栗は果物なの？野菜？それとも木の実？農林水産省の正しい定義とは

デザートとして食べることも多い栗は、果実なのか野菜なのか分類に悩む。農林水産省の定義では、栗は果実に分類される。その理由を紹介しよう。

農林水産省の定義では、栗は果実に分類されている。日本では果実の定義として、何も手を加えなくても自然な甘みを持っており、そのまま食べることができる植物のことを指すからだ。なぜ栗は野菜の分類にならないのかというと、野菜は地面になる植物である必要があるため、木になる栗は果物に分類される。つまり、果実と野菜の定義を比較してみると、栗の収穫状態などを見るかぎり、栗は果実に分類されることがわかるのだ。

普段食べている栗の果実の部分は、実は鬼皮という。栗は、とげとげのイガが皮にあたり、その中の果肉は鬼皮なのだ。つまり、栗の場合は果実の部分は固くて食べられないということになる。この点も普通の果実と比べて異なる点になるだろう。

私たちが普段食用として食べている栗の中心部の渋皮つきの果肉の部分は、種子にあたる。つまりホクホクと美味しい黄色の部分は、種子ということになるのだ。栗の場合は、普通の果実とは異なり、果実ではなく種の部分を美味しく味わっていることになる。

栗は、木になることから、ナッツ類と同じく木の実だと思う人も多い。実際、ナッツ類は種実類に分類されており、固い殻や皮に覆われている果実のことをいう。栗もトゲトゲの殻に覆われていることから、木の実にも該当するのだ。もともと木の実は果実の一種だと考えられているので、栗は果実でもあり木の実でもあることになる。そのため、果実として分類されている栗だが、木の実として分類しても決して間違いではないのだ。

果実に分類される栗だが、普通の果実とは少し違う。普通の果実と栗を比較すると、栗が果実でもあり、木の実ともいわれる理由がわかる。

栗は、通常の果実とは違い木から収穫するのではなく、落ちている実を収穫する。地面に落ちている栗が食べごろと判断するのだ。普通の果実の場合は、木になっている状態を収穫し、地面に落ちてしまうと食べることができないが、栗は落ちたものこそ美味しい。

栗は、通常の果実では実の部分を食べるのに対して、種の部分を食べる。普通の果実の果肉にあたる部分は、鬼皮であり栗の場合は食べることができない。普通の果実は種は残し、果肉のみを味わう場合が多いが、栗は種こそ食べる場所なのだ。普段味わっている栗の部分の名称を知ることで、栗と普通の果実の違いがよくわかるだろう。

普通の果物は何も調理しない状態でも甘みがあり食べることができる。栗の場合は生食も可能だが、消化も悪く甘みがない。さらに独特のくせがあり、味を苦手とする人も多いのだ。また、生の状態の栗は虫が入っている場合があるので、生食をする際は虫に注意する必要もある。そのため、通常栗は調理してから食べることが多い。また、栗は、食べた時に口の周りがかゆくなるなどのアレルギー症状を起こすことがあるので、とくに生食をする際は気を付けたい。（※1）

栗は、果実でもあり木の実でもある。普通の果実とは異なり、落ちたものを収穫し、加熱調理してから食べることが多いので果実とはいい難いが、果実の定義に属しているのだ。普段実だと思って食べている部分は種子にあたり、通常の果実の認識とは異なることが多い。栗の正しい名称を知ることで、普通の果実との違いを理解することができるだろう。