目次
1. 革靴にカビが生えてしまう原因

革靴の表面に見える白くてふわふわしたカビは、いくつかの要因が組み合わされて発生する。ときには革靴を保管している下駄箱の環境がカビを発生させることもある。
カビの生育や繁殖に適した条件がそろっている
革靴にカビが生えてしまう原因は、温度と湿度、そして栄養分などの条件がそろってしまうためだ。具体的に、カビが好む環境などについて理解しておこう。
温度
カビは0℃以上の環境で生育するが、とくに20~30℃といった温度は一気に繁殖が進む場合がある。革靴の保管場所が温度の高い場所であれば、カビが発生するひとつの要因となるので年間を通して注意することが大切だ。
湿度
クリームを塗って保湿することが推奨されているほど、革靴には適度な水分が欠かせない。しかし必要以上に湿らせておくとカビの温床となるので注意が必要だ。具体的には80%以上の湿度を好むという。雨の日に革靴を履いたあと、表面の水滴を拭きとらずに靴箱などにしまうとカビが生えやすくなるので気をつけよう。また革靴の中が汗などで蒸れている場合も、放置するとカビの原因となるのであわせて注意が必要だ。
栄養
革靴のお手入れに用いるクリームや、革そのものに含まれる栄養分はカビを成長させてしまうことがある。あるいは、革靴を履いている最中に付着した足の汚れ、皮脂や汗などもエサとなる。
下駄箱はカビが生えやすい?
扉付きの下駄箱に革靴を大切に保管している方も多いだろう。だが密閉された下駄箱は温度が適度に保たれやすく、空気の流れもほとんどないため湿度が溜まりやすい。すなわちカビが生えやすい環境に革靴を保管していることになる。革靴や下駄箱が汚れていればカビにさらなる栄養を与えることにもなりかねない。革靴や下駄箱の中はキレイにしておくことが大切だ。
2. 革靴に生えてしまったカビの取り方

それでは革靴のカビを取り除く方法を説明していこう。
革靴のカビ取りに必要なもの
- キレイな乾いた布数枚
- 消毒用エタノール
- 革靴用ブラシ
- 革靴用クリーナー(汚れ落とし)
- 革靴用クリーム(保湿)
- 革靴用ワックス
- 革靴用防水スプレー
普段のお手入れにも活躍するアイテムばかりなので、できればすべてそろえておこう。アルコールにもさまざまな種類があるが、ドラッグストアなどで簡単に入手できる消毒用エタノールを使うとよい。エタノールは正式にはエチルアルコールといい、カビのたんぱく質を分解する作用がある。
革靴のカビを落とす方法
- 革靴用のブラシを使って表面の汚れを落とす
- 清潔な布やコットンに消毒用エタノールを含ませて革靴全体を拭く
- 「シューツリー(シューキーパー)」に革靴をかけてよく乾燥させる
強くこすりすぎると革が傷つくため、エタノールを少しずつしみこませるようなつもりで優しく掃除していこう。外側だけでなく内側や靴底にもカビが生えていることがある。まんべんなく拭くことを心がけよう。
革靴のカビを落としたあとのお手入れ
革靴がしっかり乾いたことを確認し、革靴用のクリーナーでカビ以外の汚れを落とす。その後、革靴用クリームとワックスで磨いてツヤを出そう。最後に防水スプレーをかけて完了だ。
3. 革靴のカビ取りをする際の注意点

ご覧のように革靴のカビ退治は難しい作業ではないが、いくつか注意点があるので覚えておいてほしい。
水洗いはNG
大量に発生してしまったカビなどは水洗いで一気に落としたくなるかもしれない。だが水分はカビの繁殖を招く要因となる。乾くまでに時間を要せば、さらに被害が拡大するかもしれないため気をつけよう。
濡らしたタオルなどで拭くのもおすすめしない
同様に、濡らしたタオルなどでいきなり拭いてしまうのもおすすめしない。革靴に染み込む水分量は水洗いより少ないかもしれないが、それでも乾くまである程度の時間濡れたままになるため、カビの再発や繁殖を招くおそれがある。
キッチンや浴室用の除菌スプレーはNG
キッチンや浴室用などの除菌スプレーの中には、カビに効果があるものも多い。だが掃除用などは含まれている成分や薬剤の強さがさまざまだ。デリケートな革靴に使うと変色(脱色)などのトラブルを招くおそれがあるため控えたほうがよいだろう。
作業する環境や天候にも配慮が必要
革靴のカビを取る作業中はカビが舞う。屋外など風通しのよい場所で作業しよう。あわせて、マスクをしてカビを吸い込まないようにするといった工夫も必要だ。また湿度が高い日に掃除をするよりも、晴れていて空気が乾燥している日のほうが、革靴が乾きやすいのでおすすめだ。
4. 革靴にカビが生えてしまうのを防ぐには?

