1. 最も食べられているイカ2種類!
まずは、日本で多く漁獲されている「スルメイカ」と「アカイカ」について確認しよう。いずれもアカイカ科のイカであるが、この2種類の見た目や主な食べ方などは大きく異なる。それぞれの特徴をしっかりと覚えておこう。
その1.スルメイカ
スルメイカは全長25~30cm程度で、菱形のヒレを持つ鐘型のイカである。新鮮だと赤褐色の見た目をしているが、鮮度が落ちると白色に変化する。北海道沿岸から九州地方沿岸まで日本全国で獲れるため、ほぼ通年食べられるのが特徴となっている。また、2019年の漁獲量は約4万トンであった(※1)。鮮魚として刺身などで食べられることも多いが、干物などの加工品としても重宝されている。
その2.アカイカ
アカイカは形こそスルメイカに似ているが、全長40~50cm程度で大型のイカとなっている。全体的に暗赤褐色の色味をしており、鮮度が落ちると白くなる。2019年は約7千トンの漁獲量と多いが、燻製やサキイカ、ソフトサキイカなどに加工されるため鮮魚で流通することは少ない。火を通したり加工したりしても身が固くなりにくいことから、1970年代中ごろから注目集めるようになった。
2. 食品として有名なイカ5種類!
日本ではスルメイカとアカイカ以外にも、ヤリイカ、ケンサキイカ、コウイカ、アオリイカ、ホタルイカなど有名なイカは多く存在する。そこでこれらのイカの特徴などについても確認しておこう。
その3.ヤリイカ
ヤリイカは全長40~45cm程度で、大きくて細長い三角形のヒレを持っている高級イカである。漁獲されて間もない頃は透明だが、鮮度が落ちると茶色に変化する。春頃に漁獲される子持ちヤリイカの真子は特に美味とされている。身は上品な甘みがするため刺身で食べるのが美味しいが、焼き物・煮物・揚げ物などにしても美味しい。また、乾燥させて「笹するめ」にされることもある。
その4.ケンサキイカ
ケンサキイカは全長35~40cm程度、大きな三角形のヒレを持っている、ヤリイカに似ている高級イカの一種である。新鮮なケンサキイカは赤色をしているが、時間が経つと徐々に白くなり、また赤く変化する。非常に甘みが強いイカとして知られており、刺身などにすると上品な味を楽しむことができる。スーパーにはほとんど出回らないが、デパートや高級魚屋などでは見かけることがある。
その5.コウイカ
コウイカは全長20cm程度のイカで、「えんぺら」と呼ばれる丸いヒレを持っているイカである。背面は暗褐色だが、腹面は淡褐色となっている。夏に流通する「新いか」は非常に希少性が高く、1kgあたり数万円で取り引きされることもある。生で食べるのが最も甘くて美味しく、刺身や寿司ネタとして食べられている。また、ゲソは煮物・揚げ物・中華料理などに使われることも多い。
その6.アオリイカ
アオリイカは全長45cm程度で、胴幅13cm程度の大型の高級イカである。ヤリイカ科ではあるがコウイカのように丸いヒレを持っている。また、透明な色味をしているが、漁獲後は白色や灰色などに変化する。上品な甘みと程よい歯ごたえが特徴であり、高値で取引されているため主に高級料理店やすし屋などで食べられる。鮮度がいいものは刺身や寿司で食べるのが非常におすすめとなっている。
その7.ホタルイカ
ホタルイカは全長5~7cm程度の小さなイカであり、全身に発光器があることで知られている。富山県や鳥取県、兵庫県など、日本海側で多く漁獲されている。主に茹でたものが流通しているが、生や活けなども流通することがある。茹でても柔らかく、非常にうま味が強い。茹でたものを生姜醤油や酢味噌などで食べたり、串焼き・甘露煮・醤油漬けなどにしたりするのも多くなっている。
3. 一緒に覚えておきたいイカ4種類!
前述したイカの他にも、イカにはまだまだたくさんの種類がある。そこでジンドウイカ・シリヤケイカ・カミナリイカ・ソデイカのような美味しいイカについても確認しておこう。
その8.ジンドウイカ(ヒイカ)
ジンドウイカ(ヒイカ)は全長10~15cm程度で、菱形のヒレを持っているイカである。ヤリイカ科のイカではあるが、ヤリイカやケンサキイカに比べると安価なのが特徴である。そのため、比較的食卓に上ることも多い。新鮮なものは刺身などにすることもできるが、焼き物や煮付けなどにすることも多くなっている。火を通してもあまり硬くならないため、美味しく食べることができる。
その9.シリヤケイカ
シリヤケイカは全長20cm程度で、コウイカ科であるため丸いヒレを持っているのが特徴である。胴の後ろ側から分泌液を出すため「シリヤケイカ」と呼ばれている。コウイカよりは流通量が少ないものの、その他のイカに比べると多いとされている。また、輸出されることも多いという。新鮮なものは刺身などでも美味しいが、炒め物・揚げ物・煮つけなどにしても美味しい。
その10.カミナリイカ(モンゴウイカ)
カミナリイカは全長20~40cm程度で、丸型のヒレを持っているコウイカ科のイカである。主に西日本で漁獲されており、西日本側で食べられることが多くなっている。非常に味がいいことで知られており、高級イカとして比較的高値で取り引きされている。身が厚くて甘みが強いのが特徴である。火を通すと硬くなってしまうので、刺身や寿司などで食べるのが美味しい。
その11.ソデイカ
ソデイカは全長80cm~1m程度の大型イカであり、胴も太くてヒレも大きい。流通量は少なくないので、スーパーなどで見かけることもある。また、鮮魚としてではなく加工されたものが多い。なお、鮮魚は身が硬いため、刺身や寿司には向かないとされている。冷凍すると柔らかくなるため、刺身などで食べる場合でも冷凍するほうがよい。
結論
日本ではさまざまな種類のイカが食べられているが、今回はその中から特によく食べられている11種類を紹介した。以下の種類によって甘みやうま味、身の硬さなどが異なるので、それぞれの特徴を知ったうえで料理に活かすといいだろう。
【参考文献】
- ※:日本水産資源保護協会「わが国の水産業 いか」
http://www.fish-jfrca.jp/02/pdf/pamphlet/059.pdf - ※1:農林水産省「海面漁業生産統計調査」
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/kaimen_gyosei/index.html - ※2:JF全漁連「イカ食ばなし」
http://www.jf-net.ne.jp/jf-net/syun/sakana/ika/ika_top.html