1. ジャック・クリークの特徴

ジャック・クリークは羊のミルクから作られるウォッシュタイプのチーズである。ベルギーの熟成士、ジャッキー・カンジ氏によってプロデュースされたことで有名だ。ウォッシュタイプチーズは、表皮を塩水やワインなどで洗いながら熟成させて作るチーズだが、ジャック・クリークにはベルギーの「カンティヨン・クリーク」というフルーツビールが使われる。丸い形で、表面はやや紫がかっているのが特徴だ。
味や香り
外皮には、カンティヨン・クリークの酸味のある香りとウォッシュチーズ独特の刺激臭、中には羊乳チーズ独特の獣臭さがあり、クセのあるナチュラルチーズを食べ慣れている人でなければ、かなりのインパクトがあるだろう。しかし、口に含めばその香りの奥に羊乳チーズのミルクのコクと甘みを感じることができる。通はこの旨みを楽しむのだ。
カティヨン・クリーク
ジャック・クリークに使用されるカンティヨン・クリークは2年もののランビックにさくらんぼを漬け込み、二次発酵させたフルーツビールである。ランビックとは、野生酵母を使ったベルギーの伝統的なビールで、強い酸味が特徴だ。使われるさくらんぼも酸味の強いサワーチェリーで、熟した最高級のものが使用されている。ビールの独特な酸味とサワーチェリーのさわやかな甘みがマッチした人気のフルーツビールである。
2. ジャック・クリークの産地や食べごろ

主な産地
ジャック・クリークはベルギーのワロン地方エノー州にあるジャッキー・カンジ氏の工房で熟成されている。ジャッキー氏はフルーツを使ったチーズを多くプロデュースしていることでも有名だ。ジャック・クリークもさくらんぼビールを使用している。さわやかなレモンスピリッツに浸した「ル・ヴィレ」や、洋梨の蒸留酒に浸け込んだレーズンを表面にまぶしたフレッシュチーズ「パヴェ・ド・マッフェ・オ・レザン」が有名だ。
食べごろ
酸味のあるさわやかなジャック・クリークは夏にぴったりのチーズだ。クセが強いため、購入後なるべく早く食べることをおすすめする。ウォッシュタイプのチーズは熟成が進むにつれて香りが強くなるからだ。加えて羊のミルクから作られるチーズも時間の経過とともに獣臭さが強くなる。また、時間が経つとピリッとした辛みも感じられるようになるため、よりクセが強くなる。日本に輸入される段階で熟成は十分に進んでいるので、特有の香りをたっぷり味わいたいという人でなければ、購入直後に食べるのがよいだろう。
3. ジャック・クリークの食べ方

ウォッシュチーズには熟成して中がとろとろになっているものも多いが、ジャック・クリークは中身もある程度硬さがあるため、薄く切り分けて食べるとよいだろう。強いクセのあるチーズなので、現地ではさくらんぼのジャムをつけて食べる習慣があるという。ウォッシュに使われるビールにさくらんぼが使用されているためだが、りんごや洋梨のジャムなど、自分好みのジャムを合わせてみてもよいだろう。
相性のよいワイン
香りの強いジャック・クリークの味に負けないように、合わせるワインもフルボディーのどっしりとした赤ワインがいいだろう。また、ウォッシュに使用したカンティヨン・クリークと合わせれば間違いない。一般的なスーパーではなかなか見かける機会はないかもしれないが、輸入食品を扱っている店や洋酒を仕入れている酒店には置いていることもあるので、チェックしてみよう。
結論
ベルギーのさくらんぼビールでウォッシュした羊乳チーズ、ジャック・クリークについて紹介した。クセのある味は万人には受け入れられ難いが、好きな人には堪らないチーズである。少々高値だがハーフサイズもあるため、クセの強いチーズが好きな人はぜひ一度試してみてはいかがだろうか。
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