1. 豚バラを使った煮込み料理のコツ

豚バラとは豚の腹肉。角煮によく使われる部位だが、バラは豚かたまり肉の中でも脂がとても多い部位のため、下処理をせずにそのまま圧力鍋で煮込むだけでは、旨味よりも脂っこさが際立ってしまう。
下処理で脂を落とす
角煮をプロ級に仕上げるためには、豚かたまり肉を切った後に、油をしいたフライパンで全面に焼き色をつけよう。このとき弱い中火でじっくりと焼けば、余分な脂が落ちるだけでなく臭みが油に移り、旨味だけを閉じ込めることができる。肉は50℃前後で一番臭みが出やすく、その温度帯を中火によってなるべく長く維持することで多くの臭みを除去することができるのだ。
下茹でを行う
フライパンで焼いただけでもある程度の脂が落ちるが、さらに一手間を加えるのであれば、下茹でを行う。焼いた豚かたまり肉を鍋に入れ、しっかりと浸る量の水を入れたら中火にかけ沸騰させよう。沸騰したら弱火にし、約2時間。その後、水を張ったボウルに肉を取り出し、よくさらすことでさらに脂を落とすことができる。
圧力鍋で煮込む
以上の下処理が完了したら、圧力鍋で煮込むだけだ。ただ、調理を終えてから時間を置き、冷えてくると表面に白い脂が固まり始めるだろう。これはその都度、取り除いてから温め直すことをおすすめする。
2. 豚モモを使った煮込み料理のコツ

豚モモとはその名の通り、豚の腿肉。どんな料理にも合うといわれているが、脂身が少なく煮込みすぎると硬くなりやすいので注意が必要である。ここでは豚モモで作るあっさりとした角煮の作り方を紹介しよう。
下処理は下茹でのみ
豚バラでは下処理で焼き目をつけたが、豚モモで同じことを行うと硬くなってしまい、角煮らしさが薄れてしまう。そのため、下処理は水から下茹でするだけにしておこう。人によってはこの工程も省いているが、肉の臭みを取り、上質な味わいにしたいのであれば必須である。
何度も火を入れるのはNG
豚モモは脂肪が少なく、あまり長時間火にかけていると硬くなりやすい特徴を持つ。そのため、豚バラの角煮のように何日も寝かせて、何度も火を入れることでより美味しくなるということはないので注意が必要だ。豚モモを使った煮込み料理は角煮に限らず、なるべく早めに食べきろう。
3. 豚肩ロースを使った煮込み料理のコツ

ロースとは豚の背中の肉だが、煮込み料理に使うのであれば、通常のロースは硬くなりやすいためNG。筋と脂身の多い肩ロースを選ぼう。また、煮込み料理に使うのなら、その筋っぽさがよい噛みごたえとなる焼豚がおすすめだ。
下処理で硬くなるのを防ぐ
豚かたまり肉全体にフォークを突き刺しておくことで、味がしみやすくなるほか、縮みを抑えることもできる。次にタコ糸を巻き付け、フライパンで全体に焼き目をつけていこう。これは弱い中火で行い、豚バラと同様に余分な脂や臭みを落とし、旨味だけを閉じ込めるために行う。
圧力鍋にかけた後に更に煮詰める
圧力鍋で煮込むだけでは、汁を煮詰めることは難しく、味をしみ込ませることはできない。そのため、圧力鍋にかけた後に、ふたを開けた状態で煮詰める必要があるのだ。ただし、圧力鍋はしばらく放置して減圧してからふたを開けるようにするほか、中火かつ豚かたまり肉を転がしながら行い、焦がさないように注意しよう。
何度も火を入れるのはNG
ロースと比べると脂身の多い豚肩ロースだが、豚バラと比べると硬くなりやすい傾向にある。そのため、豚モモと同様に再加熱はなるべく避け、早めに食べきることが美味しく食べられる秘訣だ。
結論
圧力鍋は材料を入れてしまえば、肉の部位別特徴やそれにともなった下処理方法といった基礎知識を持たずとも、それなりのものができてしまう。それは確かに簡単なことだが、一方で素材の本当の旨味を知らないままになってしまう恐れもあるということだ。より美味しい煮込み料理を作りたいと思うのであれば、このような基礎知識をつけることの大切さも忘れずにおきたい。