できる容器、袋を使おう。製氷皿を使う場合は、におい移りや酸化を防ぐため、ラップをかけて冷凍する、凍ったら密閉できる保存袋に移すなど工夫が必要だ。
冷凍保存のコツ3:まとめて冷凍
大根おろしを保存袋にまとめて入れて、冷凍保存することもできる。その場合は、下記の手順で保存しよう。
この方法で冷凍保存しておけば、線に沿って割りながら一回分ずつ解凍して使うことができる。
3. 冷凍大根おろしの解凍方法や使い方

冷凍した大根おろしは、一回分ずつ取り出して解凍して使おう。解凍方法やおすすめの使い方を紹介する。
冷凍大根おろしの解凍方法
冷蔵庫で自然解凍させる方法が最もおすすめだ。使う数時間前に冷蔵庫に移せばよい。大根おろしは傷みやすいため、常温での解凍は避けたほうがよい。
冷凍大根おろしの使い方
解凍した大根おろしは、そのまま薬味として使うほか、焼肉のタレに加える、スープに入れる、みぞれ煮やみぞれ鍋にするなど、さまざまな使い方ができる。ただし、大根おろしに含まれる消化酵素は熱に弱いため(※2)、酵素の働きを少しでも生かしたい場合は加熱せずに食べるのがおすすめだ。
4. 冷凍保存の大根おろしの日持ち

冷凍した大根おろしの賞味期限は3週間~1ヵ月ほどである。ただし、小分けにして密閉した状態で冷凍した場合の保存期間だ。必要な量だけ取り出して解凍することができるため、傷みにくい状態をキープできるのである。空気に触れたり温度が上がったりすることが多いと保存期間は短くなってしまうため、保存の仕方には気をつけよう。
5. 市販の大根おろしの冷凍食品

大根おろしの冷凍食品を常備しておくのも便利である。スーパーや通販で購入できる市販品を紹介しよう。(商品情報は2022年1月時点のもの)
株式会社神戸物産(業務スーパー)「大根おろし」
1kgと大容量のため、大量に必要なときにおすすめである。国産の大根を使用し、皮ごとすりおろしている。
株式会社SL Creations「大根おろし」
40gずつの小袋が5つ入った商品のため、少量ずつ使える。国産大根を粗めにすりおろしている。内袋ごと流水解凍できるため、使いやすい。
また、冷凍食品ではないがセブンイレブンやイオンでは、チューブタイプの大根おろしも販売されている。大根おろしを少しだけ使いたいときなどに、活用してみてはいかがだろう。
結論
大根おろしはすりおろされた状態のため、固形の状態と比べて冷凍することにより風味や栄養が損なわれにくい。ただし酸化やにおい移りを防ぐために、空気を抜き密閉し、速やかに凍らせるなど保存方法には工夫が必要だ。大根おろしは少量ずつ使うことが多いため、便利なうえ、品質も保ちやすい小分けの冷凍保存がおすすめである。
(参考文献)
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