目次
- 1. 「珪藻土マットのアスベスト問題」について
- 2. 【アスベストが含まれている珪藻土マット】の正しい捨て方
- 3. 【アスベストが含まれていない珪藻土マット】の正しい捨て方
- 4. 珪藻土マットを捨てるときの注意点|無許可の業者には依頼しないこと
- 5. 珪藻土マットについてよくある質問
- 6. 珪藻土に関する基礎知識も身につけておこう
- 7. 珪藻土マットが割れたときの再利用方法
- 株式会社ニトリホールディングス
- 株式会社カインズ
- 株式会社堀木工所
- サントリースピリッツ株式会社
- 不二貿易株式会社
- 株式会社ヤマダ電機
- ダイレックス株式会社
- 株式会社イズミ
- 株式会社三喜
- 株式会社ハンズマン
- 株式会社ルームプラス
- 株式会社しまむら
- 株式会社ワッツ
- エイベクト株式会社
- 調湿機能がある
- 吸水性・速乾性に優れている
- 消臭作用がある
- 耐火性がある など
- ※1:環境省_廃棄物の処分に「無許可」の回収業者を利用しないでください!
https://www.env.go.jp/recycle/kaden/tv-recycle/qa.html - ※2:石綿(アスベスト)含有品の流通について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_16441.html - ※3:珪藻土バスマットなどの石綿(アスベスト)を含む製品について _ 柏市役所
https://www.city.kashiwa.lg.jp/haikibutsuseisaku/garbage_environment/kashiwaarea/kesodo.html
1. 「珪藻土マットのアスベスト問題」について

珪藻土マットの捨て方について解説する前に、一時話題となった「アスベスト問題」についておさらいしておこう。
2020年末頃に報じられた「珪藻土マットのアスベスト問題」
珪藻土マットなど「珪藻土」を使用した商品の一部にアスベスト(石綿)が混入していたことが大きく報じられたのは、2020年末だ。ニトリやカインズで販売している珪藻土アイテムの一部に、アスベストが混入していたことが発覚し問題となった。いずれも中国で製造されたものである。
この問題が起った背景として、日本ではアスベストが規制されているが中国では規制されていない、という点が影響しているのではないか?などといわれていた。日本の法律を軽視しているのではないか?単に知らなかっただけでは?などさまざまな憶測が飛び交った。
人体に害がある?今すぐ処分すべき?厚生労働省の見解は
ご存じのとおりアスベストは人体に有害である。長期間にわたって吸い込むことにより、じん肺(肺線維症)や肺がん、悪性中皮腫といったさまざまな疾患を招くリスクが高まるとされている。では、日本政府の見解はどうなのだろうか?
厚生労働省によれば「破損が進んだ状態でなければ飛散するおそれはない」とのこと。問題視しているのは、あくまで「基準値を超えたアスベストが使用されていた」という事実の部分だ。
したがって割れるなど著しく破損していなければ、そのまま使用しても問題ないと解釈できる。とはいえ気分がよいものではないだろう。アスベストが含まれているかどうかの確認方法や、対処方法については後述しているので、そちらを参考にしてほしい。
2. 【アスベストが含まれている珪藻土マット】の正しい捨て方

お使いの珪藻土マットにアスベストが使用されていた場合、どのように処分すればよいのだろうか?
【処分方法】メーカーや販売店に回収を依頼する
アスベストが使われている珪藻土マットなどのアイテムを販売したメーカー、および販売店は対象商品を発表し自主回収している。まずはお使いの珪藻土マットなどのアイテムがそれに該当するかどうか、メーカーのホームページ等で確認してほしい。
そのうえで、アスベストが使われている商品だったときはメーカーや販売店に回収を依頼しよう。くれぐれも「こっそりごみとして捨てること」だけは避けていただきたい。
アスベストが含まれていたことを発表したメーカー・販売者の例(順不同)
一例だがアスベスト含有商品を販売したことを発表したメーカーの例だ。珪藻土マット以外のアイテムも含まれているため、まずはメーカーのホームページなどで確認しよう。
3. 【アスベストが含まれていない珪藻土マット】の正しい捨て方

