1. 栄養たっぷりのサザエってどんな貝?

サザエを日常的に食べるというご家庭はそう多くはないだろう。まずは、サザエはどんな貝なのか基本的なところを押さえておこう。
サザエとは?
サザエは海の中で育つ巻貝で、リュウテンサザエ科に属している。見た目はゴツゴツしており、大きさは男性のこぶしほどのものが多い。名前の由来は「ささやかな家」という意味が由来とされている。
サザエの味や食感は?
サザエの魅力は何といっても、調理の際から漂うその磯の香りである。海藻を餌としていることから、このような魅力的な香りがするといわれている。食感はアワビのようにコリコリとしていてあとを引き、中の肝は少しほろ苦く大人向けの味であることから、酒好きな方にとくに好まれる。
2. サザエの栄養を詳しく解説

あまり意識することはないかもしれないが、サザエには私たちの体によい栄養素が多く含まれている。文部科学省「食品成分データベース」(※1)から、生のサザエに含まれる主な栄養を紹介する。
可食部100gあたりの主な栄養一覧
- エネルギー:89kcal
- 水分:78.0g
- たんぱく質:19.4g
- 脂質:0.4g
- 炭水化物:0.8g
- 灰分:1.4g
- ナトリウム:240mg
- カリウム:250mg
- カルシウム:22mg
- マグネシウム:54mg
- リン:140mg
- 鉄:0.8mg
- 亜鉛:2.2mg
- 銅:0.39mg
- マンガン:0.02mg
- βカロテン:340μg
- ビタミンE(トコフェロールα):2.3mg
- ビタミンK:3μg
- ビタミンB1:0.04mg
- ビタミンB2:0.09mg
- ナイアシン:1.7mg
- ビタミンB6:0.05mg
- ビタミンB12:1.3μg
- 葉酸:16μg
- パントテン酸:0.24mg
- ビオチン:1.9μg
- ビタミンC:1mg
- 飽和脂肪酸:0.05g
- 一価不飽和脂肪酸:0.02g
- 多価不飽和脂肪酸:0.06g
このように、サザエはミネラルやビタミンをバランスよく含む貝である。また貝類の中でもたんぱく質の含有量が多いのが特徴だ。それぞれ、どういった栄養素なのか詳しく見ていこう。
たんぱく質
炭水化物・脂質とならび、エネルギー生産に欠かせないのがたんぱく質だ。人間の体を作るうえで重要な栄養素で、筋肉や骨をはじめ臓器や髪などを構成する成分でもある。20ものアミノ酸から成り立ち、そのうちの9種を「必須アミノ酸」という。それらは体内で合成することができないため、食事によって補わなければならない(※2)。サザエは、貝類の中でもとくにたんぱく質が多く、100g中19.4g含まれている。
ミネラル
ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、マンガン、銅などいわゆる「無機質」と呼ばれる栄養素だ。体内で合成できないため、食べ物から効率よく摂取する必要がある。不足すると不調をきたすが、摂りすぎても中毒を招くおそれがあるため、バランスが大切だ(※3)。
ビタミン
ビタミン類も、ヒトの体内で合成できないものがほとんどであるため、食べ物から摂取する必要がある。水溶性・脂溶性などさまざまなビタミンがあり、いずれも人体の機能を正常に保つのに欠かせない栄養素だ(※4)。サザエはとくにビタミンB1を豊富に含む。目の周りの筋肉をほぐしたり、視神経の疲れを取ったりする効果が期待できる。
タウリン
アミノ酸に似た物質で、体内でたんぱく質が分解される際に発生するのがタウリンだ。貝類やイカ、タコなど軟体動物に多く含まれており、胆汁酸と結びつくことで心臓・肝臓の機能を高める、コレステロールを減らす、高血圧を予防するなどの効果が期待できる(※5)。とくに、肝臓を正常な状態に戻すサポートや脂肪肝の予防が期待できることから、お酒を飲む機会の多い方、脂っこい食事が好きな方にはうれしい栄養素だろう。
アルギニン
たんぱく質を合成する20のアミノ酸のうちのひとつだ。ただしヒトの体内で糖質や脂質から作り出すことができるため「非必須アミノ酸」に分類される(※6)。アルギニンは、成長ホルモンの分泌を促したり免疫力を向上させたりする効果があるといわれている。
βカロテン
ヒトの体内でビタミンAに変化する栄養素で、強い抗酸化作用をもつ。具体的には、活性酸素の発生を抑制したり、活性酸素自体を取り除いたりする働きがある。これにより、動脈硬化の予防や老化、あるいはがんなどの予防に役立つといわれている(※7)。
3. サザエの栄養に期待できる効能

