1. 火が通っても肉は自然には剥がれない

誤解しがちなのが、生の肉は水分があってペタッとくっついているが、火が通れば表面が固まるので自然と一枚ずつ剥がれていくだろうという考え。これは、実際にやってみると、間違いだということに気づくはず。肉豆腐でもすき焼き風煮物でも肉野菜炒めでも、肉が重なっているまま火を通すと、そのままの状態でキュッと固まってしまう。それを無理やり菜箸ではがそうとすると、肉が途中で切れたり、中から出てきた肉がまだ赤かったり‥‥手抜きの罰が下るのだ。
2. 煮物は広げて入れることで、具材に肉汁がしみる

もうひとつ、丁寧に作業をしないと罰が下ることがある。それは、牛切り肉を使う煮物の場合、肉を広げて具材の上にそっと並べて入れること。そうすることで、短時間で肉から滲み出るだしが具材と煮汁に滲み込み、肉の旨味がしみ込んだ美味しい肉味の煮物が出来上がるのだ。
もし、ドサッと無造作に鍋に投入すると、肉は固まり、豆腐や野菜など一緒に煮た具材への味のつき方がまちまちになってしまう。
もし、ドサッと無造作に鍋に投入すると、肉は固まり、豆腐や野菜など一緒に煮た具材への味のつき方がまちまちになってしまう。
3. 煮立った煮汁に入れれば汁が濁らない

最後に、もうひとつ。牛肉は長く火を通せば硬くなる。短時間で効率よく旨味を引き出すことが肝心だ。そのためには、煮立った煮汁の中に入れること。煮汁の温度が低いうちに入れると、火が通り旨味が出るまでに時間がかかり硬くなるだけでなく、肉の表面がさっと固まらないので、煮汁に肉の脂分がじわじわ出て、煮汁が濁ってしまうのだ。濁る=雑味が出るということなので、注意したい。
結論
魚の煮物ほど難しくないと考えられている肉の煮物だが、ほんの少しの手間を惜しむと、思ったほど美味しい料理は出来上がらない。キッチンに立ったら心を落ち着かせ、丁寧な手仕事で料理を楽しみたいものだ。
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