目次
- 1. 食用油の正しい保存方法は「未開封」か「開封済み」かで異なる
- 2. 使用済みの揚げ油の正しい保存方法
- 3. 揚げ油は何回使える?劣化した油の見分け方
- 4. 油の正しい処分方法・廃棄方法も覚えておこう
1. 食用油の正しい保存方法は「未開封」か「開封済み」かで異なる

まずは一般的なボトル入り食用油の適切な保存方法から見ていこう。
未開封の油の正しい保存方法
油が酸化する原因は主に光・熱・空気(酸素)である。これらに触れることで油は酸化しやすくなり、風味が落ちたり変色したりする。未開封のものは空気に触れることはないが、それ以外の要素は排除すべきだろう。すなわち直射日光や室内光が当たらない冷暗所に保存するのが正解だ。
もちろん未開封でも窓の近くやコンロ、冷蔵庫の脇など温度が高くなりがちな場所に置けば劣化を招く要因となる。とくに半透明のプラスチック容器に入った油は、未開封でも周囲の環境の影響を受けやすいので気をつけよう。
開封済みの油の正しい保存方法
開封後の油は空気に触れている。熱にもさらされやすくなるため酸化の速度も早まる。風味を落とさないためにも、しっかりキャップを閉めて密閉保存することが肝心だ。キャップが緩いと酸化が促進されるだけでなく、虫などが混入するおそれもある。
当然、未開封のケースと同じく光の当たらない冷暗所に保存し、1〜2カ月を目安に使い切るのが望ましい。
油は冷蔵庫で保存しないほうがよい?
油を冷蔵庫で保存することは、劣化を抑える観点からすればNGではない。しかし長い間冷蔵庫に入れておくと、油の成分が固まって濁った状態になったり凍ったりすることがある。使用すること自体は問題ないかもしれないが、使い勝手が悪くなるため長期間の保存はおすすめできない。
2. 使用済みの揚げ油の正しい保存方法

揚げ油を保存する場合、まずは「こす(濾す)」必要がある。詳しいやり方と保存方法を確認しておこう。
揚げ油を「こす」方法
揚げ油を再利用するには、油こし器などを使って揚げカスをしっかり取り除くことが大切だ。「油こし器」「油こし紙」「保存容器」を用意しよう。こし紙はコーヒーのフィルターやキッチンペーパーなどでもOKだ。
また保存容器はできればホーロー製など油の保存専用のものを用意することをおすすめする。瓶を使うときは必ず耐熱温度を確認することだ。
揚げ油の正しい保存方法
調理が済んだ直後のまだ油が熱いうちに、網目の細かい「網杓子」でカスを取り除く。空気に触れている時間が長くなる分だけ酸化が進むうえ、粘り気が出てこしにくくなる。油が熱いうちに手早く行うのがコツだ。
次に保存容器に、こし器とこし紙をセットしたら、油をこしながら注いでいく。油が完全に冷めたのを確認してからふたをして、通常の開封後の油と同様に冷暗所に保存すればよい。
【オイルポットがあると便利】
ろ過と保存がひとつでできる「オイルポット」がおすすめだ。揚げカスをろ過する網とフィルター、それに保存容器がセットになっている。ろ過したらそのままふたをするだけという便利なグッズだ。何度でも使えてコスパのよい「網タイプ」がおすすめである。
そのほか、フィルター交換は必要だが細かな揚げカスまで処理できる「フィルター・カートリッジタイプ」などがある。揚げ物の頻度によって選び分けるとよいだろう。
【ペットボトルやガラス瓶での保存はおすすめしない】
使い古しのペットボトルやガラス瓶などを保存容器として使う手もある。だがペットボトルは耐熱性が低く、またガラス瓶もモノによってバラつきがあるなど危険だ。油をしっかり冷ましてから注ぐことが重要になるのだが、その冷ましている間に酸化が進むおそれがある。
やはり専用の容器がおすすめだ。なお透明な容器で油を保存する場合、アルミホイルなどを巻いて光を遮断することで光から守るとよい。
3. 揚げ油は何回使える?劣化した油の見分け方

揚げ油を再利用する場合、何回くらいまで繰り返し使えるのか?使わないほうがよいのはどういった状態の油なのか?など疑問を感じることもある。実際にはケースバイケースだが、基準は知っておいたほうがよいだろう。
調理や保存方法にもよるが一般的には2〜4回ほど再利用が可能
調理方法などで変わるが、再利用できるのは2〜4回といわれている。たとえば野菜を素揚げしたり天ぷらにしたりといった程度であれば、汚れはそれほどひどくないため再利用しやすい。一方、カツや魚のフライ、唐揚げなどは汚れやすくなる。
処分したほうがよい揚げ油は?劣化した状態を見極めるポイント
2〜4回はあくまで目安だ。1回しか使っていなくても、汚れたり酸化したりすれば再利用は避けたほうがよい。たとえば色が濃くなっていたり異臭がしたり、粘り気が出ていたりする油は劣化していると考えられる。
また高温(180℃程度)になると煙が出る、加熱とともに気泡が消えにくくなるといった油も劣化していると考えよう。これらは再利用を控えたほうがよい。
【酸化した油を使い続けるリスク】
賞味期限切れの油や使い古した揚げ油は、酸化が進んでいるおそれがある。少量の摂取で大きな健康被害はないとされてはいるものの「程度」がわからないため安心してはいけない。人によっては胸やけや胃の不快感が出たり、下痢やおう吐などの症状が出たりする場合がある。
また酸化した油は「過酸化脂質」という物質が増えることから、身体にとって有害ともいわれている。見た目やにおいに変化が現れるほど劣化した油は使わないよう注意してほしい。
4. 油の正しい処分方法・廃棄方法も覚えておこう

保存方法も重要だが、不要になった油の処分方法も正しく知っておこう。すでに実践しているご家庭がほとんどかもしれないが、確認の意味を込めて最後に解説させていただく。
新聞紙や布にしみ込ませる
空になった牛乳パックなどに新聞紙や捨ててもよい布を詰め、そこへ「冷めた状態の」油を流す。しっかり封をして燃えるごみとして処分しよう。牛乳パックがなければビニール袋などでもよい。
市販の油凝固剤で固める
使用済みの油に混ぜると徐々に固まるというアイテムだ。もっとも手軽に処分できる方法なので、最初はこのやり方がよいだろう。固まったあとは燃えるごみとして処分できる。
廃食用油の回収に出す
自治体にもよるが、不要になった食用油を回収してくれるところもある。不明なときは一度ホームページで確認するか、問い合わせてみるとよいだろう。
流しやトイレに捨てるのは絶対にNG
当然、流しやトイレなどにそのまま捨てるのは絶対にNGだ。環境に悪影響を及ぼすだけでなく、排水管などに冷えて固着すると詰まりが発生するなど、とにかくデメリットやリスクが大きい。
また新聞紙や布などにしみ込ませた油を高温下にさらすことも控えよう。自然発火するリスクがあるためだ。
結論
深く考えずに油をシンク下などに保存しているご家庭は多いかもしれないが、実は光や熱を遮断する理にかなった場所である。開封後は密閉し、空気に触れさせないようにしよう。また酸化が進んだ油は食中毒に似た症状を引き起こすこともある。正しく保存するとともに、再利用する際は劣化にも十分気をつけよう。
この記事もCheck!