目次
1. ピーナッツのカロリーと糖質量

ピーナッツは名前に「ナッツ」がついているので木の実だと思われがちだが、豆類だ。血管をしなやかに保つ栄養素が含まれていることから、最近はその健康効果も注目されている。一般的に豆類はカロリーが高そうだが、果たしてピーナッツはどうだろうか?
ピーナッツ100gあたりのカロリーと糖質量
- 乾・大粒種:562kcal(11.4g)
- 乾・小粒種:562kcal(11.4g)
- いり・大粒種:585kcal(12.4g)
- いり・小粒種:585kcal(12.4g)
上記はいずれも文部科学省「日本食品標準成分表」(※1)によるものだ。なおピーナッツの和名は「落花生」であることから、同資料における落花生のカロリーを参照している。また「炭水化物量」から「食物繊維量」を差し引いたものを糖質としている。では、ほかの豆類や種実類と比較してみよう。
そのほかの豆・種実類100gあたりとの比較
- あずき(全粒・乾):339kcal(40.9g)
- 大豆(国産・黄大豆・乾):422kcal(11.6g)
- えんどう豆(全粒・青えんどう・乾):352kcal(43g)
- そら豆(全粒・乾):348kcal(46.6g)
- いんげん豆(全粒・乾):333kcal(38.5g)
- アーモンド(いり・無塩):608kcal(9.7g)
- カシューナッツ(フライ・味付け):576kcal(20g)
- ピスタチオ(いり・味付け):615kcal(11.7g)
- マカダミアナッツ(いり・味付け):720kcal(6g)
こちらも「日本食品標準成分表」(※1)による。こうして比較すると、ピーナッツのカロリーは高い部類に入ることが分かる。一度に100g食べることはあまりないので、ピーナッツだけで500kcal以上摂ってしまうことは考えにくいが、小粒のものは20粒で10g程度になる。一気に食べてしまいがちな量だが、56kcalのおつまみと考えると際限なく食べ続けるのは避けたほうがよいだろう。
2. ピーナッツのカロリーと糖質量以外の栄養

ピーナッツに含まれる、カロリーと糖質以外の主な栄養についても見てみよう。同じく文部科学省「日本食品標準成分表」(※1)による。カッコ外は乾、カッコ内はいりの数値だ。
ピーナッツ100gあたりの主な栄養
- たんぱく質:25.4g(26.5g)
- 脂質:47.5g(49.4g)
- 炭水化物:18.8g(19.6g)
- 食物繊維総量:7.4g(7.2g)
- カリウム:740mg(770mg)
こうした栄養素が目立つほか、ビタミンB群やEも豊富に含まれている。
食物繊維
食物繊維には水溶性と不溶性があるが、ピーナッツに多いのはこのうち不溶性食物繊維だ。文字通り水に溶けない成分で、便をかさ増しして腸に刺激を与え、便通を改善したり腸内環境を整えたりする作用がある(※2)。
カリウム
細胞内液の浸透圧を一定に保つ働きや、ナトリウム(塩分)の排出を促し塩分の摂りすぎを調節するといった大切な作用を持つミネラルだ(※3)。ピーナッツにはこのカリウムも多く含まれている。
ビタミンB群
B1・B2・B6・B12・ナイアシン・パントテン酸・葉酸・ビオチンをビタミンB群という(※4)。ピーナッツはとくに、このうちエネルギー生産に欠かせないナイアシンやビオチンといった栄養素を多く含む(ただしいりの場合はビオチンが消失または微量しか含まれない)。
ビタミンE
活性酸素の働きを抑制する、抗酸化ビタミンに分類される栄養素だ。抗酸化ビタミンには動脈硬化やがん・老化・免疫機能の低下などを抑える作用が期待できる(※5)。ピーナッツにはこのビタミンEもバランスよく含まれている。
3. ピーナッツはダイエットに効果的?

ピーナッツは高カロリーでありながら、しばしばダイエットに向いているとされる。果たしてその理由はどこにあるのだろうか?
満腹感が得られやすい
ピーナッツはその半分近くが脂質である。脂質そのものはダイエットの敵かもしれないが、満腹中枢が刺激されるため少量であっても満腹感が得られやすいという特徴もある。もちろん、食べる量をきちんとコントロールすることが大切だ。
GI値が低く腹持ちがよい
GI値とは、食後に血糖値が上昇するスピードを数値化したものである。GI値が低い食品ほど、血糖値がゆるやかに上昇することを意味する。血糖値が急上昇するとインシュリンが大量に分泌され、脂肪を蓄えやすい、つまり太りやすい体質になるといわれている。ピーナッツはGI値が低い食品に分類されており、時間をかけて糖を吸収する。これが腹持ちのよさにつながっているのだ。
含まれる栄養素もダイエットに適している
腸内環境を整える食物繊維、塩分の排出を促しむくみ解消などに寄与するカリウム、エネルギー生産に使われ効率的なカロリー消費が期待できるビタミン類など、ピーナッツにはダイエット向きの栄養素がバランスよく含まれている。もちろん「摂りすぎ」や「偏り」はよくない。だがピーナッツは高カロリーではあるものの、こうした特徴を把握したうえで上手に食べていけば、ダイエット中も食べられる食品というわけだ。
4. ピーナッツの上手な食べ方とは?

