1. 枝豆の基本的な栄養価

「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」には、「生」「ゆで」「冷凍」の3種類の枝豆の栄養価が収録されている。そこでまずは基本となる「枝豆(生)」の100gあたりの栄養価を確認しておこう。
枝豆(生)100gあたりの栄養価
- エネルギー:125kcal
- たんぱく質:11.7g
- 脂質:6.2g
- 炭水化物:8.8g
- 脂肪酸
・飽和脂肪酸:0.84g
・一価不飽和脂肪酸:1.88g
・多価不飽和脂肪酸:2.77g - ビタミン
・βカロテン:240μg
・ビタミンD:0μg
・ビタミンE:0.8mg
・ビタミンK:30μg
・ビタミンB1:0.31mg
・ビタミンB2:0.15mg
・ナイアシン:1.6mg
・ビタミンB6:0.15mg
・ビタミンB12:0μg
・葉酸:320μg
・パントテン酸:0.53mg
・ビオチン:11.0μg
・ビタミンC:27mg - ミネラル
・ナトリウム:1mg
・カリウム:590mg
・カルシウム:58mg
・マグネシウム:62mg
・リン:170mg
・鉄:2.7mg
・亜鉛:1.4mg
・銅:0.41mg
・マンガン:0.71mg
・ヨウ素:0μg
・セレン:1μg
・クロム:1μg
・モリブデン:240μg - 食物繊維:5.0g
(・水溶性食物繊維:0.4g)
(・不溶性食物繊維:4.6g)
2. 枝豆に含まれる注目すべき栄養素!

枝豆は100gあたり125kcalと低カロリーでありながら、たんぱく質・ビタミン類・ミネラル類・食物繊維などをバランスよく含んでいる。このうち特に注目したいのがたんぱく質、ビタミンB群、食物繊維の3種類。ここではそんな枝豆に含まれる栄養素に注目して紹介しておこう。
その1.たんぱく質
「畑の肉」と呼ばれる大豆の若さやである枝豆は、大豆と同じく良質な植物性たんぱく質を多く含んでいる。その含有量は100gあたり11.7gであり、成人男性(18~64歳)の1日あたりの推奨量の約1/6に相当する(※2)。また、アミノ酸のバランスを評価する「アミノ酸スコア」は100であり、良質なたんぱく質源であることも伺える。たんぱく質不足の人には人にはおすすめの食材となっている。
メチオニン
枝豆の中でも特に注目したいアミノ酸の一つが「メチオニン」である。メチオニンにはいくつか働きがあるが、その一つが肝機能を高めるというものだ(※3)。そのため、お酒の場で枝豆を食べるのは、非常に合理的なものとなっている。
その2.ビタミンB群
枝豆はビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、葉酸などビタミンB群も多く含んでいる。ビタミンB群の働きは主に身体の機能を正常に保つというもので、体内では合成できないため食事で補う必要がある(※4)。特に枝豆は葉酸の含有量が多く、100gあたりの数値は320μgとなっている。成人男性(18~64歳)の1日あたりの推奨量は240μgであるため(※2)、1日分を大きく上回っている。
その3.食物繊維
枝豆は食物繊維の一種である「不溶性食物繊維」も多く含んでいる。その含有量は100gあたり4.6gであり、水溶性食物繊維と合わせると5.0gになる。食物繊維は「第6の栄養素」として注目されている栄養素であり、体内では消化・吸収されないが、腸内の不要物などを取り除く働きがあるといわれている(※4)。なお、成人男性(18~64歳)の1日あたりの目標量は21gとなっている(※2)。
3. 重さ別の枝豆のカロリーと糖質量

枝豆100gあたりのカロリーは125kcal、糖質量は3.8g(炭水化物8.8g-食物繊維5.0g)であるが、一般的には100gずつ食べることは少ない。そこで1個分(可食部2g)と1袋分(可食部150g)のカロリーと糖質量を以下にまとめておく。なお、枝豆のカロリーと糖質量の詳細については別ページにて詳しく解説している。
重さ別の枝豆のカロリーと糖質量一覧
- 1個分(2g):カロリー3kcal、糖質量0.1g
- 半分(75g)カロリー94kcal、糖質量2.8g
- 1袋分(150g)カロリー188kcal、糖質量5.7g
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4. 枝豆はゆでると栄養価が変化する?

枝豆はゆでてから食べることが多いが、ゆでると枝豆の栄養価は低くなってしまう。特に枝豆が多く含んでいるビタミンB群やビタミンCは水溶性ビタミンであるため、ゆでると栄養素が流出してしまう。実際、ビタミンB1は0.31mgから0.24mgに、葉酸は320μgから260μgに、ビタミンCは27mgから15mgに減少する(※1)。もし栄養素を逃したくないなら電子レンジでの下茹でがおすすめだ。
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5. 枝豆を食べる際の注意点

枝豆はおつまみやおやつにピッタリだが、食べ過ぎやアレルギーには注意が必要である。ここでは枝豆を食べる際の注意点についても紹介しておこう。
注意点1.食べ過ぎないようにする
前述のとおり、枝豆は100gあたり125kcalと低カロリーである。しかし、パクパクと食べやすいためお酒の場では食べ過ぎてしまうことも多く、カロリー過多になってしまう場合も少なくない。枝豆の摂取量は決まっていないが、農林水産省などが提唱する「食事バランスガイド」を参考にすると、1SV分である50g程度(さや付き100g程度)にしておくのがよさそうだ(※5)。
注意点2.大豆アレルギーに注意する
枝豆は大豆の若さやであるため、大豆アレルギーを持っている場合には注意が必要だ。アレルギーがある人が誤って食べてしまうと、アレルギー症状を引き起こしてしまう可能性がある。もし枝豆を食べたあとに何かしらの症状が現れたら、早めにかかりつけ医などの医療機関に受診しよう(※6)。
結論
おつまみの定番である枝豆は、美味しいだけでなく、栄養面でも優れている。そのため、普段から食卓に取り入れたい野菜の一つといえる。そのままでも美味しいし、炊き込みご飯や炒め物などに使うのもおすすめ。料理のレパートリーを増やして、上手に枝豆を食べるようにしよう。
【参考文献】
- ※:農畜産業振興機構「豆類 えだまめ」
https://www.alic.go.jp/content/001162863.pdf - ※1:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
https://fooddb.mext.go.jp/ - ※2:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf - ※3:国立健康・栄養研究所「メチオニン」
https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail631lite.html - ※4:e-ヘルスネット「トップページ」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/ - ※5:農林水産省「SV早見表」
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/zissen_navi/balance/chart.html - ※6:公益財団法人ニッポンハム食の未来財団「大豆|除去食と代替食」
https://www.miraizaidan.or.jp/patient/diet/elimination_alternative/soy.html
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