1. ごま油と太白ごま油の特徴
太白ごま油(たいはくごまあぶら)とは、煎ったごまを使う「通常のごま油」とは異なり、生のごまを搾って作ったごま油のことである。ごま油としての優れた性質を残しつつ、生絞りにすることで煎りごま独特の色味や香りを軽減していることが特徴。そのため、クセの少ない油として揚げ物・炒め物・ドレッシング・洋菓子などに幅広く使うことができる。
太白ごま油の製造方法
太白ごま油の製造ではごまを焙煎しないことが特徴で、基本的な製造過程は「通常のごま油」とほぼ同じだ。食品メーカーによって作り方は若干異なるのだが、おおむね以下のようにして作られる。
- 選別:ごま油に使うごまを選ぶ
- 抽出:圧搾製法または抽出法により油を取り出す
- 精製:抽出したごま油の色味や香りを取り除く
- ろ過:精製したごま油内の不純物を取り除く
- 充填:品質に問題がないごま油をビン詰めして完成
なお、名前に「太白ごま油」とついているため、一見すると「白ごま」が使われているように見える。しかし、実際には白ごま以外に、黒ごまが使われていることもある。太白ごま油は「太い白ごま油」ではなく「太白のごま油」という意味であるので、間違わないようにしよう。
太白ごま油の「太白」の意味
太白ごま油は、マルホン胡麻油で有名な竹本油脂株式会社の登録商標であり同社が命名した。この太白とは中国での古い「金星」を指す言葉であり、金星は夜明けに最も輝いて見えることから「宵の明星(一番星)」などと呼ばれている。そのような他よりも輝く金星(太白)にちなんで、「他かのごま油よりも優れている」という意味を込めた太白ごま油にしたのだという。
2. 太白ごま油と通常のごま油の違いは?
太白ごま油と通常のごま油の一番の違いは「焙煎の有無」であることはすでに説明している。ここでは「焙煎の有無」によって、味・風味・栄養面などにどのような違いが生じるのかを紹介する。
太白ごま油とごま油の共通点
焙煎の有無に関係なく、「酸化のしにくさ」「ノンコレステロール」「ごま本来のうま味」といったごま油としての優れた特徴は共通している。それぞれのポイントを簡単にまとめておくとしよう。
- 酸化のしにくさ:抗酸化作用のあるポリフェノール「セサミン」を多く含むため
- ノンコレステロール:原材料にコレステロールを含む動物由来の物質を使わないため
- ごま本来のうま味: 生のごまの中心部にあるうま味成分もしっかりと抽出するため
太白ごま油とごま油の相違点
焙煎の有無により大きく異なるのが「色味」と「風味」である。太白ごま油の色味は、透き通った白色をしており、お酢のような色味に近い。また、風味に関しては、香り成分であるピラジンを反応させないため、ほとんどゴマ特有のニオイはしない。そのため、ゴマ特有の香り付けをしたい料理には不向きだが、ゴマ臭さを避けたい洋菓子・ドレッシング・揚げ物などには非常におすすめである。
3. 太白ごま油の美味しい使い道
ごまの香りが少ない太白ごま油は、ドレッシングやパスタのオイル、揚げ物、炒め物、お菓子・パン作りなどさまざまな料理に活用できる。そこでおすすめの使い道を二つ紹介しておこう。
使い道1.揚げ物
酸化しにくい太白ごま油は揚げ物との相性が非常によく、ゴマの香りを移すことなくカラッと仕上げることができる。ただし、太白ごま油は少々値段が高めなので、揚げ物のように大量に使う場合は「通常のごま油」などとブレンドするのがおすすめ。太白ごま油7に対しごま油3程度で合わせよう。
使い道2.オイル漬け
香りが少なくうま味が強い太白ごま油は、オイル漬けに使っても美味しい。特におすすめしたいのは「牡蠣のオイル漬け」だ。煮詰めた牡蠣を保存容器に移してから、たっぷりの太白ごま油で漬け込むだけ。2日程度漬け込むだけでもよいが、1週間程度漬け込むとうま味が染み込み美味しく仕上がる。
4. 太白ごま油のおすすめ品を紹介!
太白ごま油は、「太白(たいはく)」の登録商標を持つ竹本油脂株式会社をはじめ、さまざまな食品メーカーが製造している。ここでは数ある太白ごま油の中から、特に人気の二つを紹介しておこう。
マルホン「太白胡麻油」
「マルホン 太白胡麻油」は、竹本油脂株式会社が製造・販売している太白ごま油である。食品安全マネジメントシステムの認証を満たした亀岩工場で製造しており、昔ながらの圧搾製法にこだわっていることが特徴。揚げ物や炒め物などのほか、お菓子やパン作りなどに使う人も多くいるようだ。
九鬼「太白純正胡麻油」
「九鬼 太白純正胡麻油」は、ごま油の老舗である九鬼産業株式会社が製造・販売している太白ごま油だ。「低温圧搾法」から作られた太白純正胡麻油は、あっさり感とサラサラ感が特徴なのにうま味があって美味しい。炒め物やお菓子作りにいいが、ドレッシングとして使うのが特におすすめだ。
結論
ごま油としての優れた特徴がありつつ、クセが少ないため使い勝手のよい「太白ごま油」。その使い勝手の観点で評価すると、「太白」の名前のとおり他のごま油よりも優れているといえそうだ。ごま油を使いたいが、ごまの独特な風味が苦手という人にもおすすめ。もし興味があれば一度試してみるといいだろう。
【参考文献】
- ※:竹本油脂株式会社「太白(たいはく)胡麻油について」
https://www.gomaabura.jp/taihaku.html
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