目次
- 1. そもそも「結露」とは?なぜ発生する?
- 2. 「加湿器を使うと結露が生じる」は本当なのか?
- 3. 加湿器の使用で発生した結露を放置するリスクとは?
- 4. 加湿器を使用中の結露を防ぐ方法
- 5. 加湿器を使用中に発生した結露の掃除方法
1. そもそも「結露」とは?なぜ発生する?

結露とはそもそもどういった現象なのか、ごく基本的なところからまずはおさらいしていこう。
空気中の水蒸気が水滴となったものが「結露」である
空気には水蒸気が含まれている。通常は気体だが、空気が含むことのできる水蒸気量には上限がある(飽和水蒸気量)。その上限を超えた水蒸気は、気体から液体(水滴)となって目に見えるようになる。これが結露の正体だ。飽和水蒸気量(空気が含むことのできる水蒸気量)は温度が高ければ多く、低ければ少なくなる。
冬場、暖房器具で室内を暖かくしているご家庭がほとんどだろう。このとき、室内と屋外とで大きな温度差が生まれる。とくに窓は、外側が屋外と接していることから冷えやすい。室内の暖かい空気が窓に触れることで冷やされ、その部分だけ飽和水蒸気量が少なくなり、上限を超えたものが結露となって現れるというわけだ。
2. 「加湿器を使うと結露が生じる」は本当なのか?

加湿器は風邪やインフルエンザの予防にも効果的といわれており、空気が乾燥する冬場はとくに重宝する家電のひとつである。だが加湿器を使うと窓に結露が発生して困る、という方もいるだろう。なぜ加湿器を使うことで結露が発生するのだろうか?
加湿器を使用する、しないに関わらず結露は生じる
冒頭で述べた通り、結露の正体は気体を維持できなくなった水蒸気である。これは加湿器を使用している・いないに関わらず発生するものなので「加湿器を使用する=結露が生じる」「加湿器の使用を止める=結露も消える」ではないことを理解しておこう。
ただし加湿器を使用すると「結露が発生しやすくなる」ことはある
加湿器を使って湿度を高めた場合、室内の空気中に含まれる水蒸気量も増える。ひとつ例を挙げよう。ただし、数字はあくまでわかりやすく説明するためのものなので、まったく意味はないと思っていただきたい。
たとえば室内の空気の総量を「10」とし、うち水蒸気量を「5」としよう。加湿器を使用しなければ、水蒸気「5」のうち、冷たい窓に触れた「1」だけが結露になる。だが加湿器を使用すると、空気中の水蒸気量が「5」から「8」に増えるため、冷たい窓に触れる空気も「1」から「4」などに増え、その分だけ結露も多くなる。これが「加湿器を使うと結露しやすくなる」と感じる理由である。
3. 加湿器の使用で発生した結露を放置するリスクとは?

たしかに加湿器を使用することで、結露が発生しやすくなったり、量が増えたりすることはある。さてその結露だが、放っておいてもよいものなのだろうか?とくに害はないと思えるが、長期間の放置はさまざまなリスクを招くおそれがあるため注意が必要だ。
カビやダニが発生しやすくなる
窓の結露が垂れて巾木や床、壁などを濡らしたり、カーテンに生じた結露を放置したりしていると、カビの発生リスクが増大する。この場合のカビとは主に「黒カビ」だ。素材に深く根を張るため根絶が難しい上、胞子を飛ばして繁殖を繰り返す。カビの繁殖とあわせて注意したいのがダニである。ダニもまた適度な湿気やホコリ(床の汚れ等)などを好むため、結露で増えるとは言い難いが繁殖のリスクは高まる。
カビの胞子やダニの死骸を長期間にわたって体内に取り込むようなことになれば、喘息やアレルギーといったさまざまな疾患を招くおそれがある。
巾木や床材、壁などの劣化が早まる
たとえカビやダニが発生しなくても、結露が垂れたことによって巾木、床、壁などが湿った状態が続けば、それらは劣化していく。見た目はなんともなくても、いざ壁紙を剥がしてみるとボロボロだったということも想定される。賃貸であれば退去時に修繕費用を請求される要因にもなりかねないなど、注意が必要だ。
快適に過ごせなくなる
当然、そのような室内では快適に過ごすことができない。空気が悪くなるだけでなく、不快な黒カビなどが目に入るような空間は、精神衛生上よろしくないと思っておこう。
意外?加湿器の効果が低下することも
水には、周囲の水蒸気や水分子を集めて大きくなっていく性質がある。結露ができていると、せっかく加湿器を稼働させて発生した水蒸気も結露に吸収されることとなる。加湿器の効果を大幅に低下させてしまうおそれがあるため、やはり結露対策は重要だ。
4. 加湿器を使用中の結露を防ぐ方法

