1. 干し野菜の効能

馴染み深い食品
日本人にとって、干し野菜は馴染みの深い存在。切り干し大根、干し芋、キクラゲ、干し椎茸など、食卓に浸透しているものもとても多い。そんな干し野菜が生まれたのは、1500年以上前と言われている。今ほど、冷蔵技術が発展していなかった頃、野菜を保存しておくのは容易ではなかった。さらに農業技術もまだまだ発展途上だったため、夏場に比べて、冬場の収穫量はかなり少なく、食べるものに困ることもあったよう。
保存と腐敗
先人たちは前述のような背景から、なんとか野菜を長持ちさせたいと考えた。そこで干すという知恵を編み出したのだ。ちなみに干し野菜は、天日に当て、野菜の水分を抜くことで完成する。水分は、腐敗の原因となる菌の繁殖に欠かすことのできない要素。その水分がなくなることで、菌が繁殖しない=腐敗を抑えることができるのだ。このおかげで夏に収穫した野菜を冬に食べることができるようになったのだ。
美味しさUP
かつては科学的に解明されていなかったが、実は干すことで旨味や栄養がUPすることがわかってきた。まず、干すことで野菜特有の青臭さが抜ける。さらに余分な水分が抜けることで、旨味や甘みが凝縮される。また太陽の光に当てることでビタミンDが増加することも報告されている。ビタミンDは、カルシウムや食物繊維の吸収に重要な役割を果たすことが知られている。
2. 干し野菜の作り方

太陽に当てるだけ
干し野菜は家庭でも十分に作ることができる。というのも、特別な道具などが必要ないのだ。野菜を切り、天日に当てる。すなわち太陽の下に干すだけ。いたってシンプルな方法で、野菜が美味しくなるのだから、これはやらない手はない!干す容器は、大きなひらざるがあればベストだが、新聞紙の上などでもOK。くっつかないよう広げよう。
失敗を防ぐコツ
コツと言うほどのものもないが、片面だけを干し続けるとくっついてしまう危険性があるので、片面が乾燥してきたら、ひっくり返すといいだろう。完全に干し野菜にするならば、種類や切り方などにもよるが、晴天のもと、2~3日乾燥させよう。
初心者は半干しが◎
完全に水分を抜いた干し野菜は、およそ1年以上保存が可能。ただ干し野菜を作るには、晴天で2~3日と時間がかかる。初心者であれば、半日ほど干した半干しもオススメ。いわゆるセミドライと言われる状態だ。この場合、完全に水分が抜けきるわけではないので、保存期間は生野菜とさして変わらない。しかし、旨味はぐっと増えるので手始めにトライするには最適だろう。
3. 干し野菜のアレンジ

向いている野菜
基本的にどんな野菜も干し野菜にすることができる。中でも個人的にオススメしたいのは、シメジやエリンギなどのキノコ、プチトマト、きゅうり、白菜やキャベツ、レンコン。このあたりだろうか。特にキノコは、味の凝縮がわかりやすく感じられる。キュウリや白菜は、干してから漬物にするとプロっぽい味わいに。プチトマトは、干して、オリーブオイルにつけて保存するとパスタやお酒のあてにぴったり。
使い方
完全に水分を抜いた干し野菜は、水で戻して使うのが基本。戻した水にも美味しさが詰まっているので、上手に活用しよう。煮物などに使う場合は、戻し汁に調味料を加え、煮るといいだろう。半干しの場合は、水で戻す手間は必要なし。生野菜と同様に使うことができる。
結論
干し野菜の魅力を感じるには、まず作って食べてみるのが1番。どうしても地味な印象がつきまとうが、その味を知ったら、ハマることうけあい。これから迎える冬は、乾燥している日も多く、干し野菜作りに最適だ。ぜひ、半干しからスタートしてみては?
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