1. マニゴディーンの特徴
マニゴディーンはフランス、サヴォア地方で作られるウォッシュタイプのチーズである。製造方法は日本でも人気のあるモン・ドールと同じで、エセピアというモミの木の樹皮で巻いて熟成されるのが特徴だ。モン・ドールと異なるのはその熟成期間である。モン・ドールの熟成期間は最低21日間とされているが、アメリカには無殺菌乳製チーズは60日間以上熟成されたものしか輸出できない。そのため、長期熟成型のマニゴディーンが作られるようになったのである。本家モン・ドールは世界的人気があるにもかかわらず、秋から冬にかけてのみの販売であったため、夏に食べることのできるモン・ドールによく似たマニゴディーンは瞬く間に人気となった。
味や香り
丁寧に時間をかけて熟成されたマニゴディーンはとにかく風味豊かなのが特徴である。中の生地はとろとろで濃厚、ウォッシュチーズ特有の香りも立ち込めるが、意外にも後味はさっぱりだ。まさに夏にうってつけのチーズである。
長期熟成ならではの奥深い味は本家モン・ドールには出せない味である。
長期熟成ならではの奥深い味は本家モン・ドールには出せない味である。
もうひとつの「夏のモン・ドール」
夏のモン・ドールという異名をもつチーズはマニゴディーンのほかにもある。それが「カブリ・アリエジョワ」だ。カブリ・アリエジョワもマニゴディーン同様、初春から夏にかけて販売されるため、この名で呼ばれる。マニゴディーンと異なるのは原料乳が山羊のミルクという点で、「山羊乳モン・ドール」とも呼ばれる。牛のミルクから作られるマニゴディーンやモン・ドールに比べてさわやかな酸味があるのが特徴だ。三者それぞれに違った味わいがあるので、食べ比べしてみるのも面白いだろう。
2. マニゴディーンの産地や食べごろ

主な産地
モン・ドールがフランスのブルゴーニュ=フランシュ・コンテ地域圏ジュラ地方で作られるのに対し、マニゴディーンはローヌ=アルプ圏のサヴォア地方で製造される。マニゴ谷で作られていたことからこの名がついた。サヴォア地方ではマニゴディーンのほかにハードタイプの「ボフォール」や「アボンダンス」、ウォッシュタイプの「タランテー」などが作られている。
食べごろ
じっくり時間をかけて熟成させてから出荷されるマニゴディーンは購入後すぐに食べるのがよいだろう。日本に輸入されるころには十分すぎるほど熟成されているからだ。また、ウォッシュチーズ特有の香りが苦手な人はとくに早めに食べることをおすすめする。
3. マニゴディーンの食べ方
ミルクの濃厚な甘みが感じられるマニゴディーンはそのままでも美味しく食べることができる。中の生地がとろとろになっている場合は、表皮を切り取ってスプーンですくって食べるのがよいだろう。バターのように食パンやバケットに塗り、焼いてから食べるとよりいっそう風味が引き立つ。
また、生野菜のスティックサラダにつけて食べるのもおすすめである。
また、生野菜のスティックサラダにつけて食べるのもおすすめである。
相性のよいワイン
濃厚でとろとろなマニゴディーンと合わせるなら辛口の白ワインがおすすめである。とくに同じサヴォア地方の「ヴァン・ド・サヴォワ」がおすすめだ。フレッシュでミネラル豊かな味わいは夏にぴったりである。チーズは常温で、ワインは冷やして楽しむのがよいとされる。
結論
フランス、サヴォア地方のウォッシュチーズ、マニゴディーンについて紹介した。夏のモン・ドールと呼ばれながらも、その風味は本家よりも複雑で濃厚である。さらにはさっぱりとしていて後味もよい。日本の店ではなかなか見かける機会の少ないチーズだが、インターネットなどでも購入することができるので、ぜひ一度試してみてはいかがだろうか。
この記事もCheck!