革靴のカビを防止するには普段からのお手入れが欠かせない。履いたあとは脱ぎっぱなしにせず、ひと手間かけてから保管しよう。
汚れはすぐに拭き取る
革靴を履いた直後は表面にほこりや砂が付着しているので、革靴用ブラシを使ってきれいにしておこう。
帰宅後すぐに下駄箱に入れない
履いた直後の革靴は、足裏からの汗などで湿気が溜まっていることが多い。すぐに下駄箱に入れてしまうのではなく、ひと晩出しておくなどして乾燥させてから保管しよう。また雨に濡れたときなどは、革靴の中に丸めた新聞紙を入れてひと晩乾燥させてから保管しよう。
同じ革靴を続けて履かない
前日履いた革靴の湿気などが抜けきる前に履いてしまうと、湿気や汚れなどカビの大好物が徐々に蓄積されるおそれがある。どうしてもという場合は仕方ないが、そうでなければ続けて履かないように心がけることも大切だ。
5. 革靴を保管する下駄箱のカビ対策も忘れずに

せっかく革靴をきれいにしても、下駄箱が汚れていればカビが再発するおそれがある。下駄箱の掃除や除湿もカビ防止に大切だ。
下駄箱の掃除方法
ホコリなどが溜まっていれば最初に掃除機やハタキ、ホウキなどで取り除いておこう。ひと通りキレイになったら、消毒用エタノールを含ませた布で下駄箱全体を拭いて除菌をしよう。扉を閉めずに乾燥させ、キッチン用の塩素系漂白剤を使って下駄箱内部を磨いたら、お湯で湿らせた布で拭き取る。最後に別の布で水拭きし、乾燥させれば下駄箱掃除は完了だ。
ただし塩素系漂白剤が使える素材かどうかは事前に必ず確認しておいてほしい。使えない素材の下駄箱だったときは、その工程を飛ばそう。また掃除に使った布にはカビの胞子などが入り込んでいるおそれがあるため、使い回さずその場で処分しよう。
ただし塩素系漂白剤が使える素材かどうかは事前に必ず確認しておいてほしい。使えない素材の下駄箱だったときは、その工程を飛ばそう。また掃除に使った布にはカビの胞子などが入り込んでいるおそれがあるため、使い回さずその場で処分しよう。
下駄箱の除湿方法
扉付きの下駄箱を使っている場合は定期的に開けて空気を入れ替えよう。市販の除湿剤や、ビンに入れて空気穴を開けた重曹の粉を入れておくなどすると、内部の湿気を吸い取ることができる。
6. 革靴のカビが落ちないときはクリーニングに出す手もある

しばらく下駄箱に保管していた革靴を久しぶりに取り出してみたらカビがびっしり生えていた、ということもあるだろう。あるいはそこまでひどくはなくとも、本稿で紹介した手順でカビを落としきれなかったということも考えられる。そんなときは革靴をクリーニングに出すという手もあるので覚えておこう。
革靴のカビはクリーニングで落とせる
革靴のクリーニングは、靴やバッグなどのクリーニングを専門に取り扱っている業者、あるいは宅配クリーニングなどでも対応しているところがある。ネットで探せばすぐにヒットするはずなので、頑固なカビが生えている革靴や、徹底的にカビを退治したいときなどは相談してみるとよいだろう。料金は業者によって異なるほか、作業の程度によって変わることもあるため事前に確認しておくと安心だ。
7. 革靴のカビ対策におすすめのアイテム3選

自分で革靴のカビ取りをする際、カビを予防する際などにおすすめのアイテムも紹介しておこう。
SAPHIR「レノマットリムーバー」
頑固な汚れやカビ、塩吹きなどを取り除く際に使える中性のリムーバー。皮革にしっかり浸透し、油汚れさえも溶かして落とすことができる。揮発性が高く残りにくいのもポイントだ。
M.MOWBRAY「カビ落とし/予防 モールドクリーナー」
除菌力に優れた有機ヨードを主成分とするクリーナー。カビの表面を覆う細胞膜を壊し除菌することができる。カビ取りとあわせて予防もできる1本2役のスプレーだ。
COLUMBUS「オドクリーンスリム 消臭・除菌スプレー」
植物性精油と緑茶エキスが配合されている除菌・抗菌スプレー。発汗や雑菌の繁殖といった原因で発生するにおいを徹底消臭する。無香料もあるので香りが不要な方はそちらを選ぼう。
8. 革靴のカビは発見し次第速やかに取り除こう

カビは温度や湿度、栄養分といったちょっとしたきっかけで生育し繁殖する。放置するとどんどん繁殖してしまうため、少しでもカビのようなものを見かけたら速やかに退治することが大切だ。あわせてカビを防ぐための対策も心がけ、大切な革靴を長く履き続けてほしい。
結論
革靴のカビはアルコールを使って優しく丁寧に落とそう。またカビを防止するには履き終わったあとのブラッシングや除湿が大切だ。下駄箱内をきれいにするとともに、扉を開けるなどして湿気がこもらないよう、また靴を詰め込みすぎないように心がけよう。
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