では、ピーナッツはどう食べるのがよいのだろうか?
食べるタイミング
血糖値が上がりやすい朝、もしくは小腹がすいたときの間食がよいだろう。満腹感が得られやすい特徴を生かし、食事に取り入れてしまうのもアリだが食べ合わせには気をつけよう。またカロリー消費量が低下する夜間に食べるのは控えたほうがよいだろう。
食べる量
一般的に、間食の適量は1日200kcal程度とされている(※6)。ピーナッツで考えると30gほどが目安となる。ただし食事やほかの間食などでカロリー摂取量が多い方は、トータル的な視点から量を調整する必要があるので覚えておこう。
選び方
市販のおやつ用ピーナッツは、塩や砂糖などで味付けされていたり、油分が含まれていたりするものが多い。これらを食べてしまうと一気にカロリーオーバーになりかねないため気をつけよう。食べるのであれば素焼きのもので味が付いていないピーナッツを選ぼう。
5. ピーナッツバターとバターピーナッツの違いは?

「ピーナッツバター」と「バターピーナッツ」は似ているが、違いをご存知だろうか?せっかくなので、最後にカロリーや糖質量なども交えながら違いを解説しよう。
ピーナッツバターとは
食パンに塗って食べる「ピーナッツバター」は、バターと名がつくものの実際にはバターは入っておらず、ピーナッツの油分によってペースト状になったものだ。粒が残っているタイプと、滑らかなペーストタイプがある。ピーナッツバターのカロリーと糖質量も見てみよう(※1)。
ピーナッツバター100gあたりのカロリーと糖質量
- カロリー:640kcal
- 糖質量:14.4g
ピーナッツバター大さじ1杯(18g)でカロリー115kcal、糖質量2.6gとなる。食パンに大さじ1のピーナッツバターを塗ると、そのピーナッツだけで115kcalになってしまう。食べたいときは、カロリーオーバーにならないよう、それ以外のメニューで調整しよう。なお、ピーナッツバターに砂糖や食塩、脱脂粉乳などを加えて甘くしたものがピーナッツクリームだ。こちらもパンに塗りやすいが高カロリー、高糖質量の食品であるため塗りすぎには注意しよう。
バターピーナッツとは
皮を剥いたピーナッツを油で絡めて食塩などで味つけしたものである。「バタピー」と略され酒のつまみとして食べることも多い。バターという名がついてはいるものの、実際にバターを絡めたものは少なく、パーム油などの植物性油脂が使われているものが多い。同じくカロリーと糖質量を見ていこう(※1)。
バターピーナッツ100gあたりのカロリーと糖質量
- カロリー:592kcal
- 糖質量:11.3g
参考までにピーナッツ(乾・大粒種)のカロリーは562kcal、糖質量は11.4gである。バターピーナッツは殻も皮もついていないので、取っては食べ、取っては食べというように無限ループに陥ってしまいがちだ。油を使う分、加工していないピーナッツよりもカロリーが30kcalほど高くなる。ピーナッツは元々が高カロリーである。食べるときは20粒程度に抑えておきたいところだろう。
結論
ピーナッツが日本に入ってきたのは江戸時代といわれている。中国を経たため南京豆と呼ばれていた。アルコールの代謝を助けるナイアシンが含まれているので、酒のつまみとしては優等生かもしれない。またビタミンB群やEも豊富だ。1日に20〜30粒ほどで十分栄養価を摂取できるので、食べ過ぎは控えつつ健康維持に活用しよう。
(参考文献)
- 1:文部科学省「日本食品標準成分表」
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365419.htm - 2:厚生労働省「食物繊維 _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-016.html - 3:厚生労働省「カリウム _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html - 4:厚生労働省「ビタミン _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-027.html - 5:厚生労働省「抗酸化ビタミン _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-008.html - 6:厚生労働省「間食のエネルギー(カロリー) _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-013.html