一方、アスベストが使用されていないことが「確実」な珪藻土マットの場合、捨て方はどうなるのだろうか?「可燃ごみ」ではないケースが多いためご注意を。
「不燃ごみ」「陶器類」として出すのが一般的
分別方法は自治体によって異なるが、珪藻土マットなどのアイテムは一般的に「不燃ごみ」として出すよう指定しているところが多い。あるいは「陶器類」とする自治体もある。サイズによっては「粗大ごみ」に該当することも考えられる。
お住まいの自治体のホームページや、集積所あるいは集合住宅なら掲示板などに貼られているであろう、ごみ出しルールを確認しておこう。
自治体によってルールが細かくわかれている|千葉県柏市の場合
たとえば千葉県柏市では、メーカーなどにアスベストの使用の有無を確認し、使用されていない商品だった場合は「安全確認済」と明記して出すルールになっている。また北部では持ち込み(直接搬入)による回収が可能だが、南部はNGである。
同じ市内でもエリアによって対応が異なるため、やはり一度きちんと調べておくことが大切だろう。
回収自体を停止している自治体もある|埼玉県さいたま市の場合
マットに限らず、珪藻土のアイテムを回収している自治体の中には、現在種類を問わず回収そのものを停止しているところもある。たとえば埼玉県さいたま市だ。
現在発表されているメーカーや商品以外に、今後新たにアスベストを含んだ珪藻土アイテムが発見・発表される可能性がゼロではないことから、当面のあいだ「珪藻土を使った製品全て」、ごみ収集所からの収集および、環境センターでの受入れを停止している。
アスベストの有無に関わらず、自治体では回収してくれないということだ。こうした自治体もあるため、やはりしっかり確認することが重要だ。
4. 珪藻土マットを捨てるときの注意点|無許可の業者には依頼しないこと

珪藻土マットを処分する方法はさまざまだが、ひとつ気をつけたいポイントがある。それが「無許可の不用品回収業者」だ。
不用品回収業者に依頼する際は「無許可」の業者に注意
引っ越しや大掃除などで多くのものを処分する場合、個別に処分するよりも一括で依頼できる業者に頼んだほうが効率がよい。その際に不用品回収業者が選択肢になることもあるだろう。だが不用品回収業者の中には悪質な違法業者も存在するため注意が必要だ。
一般家庭から出る廃棄物(ごみ)はすべて「一般廃棄物」である。これを回収できるのは、自治体から委託を受けた業者や、自治体の「一般廃棄物処理業許可」を受けている業者だ。「産業廃棄物収集運搬業許可」「産業廃棄物処理業許可」「古物商」などでは回収できない。
低速の軽トラックで街なかを巡り大音量のスピーカーで不用品回収を謳っている業者、ポストにチラシを投函するような業者はほぼ違法である。法外な費用を請求されたり、知らぬ間に不法投棄の片棒を担いだりするリスクも懸念されるため、違法業者には絶対に依頼しないようにしよう。(※1)
5. 珪藻土マットについてよくある質問

ここまで、アスベストが含まれた珪藻土マットの処分方法と、含まれていない珪藻土マットの処分方法、そして注意点をお伝えしてきた。解説しきれなかったところをまとめたので、ぜひあわせてご確認いただきたい。
Q:珪藻土マットはむき出しのままで捨ててはダメ?
自治体のルールに従おう。一般的には指定のごみ袋に入れることになるが、新聞紙や厚紙で包んで出すといったことも考えられる。なおごみ袋に入り切らないサイズのものは、入るように金づちなどで割る方法もある(アスベストが含まれていないことが確実な場合)。
ただし、割ったときの断片で袋が破れたり、作業員などほかの方がケガをしたりするおそれもあるため、袋を二重にし「キケン」などと一言書いて集積所に出そう。
Q:アスベスト含有調査中または使われているか分からない場合は?
現時点で自主回収しているメーカーや商品以外にも、今後新たにアスベストが使われていることが分かった商品が出てきたり、新たなメーカーから発表があったりすることも考えられる。
お使いの珪藻土マットなどに「アスベストが使われていないことが確実」でない場合、または調査中の場合、メーカーや販売店に連絡し結果が分かるまで自宅保管しよう。
Q:アスベストが使われている珪藻土マットはすべて危険?
アスベストを含む珪藻土マットなどは「通常の使い方」をしている限りアスベストが飛散するおそれはなく、健康上の問題も生じないと、国や自治体が情報発信している。(※2)(※3)
【ただし削る、割る、破損などのケースで危険が生じる】
問題は削る、割るなどした場合だ。削りカスに含まれるアスベストや、破損した断面のアスベストが飛散するおそれがあるため、そうした行為は控えるよう十分注意してほしい。
Q:アスベストが含まれている珪藻土マットが破損したときは?
珪藻土マットなどのアイテムは衝撃に弱く、丁寧に扱っていても破損してしまうことがある。その場合は、飛散防止のためビニール袋などに入れたのち、テープなどでしっかり口を閉じて回収されるまで自宅保管しておこう。
6. 珪藻土に関する基礎知識も身につけておこう

