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【管理栄養士監修】じゃがいもの栄養素!じゃがいも料理の栄養価も!

【管理栄養士監修】じゃがいもの栄養素!じゃがいも料理の栄養価も!

投稿者:オリーブオイルをひとまわし編集部

監修者:管理栄養士 中山沙折(なかやまさおり)

鉛筆アイコン 2021年9月 7日

身近で食べる機会の多い「じゃがいも」。イモ類であり炭水化物が多いイメージはあるものの、実際にどのような栄養素を含んでいるのか知らない人も多いだろう。そこで今回は、文部科学省の「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」を参考に(※1)、じゃがいもの栄養価や栄養素について詳しく解説する。また、じゃがいもの芽に多く含まれる天然毒素の「ソラニン」についても説明する。

  

1. じゃがいもとは?

じゃがいも(馬鈴薯)とはナス科ナス属の植物の一種で、地中で大きく育った茎部分(塊茎)を食用としている。2大品種と呼ばれる「男爵薯」と「メークイン」をはじめさまざまな品種が生産されており、農林水産省によれば2019年の収穫量は約240万トンとなっている(※2)。使い道もカレー・フライドポテト・マッシュポテトなどと多く、非常によく食べられている野菜の一つといえる。

2. じゃがいもの基本的な栄養価

一般的にじゃがいもは野菜に分類されるが、栄養面から見ると「穀物に準ずる農作物(イモ類)」に分類されることが多い。これはじゃがいもが炭水化物を多く含んでおり、米や小麦のような主食の役割を持つからだ。そんな特徴を持つ「じゃがいも(生)」の100gあたりの栄養価を確認しよう。

じゃがいも(皮なし/生)100gあたりの栄養価

  • エネルギー:59kcal
  • たんぱく質:1.8g
  • 脂質:0.1g
  • 炭水化物:17.3g
  • 脂肪酸
     ・飽和脂肪酸:0.02g
     ・一価不飽和脂肪酸:0g
     ・多価不飽和脂肪酸:0.02g
  • ビタミン
     ・βカロテン:2μg
     ・ビタミンD:0μg
     ・ビタミンE:Tr
     ・ビタミンK:1μg
     ・ビタミンB1:0.09mg
     ・ビタミンB2:0.03mg
     ・ナイアシン:1.5mg
     ・ビタミンB6:0.2mg
     ・ビタミンB12:0μg
     ・葉酸:20μg
     ・パントテン酸:0.5mg
     ・ビオチン:0.4μg
     ・ビタミンC:28mg
  • ミネラル
     ・ナトリウム:1mg
     ・カリウム:410mg
     ・カルシウム:4mg
     ・マグネシウム:19mg
     ・リン:47mg
     ・鉄:0.4mg
     ・亜鉛:0.2mg
     ・銅:0.09mg
     ・マンガン:0.37mg
     ・ヨウ素:1μg
     ・セレン:0μg
     ・クロム:4μg
     ・モリブデン:3μg
  • 食物繊維:8.9g
     (・水溶性食物繊維:0.4g)
     (・不溶性食物繊維:0.8g)

3. じゃがいもの特徴的な栄養素

前述のとおり、イモ類であるじゃがいもは炭水化物を多く含んでいる。しかし、そんなじゃがいもはビタミンCやビタミンB群などを多く含むことから、フランスでは「大地のリンゴ」と呼ばれているそうだ(※3)。そんなじゃがいもの特徴的な栄養素を一つずつ紹介する。

その1.炭水化物

じゃがいもは、100gあたり17.3gの炭水化物を含んでいる。炭水化物は、身体を動かすための重要なエネルギー源となっている。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年)」によれば、成人男性(18~64歳)の1日あたりの炭水化物の摂取目標量は、1日の摂取エネルギーの50~65%相当とされている(※4)。

その2.食物繊維

じゃがいもは100gあたり8.9gの食物繊維を含んでおり、サツマイモの2.2gに比べると4倍以上多いとわかる。そのため、じゃがいもの実際のデンプン量は思っている以上に少ないといえる。食物繊維は現代人に不足気味といわれているため(※4)、積極的に食べるとよいだろう。

その3.ビタミン類を多く含んでいる

「大地のリンゴ」と呼ばれることもあるじゃがいもは、ビタミンC、ビタミンB6、ナイアシンなどの水溶性ビタミンを多く含んでいる。特にビタミンCは100gあたり28mgであり、リンゴ(皮つき)の6mgに比べると約4.7倍も多く含んでいる(※1)。ビタミンCには皮膚や細胞のコラーゲンの合成をサポートしたり、抗酸化ビタミンとして活性酸素の働きを抑えたりする役割などがある(※4)。

その4.カリウムが多く含まれている

炭水化物やビタミンC以外では、カリウムの含有量の多さも目立つ。カリウムはナトリウムの排出などに関わっている必須ミネラルの一種で、成人男性(18~64歳)の1日の摂取目標量は3000mgとなっている(※4)。そのため、100gあたり410mgのカリウムを含むじゃがいもは、効率よくカリウムを摂るのに向いている。

4. 炒め物と茹で物で栄養価は変わる

「日本食品標準成分表」には、生のじゃがいも以外に「蒸し」や「水煮」などといった調理方法別に栄養価を収録している。そこで調理によりじゃがいもの特徴的な栄養価である炭水化物・食物繊維量・カリウム量などがどのように変わるのかチェックしてみよう。

