目次
1. 和食に大活躍の「ひじき」の特徴

和食の世界で大活躍のひじきは、海藻である。主食の一品として、お弁当箱の一隅を埋めるおかずとして、日本人には非常になじみのある食材である。ひじきはもっぱらひらがなで表記されるが、漢字は存在するのだろうか。ここで、ひじきとは本来どんな食べ物であるのかおさらいをしてみよう。
ひじきは海藻の一種
ひじきは、寒海域を除く日本全土に分布するホンダワラ科の海藻である。潮間帯の岩上に群落を作って生息している。平安時代にはすでに比須岐毛(ひずきも)と呼ばれて、日本の食卓に登場していたことがわかっている。ひじきは通常ひらがなで表記されるが、漢字では「鹿尾菜」や「鹿角菜」という文字があてられる。
ひじきの旬や産地
通年で出回るひじきは旬を意識することが少ない。実際には、冬から春が繁茂シーズンである。春の終わりからは衰えていくのが常である。ひじきは寒海の一部をのぞいて日本全国に生息しているとされているが、産地として有名なのは千葉県や三重県、和歌山県である。
ひじきの種類
海藻のひじきは1mほどの大きさが平均的であるが、まれに2mにも及ぶこともある。そのひじきは、販売されるにあたり二種に分けられることをご存じだろうか。ひとつは長ひじきと呼ばれるもので、これは海藻の茎の部分にあたる。歯ごたえのよさが身上である。もうひとつは芽ひじきで、こちらは海藻の葉の部分である。長ひじきと比べると食感がイマイチながら、ほかの食材と絡みやすいという長所がある。
2. 煮物だけじゃない!ひじきの食べ方アレンジ

ひじきといえば煮物が王道であるが、実際にはアレンジ方法が多い。その地味な外観から子どもたちからは敬遠されがちなひじきも、料理法によっては彼らを喜ばせる一品へと早変わりするのである。ひじきを使った料理のいくつかを紹介する。
定番・人気のひじきの煮物
おふくろの味の定番でもあるひじきの煮物は、ひじき料理の定石である。大豆、にんじん、油揚げなどとともに、出汁や醤油で煮込んでいくのが普通である。乾燥の大豆を使用する場合は、戻した汁も加えるとコクが出る。いずれの家庭にも食べ慣れた味が存在するひじきの煮物は、食べ飽きない美味が魅力である。
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ひじきの炊き込みごはん
ひじきをごはんに炊き込んでしまえば、子どもも喜んで食べる可能性は高い。作り方は簡単で、乾燥ひじきを戻して水気をきり、洗った米の上にほかの具材とともにのせて炊くだけである。味付けは、醤油やみりん、酒や出汁など和食における典型的な調味料で問題ない。大豆やにんじん、油揚げとともに炊き込み、仕上げに刻み生姜を散らせば食欲も刺激される。
ひじきのサラダ
和食のイメージがあるひじきであるが、サラダにして洋の調味料と合わせることもできる。ツナやきゅうりとともにマヨネーズで味付けたり、豚しゃぶサラダにひじきをまぶして好みのドレッシングとかけたりしても美味しい。ポテトサラダに入れたり枝豆などの旬の食材と合わせたり、サラダ感覚ならばひじきもより食べやすくなる。
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ひじき入りハンバーグ
ひじきを使ったハンバーグは、ヘルシーであるだけではなく子どもも含めて家族で美味しく食べることができるのが嬉しい。豆腐や鶏のひき肉とともにひじきもハンバーグのタネに投入し、あっさりと和風ハンバーグにするのである。大根おろしなどをトッピングすると、より和風を演出できる。豆腐の水気をよく除去して使うのが美味しく作るコツである。
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ひじきと豆腐の和え物
健康的なおつまみにもなりそうな一品が、ひじきと豆腐の和え物である。戻した乾燥ひじきと豆腐を和えて、醤油や出汁で味付けをする。そのほか、好みの具材を加えてもよいだろう。練りごまやねぎを加えてアクセントをつけ、酒の肴にしてみてほしい。
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ひじきのふりかけ
ひじきの自家製ふりかけを作ることもできる。水に戻す必要のないひじきを使い、ちりめんじゃこやごまやかつおぶしを煮詰めていくのである。醤油、砂糖、みりん、酒などを使って甘辛く仕上げればごはんもすすむふりかけとなる。
3. ひじきの煮物のリメイクアイデア

ひじきの煮物は翌日の朝食やお弁当にも役に立つことから、ついつい作りすぎてしまうことも多い。煮物が傷んでしまう前に、リメイクして使いきるのもひとつの手である。最も簡単なリメイクは、白いごはんに煮物の混ぜるだけの混ぜごはんである。子どもも喜ぶ味付けごはんとなる。より味をしみ込ませたいのならば、ひじきの煮物を炊き込んでしまっても美味しい。お弁当のおかずのために趣を変えたければ、卵焼きの具として煮物を入れてみよう。ひじきの煮物の甘辛さを活用するならば、鶏のつくねにするというのはどうだろう。あんかけ風にすれば、見ためもなかなか豪華な一皿になる。
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4. 鉄分が豊富?ひじきの栄養やカロリー