少々話が逸れるが、せっかくなので珪藻土というものに関する基本的な知識も身につけておこう。
そもそも珪藻土とは?
「珪藻(ケイソウ)」と呼ばれる、植物プランクトンの殻が化石になり堆積した土である。主成分はガラスと同じ「二酸化ケイ素」とされている。珪藻の「珪」は「ケイ素(珪素)」からきているのだ。
珪藻土が人気の理由
珪藻土マットなどのアイテムが人気なのは、主に吸湿・放湿といった調湿機能に優れている点および、吸水性や速乾性が高いという点だ。断熱レンガや七輪コンロとして使われるほどの耐火性を備えるなど、建材としても古くから使われてきた歴史がある。
珪藻土マットの寿命はどれくらい?
一般的には2年ほどといわれている。使い続けるうちに汚れが蓄積し、珪藻土の吸放湿機能を担う吸収孔がふさがることで吸水力などが低下してしまうためだ。とはいえ使い方にもよるが、珪藻土マットの寿命はメンテナンスである程度延ばすことはできる。
日頃から、珪藻土マットを使用したあとは室内の風通しのよい場所に立てかけておこう。吸水力が落ちてきたと感じたら、紙やすりを使って表面を削る(アスベストが使われていないことが確実な商品である場合)。吸収孔の汚れや詰まりを取り除くことで吸水力が復活する。
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7. 珪藻土マットが割れたときの再利用方法

珪藻土マットなどのアイテムが割れてしまった場合、あるいはヒビ程度だがマットとしては機能しないなどという場合、再利用する手があるので覚えておこう。ただしこれらもアスベストが使われていないことが「確実」な商品だけだ。
除湿剤や消臭剤として使う
珪藻土が持つ除湿・消臭効果を生かして、トイレや靴箱、ごみ箱などの除湿剤・消臭剤として使うことができる。通気性のよい布の袋などに小さく割った珪藻土を入れ、トイレや靴箱などに置くだけでOKだ。蒸れた靴やブーツの中に入れるのもよいだろう。
傘立ての底に敷く
割れた珪藻土を傘立ての底に敷いておけば、傘に残ってしたたり落ちてきた水滴を吸収してくれる。
ペットのトイレや水飲み場の前に置く
ペットのトイレ前に置いておけば(かつペットがそれを避けなければ)、足ふき代わりになる。もし避けて通るようでもある程度の脱臭効果は期待できるだろう。また水飲み場に置いたり、水が入った器の下に敷いたりすれば、こぼれた水を吸収してくれるので便利だ。
一例だが、珪藻土の特徴を生かせばさまざまな場面で再利用できる。割れた珪藻土マットを捨ててしまう前に、ぜひ再利用できないか検討してみよう。
結論
珪藻土マットなど珪藻土を使ったアイテムは大変な人気だが、取り扱い方や捨て方には注意が必要だ。現在発表されている以外にも、新たにアスベストが見つかる商品が出てくる可能性もある。アスベストが使われていないことが「確実」でない場合を除き、常にアンテナを張っておくことが大切かもしれない。
(参考文献)