1. あずきと日本人
伝来は弥生時代
あんこは、小豆を砂糖で炊いたもの。その原料である小豆は、アジア熱帯地方原産と言われ、稲作とともに日本に伝来したと言われている。小豆は、皮が赤い。赤は古くから、魔除けの効果があるとされ、中国では信仰に使われることも多かったようだ。日本で祈願する年中行事に、赤飯やおはぎが用いられるのもこの習わしから来ているようだ。
甘いあんこへの道
伝来当時は、小豆を砂糖で煮る風習はなく、塩で炊かれていた。この背景には、砂糖はとても貴重なものだったということもあるかもしれない。それが甘く味つけられるようになったのは、砂糖や甘味が流通し始めた室町時代と言われている。江戸時代になると砂糖で炊いた小豆は一般的になる。
饅頭とあんこ
あんこはといえば、饅頭を思い浮かべる人も多いだろう。中国では古くから餡(主に肉)を詰めた饅頭が存在していた。日本に伝わった饅頭だが、日本では肉はデイリーに食べるものではまだまだなかった。そこで饅頭文化をいち早く、取り入れた僧侶たちが肉の代わりに小豆を炊いたものを餡として中に詰めた、という説が残っている。かくして、江戸時代には、甘いあんこの入った現在の饅頭のようなものが広く販売されていたようだ。
2. あんこの種類
粒あんとこしあん
あんこといえば、粒あん派とこしあん派、そんな論争がつきもの。皆さんは、この差をきちんと説明できるだろうか。実は粒あんとこしあんは、形状はもちろん、小豆のある部分を取り除くか、否かに違いがある。その何かは、小豆の皮。粒あんは、炊いた小豆の皮を取り除かず、なるべく豆を残して練り上げるもの。対して、こしあんは、裏ごしして小豆の皮を取り除き、練り上げるものなのだ。
つぶしあんと小倉あん
厳密な定義はなけれど、つぶしあんは粒あんよりもう少し、小豆が潰された状態のことを指す場合が多い。地域やお店によっては、つぶしあん=粒あんのケースもある。小倉あんは、より粒状の小豆が残ったもの。これは、粒あんやこしあんに、蜜煮にした小豆を加えるケースが多い。
白あんの話
あんこの種類には、原材料による差も存在する。一般的にあんこと呼ばれるのは、前述の通り、小豆を使ったもの。白あんと呼ばれるのは、白インゲン豆など、白い豆を作って作られたあんこのこと。優しい甘さで、和菓子の練り切りの原材料としても使われている。そのほか、うぐいすあんは青えんどう豆、ずんだあんは枝豆を使用したもの。
3. 簡単なあんこの炊き方
茹でこぼしが肝心
あんこ作りは、まず小豆を茹でるところから始まる。小豆を上手に茹でるコツは、茹でこぼしにある。これは渋抜きをするために行うもので、この手間を省くと痛い目を見るので注意が必要だ。
小豆の茹でこぼし
まず小豆をさっと洗い、鍋に小豆を入れ、かぶるほどの水を投入。蓋をして火にかける、沸騰したら、蓋を取り、水をカップ1杯ほど加える。これは差し水と呼ばれ、沸騰した湯の温度を一旦下げることで、豆の芯まで湯を浸透しやすくするために行う。そのまま茹で、再び沸騰したら、2分火を強めたまま茹で、ざるにあげ、さっと洗う。
次は、小豆の5倍ほどの水をいれ、また火にかける。沸騰したら、差し水を繰り返し、10分ほど茹で、小豆のシワが伸びたところで火を止め、ざるにあげ、流水でさっと洗う。
次は、小豆の5倍ほどの水をいれ、また火にかける。沸騰したら、差し水を繰り返し、10分ほど茹で、小豆のシワが伸びたところで火を止め、ざるにあげ、流水でさっと洗う。
ひとつまみの塩
鍋に小豆を戻し、小豆の3倍ほどの水を入れ、火にかけ沸騰したら、小豆が軽く踊るくらいの火加減にして、そのまま柔らかくなるまで90分ほど煮る。途中水が少なくなってきたら、水を足して、小豆が水から出ることがないよう注意する。好みの硬さまで茹でたら、煮汁を捨て、小豆と同量または8割位の上白糖もしくはきび糖、ひとつまみの塩を加え、再び火にかけ焦がさないように木べらで鍋底を混ぜ、好みの固さに仕上げる。
手早くがキーワード
茹でたままであれば、ぜんざいやヨーグルトのトッピングにぴったり。おはぎや団子にするなら、あんこにするのが正解。その場合は、強めの火にして、一気に練り上げるのがコツ。冷えると硬くなるので、好みの硬さよりやや柔らかく仕上げよう。
結論
今回は小豆とあんこについて学んできた。お餅を入れたぜんざいやおしるこが食べたくなるこれからの季節。ぜひ、小豆を煮るところから始めてみてはいかがだろうか。
この記事もCheck!