サザエに含まれるさまざまな栄養素から期待できる効能として、どういったものが挙げられるかを見ていこう。
サザエに期待できる効能とは?
- 皮膚の機能を改善する
- 免疫力を高める
- 肝機能を強化する
- 動脈硬化や高血圧、糖尿病など生活習慣病を予防する
- 血管や骨を丈夫にする など
サザエのみを食べていればOK、あるいは必ずしもその効果が得られるという極端なものではないが、サザエに含まれる栄養素からはこうした効能が期待できる。
4. サザエの栄養をたっぷりいただくおすすめレシピ

サザエの栄養をたっぷりいただける、おすすめの食べ方をいくつか紹介しよう。
おすすめは壺焼き
壺焼きといえば七輪だが電子レンジでもできる。まずは表面に残っている汚れを軽く洗い流し、耐熱容器に入れたら殻の中に酒を少量(大さじ1ほど)入てラップをする。次に600Wで2分(500Wで2分30秒)を目安に加熱しよう。時間はサザエの大きさなどによっても変わるので、適宜調節してほしい。なお、加熱しすぎると肝が弾けることがあるため、ラップは2重などにしておくとよいかもしれない。加熱が足りないときは再度20〜30秒ずつ加熱して様子を見よう。あとは醤油をかけていただくだけだ。
バターソテー
塩抜きしたサザエを洗い、たっぷりのお湯で茹でる。火が通ったらザルにあげて水気を切り、身を取り出して薄くスライスする。フライパンにバターを溶かしてサザエを炒め、塩コショウで味を整える。このとき、小口切りにした細ねぎを一緒に炒めると風味が増す。
炊き込みご飯
沸騰させたたっぷりのお湯で2分ほどサザエを茹でる。このとき、蓋を下に向けておくのがポイントだ。また白米はあらかじめ洗ってザルにあげ、水気を切っておこう。次に、サザエの身を取り出して適当な大きさにカットする。炊飯器にお米と塩・醤油・酒・水を適量加え、サザエを入れて炊けば完成だ。顆粒だしなどを加えてもよいだろう。
まだまだあるサザエの調理方法
このほかにも、刺身やアヒージョ、湯煮やポン酢和え、お吸い物などサザエのレシピはバリエーションが豊かだ。ぜひいろいろな食べ方を試してみてほしい。
サザエの身をうまく出すコツは?
サザエの蓋と殻の間に、ステーキナイフまたはフルーツナイフなどを差し込み、身の(渦の)中心側に刺す。あとはナイフを反時計回りに、殻を持っている手を時計回りにクルンと回せば身が取れる。もしくは、竹串などを蓋と殻の隙間に入れて身に刺し、同じように回しても取れる場合がある。肝が残ってしまったときは指を押し込んで殻から剥がし、クルンと回せば簡単に取れるので覚えておこう。
結論
サザエは、とくに目によいとされるビタミンB1・ビタミンB2、肝機能への効果が期待できるタウリンなどを含むうえ、たんぱく質まで摂れるという栄養価の高い貝だ。これからサザエを食べるときは、その美味しさだけではなく栄養や効能にも目を留めてみよう。
(参考文献)
- 1:文部科学省 食品成分データベース「魚介類_さざえ_生 - 一般成分-無機質-ビタミン類-アミノ酸-脂肪酸-炭水化物-有機酸等」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=10_10295_7 - 2:厚生労働省「たんぱく質 _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-044.html - 3:厚生労働省「ミネラル _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-035.html - 4:厚生労働省「ビタミン _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-027.html - 5:厚生労働省「タウリン _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-017.html - 6:厚生労働省「アミノ酸 _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-001.html - 7:厚生労働省「カロテノイド _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-007.html
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