結露を発生させないように加湿器を使うには「湿度を管理すること」が重要だ。結露を予防するために、湿度調整機能が付いた加湿器を使ったり、就寝時にはタイマーをセットしたりして湿度が高くなりすぎないように注意しよう。
室温を高くしすぎないようにする
たとえ室内の空気が乾燥している=水蒸気量が少ないと感じる場合でも、室内と屋外の温度差が大きければ結露は生じる。冬場はどうしても室内を高温に保ちたくなるが、高くなりすぎると屋外の温度差によって逆に結露が生じやすくなる。適温を保つように心がけよう。
室内の湿度を最適に保つように調整する
風邪やインフルエンザ予防のために湿度は50%以上に保つことが推奨されるが、それ以上なら何%でもよいというわけではない。むしろ60%を超えてくるとカビやダニが活発に動き出すおそれさえある。40〜60%に保つのがよいとされるため、間をとって50%を目安にしよう。
加湿器の置き場所を工夫する
窓や壁の近く、室内の出入り口や換気扇の下などは避けるとよい。またエアコンの風や、水蒸気が直接肌にあたる場所なども避けるべき場所だ。逆に、できるだけ部屋の中心近くに加湿器を置くこと、かつ床上30cm以上の場所に置くことなどがベストとされている。
定期的に換気をする
どうしても結露が生じてしまうときは、窓をあけて換気扇を回すなどし、室内の空気を定期的に入れ替えることで対策してみよう。
就寝時はタイマーを活用する
就寝中つけっぱなしにしたくなるかもしれないが、それにより結露が生じることもある。2時間後などタイマーをセットし、一晩中稼働していることのないように注意しよう。
窓に新聞紙や断熱シートを貼る
新聞紙が水滴を吸収してくれる。濡れた新聞紙をその都度捨てるなど手間はかかるが、巾木などに垂れるのを防ぐ効果はあるだろう。また室内と屋外との温度差を少しでも小さくするため、窓にプチプチのような断熱シートを貼るのもおすすめだ。
厚手のカーテンを取り付けて閉めておく
窓のまわりの冷えた空気と、室内の暖かい空気を遮断するといった目的で厚手のカーテンを取り付ける方法もある。ただしカーテンと窓の間の空気は冷やされているため、結露そのものを防ぐということは難しいかもしれない。
水蒸気を発する暖房器具との併用は避ける
燃焼することで水蒸気が発生する暖房器具、たとえば石油ストーブやガスストーブなどが挙げられるが、これらと加湿器を併用するとさらに湿度が高くなりやすく、結露が生じやすくなる。エアコンなどの暖房器具に切り替えるのがおすすめだ。
5. 加湿器を使用中に発生した結露の掃除方法

「加湿器を使用中で、すでに結露が生じている」「どうしても結露が発生してしまう」そんなときは放置せずに掃除をしよう。
基本は「こまめに拭き取る」こと
結露はこまめに拭き取ることが大切だ。加湿器をオフにして、乾いた雑巾や新聞紙で結露を拭き取っていこう。上から下に向かってゆっくり拭いていくのがポイントだ。とくに結露が発生しやすい窓は、ワイパー(スクイージー)や吸水スポンジなど専用の結露対策アイテムも数多く販売されている。ぜひこの機会にチェックしてみるとよいだろう。
結論
加湿器を使用しなくても結露は生じるが、たしかに加湿器を使うことで結露が発生しやすくなることがある。まずは結露に関する正しい知識を身につけた上で、結露が発生しづらくなるような加湿器の使い方をしよう。結露の放置はさまざまなリスクを招く要因となる。くれぐれも見て見ぬ振りだけはやめておこう。
この記事もCheck!