ひじきは海藻類であることからも、栄養面において見るべきものは多い。健康食のイメージもあるひじきは、どのくらいのカロリーになるのだろうか。具体的にひじきが有する栄養素とともに詳細を見てみよう。
ひじきのカロリーや糖質
まず、ひじきのカロリーや糖質を見てみよう。数値の相違は、加工における釜の素材のよって発生する。
ひじき100gあたりのカロリーと糖分(※1)
いずれも、健康的な数値といって問題ないだろう。ほかの食品と比較してもカロリーが低い
ことから、さまざまな料理に活用する根拠となっている。
ことから、さまざまな料理に活用する根拠となっている。
ひじきの栄養と効果
つぎは、ひじきに含まれる栄養分について紹介する。茹でた状態のひじきの栄養量を参考にしてみよう。(※1)
ひじきは海藻であるから、ミネラルが豊富である。ひじきに含まれる豊富なカルシウムは、骨や歯をつくるための重要な栄養素である(※2)。また、カリウムは体内における塩分の調整をする作用がある(※3)。マグネシウムは代謝の一助となり(※4)、ヨウ素は骨の発育を促進するとされている(※5)。βカロテンは皮膚に有益な栄養となるビタミンAとなり(※6)、ビタミンKは血液を凝固させる働きをもつ(※7)。
ひじきの鉄分のいまと昔
かつてのひじきは、鉄分の量に関しては王様級であった。具体的に数字で見ると、鉄釜製の乾燥ひじき100gあたりの鉄分は58mgで、ステンレス釜製の乾燥ひじきでは6.2mgと大きな差異がある。かつては鉄製の鍋を使っていた加工は、現在ステンレス製のものに変わったのである。そのほかの栄養素においては大きな差異が出ないものの、鉄分に関してだけは大きなデメリットとなったわけである(※8)。
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5. ひじきの煮物は冷凍保存が便利

乾燥ひじきを戻す手間を考えると、ひじきの煮物は多めに作っておくのが便利である。作ったひじきの煮物は、冷凍すると最大で1ヶ月ほど保存が可能となる。お弁当箱にそのまま入れることができるように小分けにしておかずカップに入れたり、1食分ずつに分けてラップに包み、専用の袋に入れて冷凍する。また、大きめのフリーザーバッグにまとめて入れても、ぱらぱらとほぐれるために必要な量を解凍することも可能である。注意点としては、コンニャクを具に含めないことである。おかずカップのひじきならばそのままお弁当箱へ、それ以外の冷凍ひじきの煮物は電子レンジで解凍が可能である。冷蔵庫での自然解凍は3時間を要することを覚えておこう。
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6. ひじきにはヒ素がある?食べると危険って本当?

農林水産省によれば(※9)、ひじきには微量のヒ素が含まれることが報告されている。ひじきに含まれるヒ素は無機ヒ素と呼ばれるものが大半で、水溶性である。そのため、水で洗い流し、茹でこぼしていく過程でかなりの量は除去されることもわかっている。ひじきにおけるヒ素はまだ研究途上の部分もあり、農林水産省は研究結果を逐次報告することを明言している。いずれにしても、正しい水洗いや茹でこぼしを行えば健康に大きな被害を与えることはないようである。
結論
日本の食卓に古来定着しているひじきは、煮物としてだけではなくさまざまな食べ方が存在する。豊富なミネラルを含むひじきは、子どもたちも喜ぶ料理法で定番メニューに加えたいものである。
(参考文献)
※1.文部科学省「食品成分データベース(ひじき)」
藻類/ひじき/ほしひじき/ステンレス釜/ゆで
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=9_09051_7
藻類/ひじき/ほしひじき/鉄釜/ゆで
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=9_09054_7
藻類/ひじき/ほしひじき/ステンレス釜/油いため
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=9_09052_7
藻類/ひじき/ほしひじき/鉄釜/油いため
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=9_09055_7
※2.厚生労働省「e-ヘルスネット(カルシウム)」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-042.html
※3.厚生労働省「e-ヘルスネット(カリウム)」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html
※4.厚生労働省「e-ヘルスネット(マグネシウム)」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-034.html
※5.小学館「日本大百科全書(ヨウ素)」
※6.小学館「デジタル大辞泉(ビタミンA)」
※7.旺文社「化学辞典(ビタミンK)」
※8.医療法人社団倫生会みどり病院「鉄の王様から退位したひじきについて」
https://midori-hp.or.jp/nutrition-blog/hijiki_not_a_lot_of_iron/
※9.農林水産省「ヒジキに含まれるヒ素の低減に向けた取組」
https://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/kome/k_as/maff_hijiki.html
※1.文部科学省「食品成分データベース(ひじき)」
藻類/ひじき/ほしひじき/ステンレス釜/ゆで
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=9_09051_7
藻類/ひじき/ほしひじき/鉄釜/ゆで
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=9_09054_7
藻類/ひじき/ほしひじき/ステンレス釜/油いため
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=9_09052_7
藻類/ひじき/ほしひじき/鉄釜/油いため
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=9_09055_7
※2.厚生労働省「e-ヘルスネット(カルシウム)」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-042.html
※3.厚生労働省「e-ヘルスネット(カリウム)」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html
※4.厚生労働省「e-ヘルスネット(マグネシウム)」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-034.html
※5.小学館「日本大百科全書(ヨウ素)」
※6.小学館「デジタル大辞泉(ビタミンA)」
※7.旺文社「化学辞典(ビタミンK)」
※8.医療法人社団倫生会みどり病院「鉄の王様から退位したひじきについて」
https://midori-hp.or.jp/nutrition-blog/hijiki_not_a_lot_of_iron/
※9.農林水産省「ヒジキに含まれるヒ素の低減に向けた取組」
https://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/kome/k_as/maff_hijiki.html
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