調理法別のじゃがいもの栄養価

  • 蒸し:エネルギー76kcal/炭水化物18.1g/食物繊維3.5g/カリウム420mg
  • 水煮:エネルギー71kcal/炭水化物16.9g/食物繊維3.1g/カリウム340mg
  • フライ:エネルギー159kcal/炭水化物26.2g/食物繊維3.9g/カリウム570mg
  • 乾燥マッシュ:エネルギー347kcal/炭水化物82.8g/食物繊維6.6g/カリウム1200mg
    ※乾燥マッシュは一度マッシュポテトにしたものを粉末加工したものをいう

調理法によっては栄養素が流出する

生のじゃがいもと調理したじゃがいもを比べると、全体的に食物繊維量が減っていることがわかる。これはじゃがいもに含まれる水溶性食物繊維の「ペクチン」が調理により流出しているからと考えられる(※6)。また、茹でたときだけカリウム量が減っているが、これはカリウムが水に溶けだしやすい性質を持っているからだ(※7)。調理法により栄養価が変わるということは覚えておこう。

5. じゃがいもの栄養を上手に摂るコツ

炭水化物・食物繊維・カリウムなどの栄養素を多く含んでいるじゃがいもだが、茹でたりすると栄養素が流出してしまう。そこでおすすめは、電子レンジを使って下茹ですること。また、1食分のじゃがいも量は、70g程度を目安にするのがよい。

その1.電子レンジで下茹でしよう

じゃがいもの下ごしらえは、一般的にお湯で茹でて行うことが多い。しかし、水溶性の栄養素の流出を防ぐなら、電子レンジで加熱するほうがおすすめだ。やり方は簡単で、水洗いをしたじゃがいも1個を食品用ラップに包む。それから600Wの電子レンジで約3分加熱すれば完了だ。なお、加熱直後のじゃがいもは非常に熱いので、やけどなどに注意しよう。
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その2.1食分は70g程度にしよう

じゃがいもの1日あたりの上限量は決められていない。しかし、農林水産省などの「食事バランスガイド」によれば、じゃがいも70g程度で「1SV」となっている(※8)。副菜は1日に5~6SVとされているが、ほかの食品も食べるほうがいいので、1食分は70g程度を目安に食べるようにしよう。

6. じゃがいもの栄養に関するよくある質問

ここまでじゃがいもの栄養価・栄養素について詳しく説明してきたが、まだじゃがいもの栄養について疑問や質問などがあるだろう。そこで最後にじゃがいもの栄養に関するよくある質問に回答する。

Q1.皮つきと皮なしで栄養価は変わる?

「日本食品標準成分表」には皮なしのじゃがいもの栄養価だけでなく、皮つきのじゃがいもの栄養価も収録されている。基本的に皮つきと皮なしで栄養価の差は見られないが、食物繊維は「皮つき」のほうが多い。100gあたりの含有量を見ると、皮つきは9.8gで、皮なしは8.9gとなっている。フライドポテトなどにする場合は、天然毒素の「ソラニン」などに気を付けながら皮つきで調理しよう。

Q2.じゃがいもに含まれる天然毒素とは?

じゃがいもの芽や緑色になった部分は、天然毒素である「ソラニン(ポテトグリコアルカロイド)」や「チャコニン(カコニン)」を多く含む。農林水産省によれば体重50kgの人が50mg程度のソラニンやチャコニンを摂取すると、腹痛・吐き気・下痢・頭痛・めまいなどの症状が現れるという。また、一度に大量に摂りすぎると命の危険もある(※9)。必ずじゃがいもの芽や緑色の部分を取り除こう。
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結論

じゃがいもは炭水化物が多い食品ではあるものの、その含有量は同じイモ類であるサツマイモよりも少ない。また、現代人に不足しがちな食物繊維やカリウムなどを多く含んでいる。栄養バランスがよいとはいえないものの、一部の栄養価は高く満腹感も得られる食品なので積極的に食べるとよいだろう。
【参考文献】
■※1:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
https://fooddb.mext.go.jp/
■※2:農林水産省「作物統計調査」
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/sakumotu/sakkyou_yasai/index.html
■※3:農畜産業振興機構「ばれいしょ」
https://www.alic.go.jp/y-suishin/yajukyu01_000313.html
■※4:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
■※5:厚生労働省「食物繊維の必要性と健康」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html
■※6:小林祐子、知地英征、近藤敬治「ニンジン,ゴボウ,シメジ,ワカメの調理加工による食物繊維の変化」
https://ci.nii.ac.jp/naid/110008426081
■※7:東邦大学「栄養素の名は~カリウム制限と高カリウム血症予防の為に~」
https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/ohashi/neph/patient/tjoimi0000000aor-att/tjoimi0000000b91.pdf
■※8:農林水産省「「食事バランスガイド」の適量と料理区分」
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kenzensyokuseikatsu/about_b_guide.html#kubun
■※9:農林水産省「ジャガイモによる食中毒を予防するために」
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/naturaltoxin/potato.html
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  • 公開日:

    2020年2月 3日

  • 更新日:

    2021年9月 7日

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