- 還元系漂白剤(ハイドロハイターなど)
- 洗濯桶(洗面器)
- 汚れてもよい歯ブラシ
- 洗濯桶にぬるま湯をはり、還元系漂白剤を溶かす
- 白物の服や布を浸け置きする
- 落ち具合を確認し、OKであれば洗濯をして干す
- 弱アルカリ性の液体洗濯洗剤(または食器用中性洗剤)
- 汚れてもよいタオル数枚
- 汚れてもよい歯ブラシ
- タオルを敷き、汚れた服や布をのせる
- 洗剤を数滴たらし、歯ブラシでトントン叩く
- 流水ですすぎ、洗濯をして干す
- ※1:ZEBRA _ ゼブラ株式会社 _ インク汚れの落とし方 __ ジェル・水性ボールペン・水性マーカー・蛍光ペンの落とし方
https://www.zebra.co.jp/zebra/marker4.html - ※2:消費者庁「洗濯表示(平成28年11月30日まで)」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash.html - ※3:消費者庁「洗濯表示(平成28年12月1日以降)」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash_01.html
1. 水性ペンのインクが落ちにくい理由
水性ペンのインクは色をつける「着色剤」と「水」を混ぜ合わせて作られる。軽い筆圧でもしっかり書けるうえ、書き続けても疲れにくいメリットがある。一方、水を弾くガラスやプラスチックには書けない。そんな水性ペンのインクは落としにくいといわれるが、その理由はどこにあるのだろうか?
乾くと成分が素材に定着してしまう
たとえば服に付着した水性ペンのインクは、直ちに対処すれば落とせる可能性がある。だがいったん乾くと繊維に定着し落ちにくくなる。水洗いしようにもインクが滲んでしまい、シミが広がることすらある。
手や顔など皮膚であれば石鹸をつけて洗ったりお風呂に入ったりすることで徐々に落ちていくが、服や布、壁紙や床などは素材により落ちやすさが変わってくる。
水性ペンの落とし方で重要なのはとにかく「スピード」である
上述のように、時間の経過とともに成分が定着し落ちにくくなる。まさに時間勝負というわけだ。とくに服や布は乾くと定着する。水洗いできればまだよいが、できない素材はさらに対処方法が限られてしまうだろう。外出先ですぐに洗えないときなどは、乾いたティッシュでつまんでインクを移すなどできる限りの応急処置をしておこう。
なお本稿では、時間が経って定着してしまった水性ペンのインクの落とし方を紹介するので、焦らず試してみてほしい。
水性ペンのインクが落ちるもの、落ちないものとは?
筆記用具の開発・製造・販売を手掛けるゼブラ株式会社では次のように説明している。メーカーにより成分が異なるため、あくまで参考程度であるが、知っておくと役立つのではないだろうか?(※1)
【水性ペンのインクが付着しても落ちるもの】
皮膚、ガラス・せともの、ホワイトボードなどは水洗いや石鹸などを使って落とせる。
【水性ペンのインクが付着してもほぼ落ちるもの】
金属、ビニールなども、水洗いをすればほぼ落とせる。
【水性ペンのインクが付着すると残ることがあるもの】
プラスチック、布(木綿・麻・毛・絹・ポリエステルなど合成繊維)、壁紙(ビニール系)は水洗いまたは石鹸などを使って落とせる場合があるが、インクが残ってしまうおそれがある。また毛や絹などで水洗いできないものは落とせない。
【水性ペンのインクが付着したら落とせないもの】
紙、木、石・レンガ・ブロック、皮・合成皮革はいずれの方法でも落とせない。
2. 白物の服についた水性ペンの落とし方
それでは、水性ペンのインク汚れの落とし方を紹介していく。まずは白物の服から見ていこう。
「洗濯表示」を確認する
水洗いOKであることが前提だ。洗濯表示を確認してみよう。「洗濯機」または「洗濯桶のマーク」あるいは「手洗イ」の文字や「手のマーク」があれば水洗いできる。「バツ」があればご家庭では水洗いできないため、クリーニング店に相談しよう。なお洗濯表示について詳しく知らない方は、消費者庁のサイトを紹介しておくのでぜひ一度目を通しておこう。(※2)(※3)
用意する洗剤と道具
白物は色落ちの心配がない。強力な洗剤が使える分、落とせる確率も高くなる。鉄や錆びなどの汚れ、赤土によるシミなどを落とす力がある還元系漂白剤は、水性ペンの着色剤を浮かせて落としやすくする作用もある。
落とし方
まずは用意した洗濯桶または洗面器(いずれもなければ洗面ボウルでもOK)に、40℃程度のぬるま湯をはり、パッケージに従って適量の還元系漂白剤を溶かす。次に、インクがついてしまった部分を洗濯液に浸し1時間ほど置いておこう。
時間がきたら取り出してシミの落ち具合を確認する。完全に消すことは難しいため「かなり薄くなっていればよし」としよう。あとは洗濯機でいつものように洗濯して干せば完了だ。洗濯機がNGの服や布は手洗いをしよう。
浸け置き時間は長すぎるのもNG
1時間浸け置きしたものの、ほとんどシミが抜けていないということもある。その場合は、ぬるま湯を交換して再び1時間ほど浸け置きしてみよう。ただしトータル2時間を超えないように注意してほしい。長すぎると繊維が黄ばむなど、別のトラブルを招くおそれがあるためだ。
また毛や絹は30分以上浸け置きしないなど、使用に際しての注意点はいくつかある。必ずパッケージの使用方法や注意点をよく読んでから正しく使おう。
3. 色柄物の服に付着した水性ペンの落とし方
続いて、色柄物の服に付いてしまった水性ペンのインクの落とし方を見ていこう。白物と違い「色落ち」などに注意しなければならない。
「洗濯表示」を確認する
白物と同じように、まずは水洗いOKかどうかを洗濯表示で確認しよう。(※2)(※3)
用意する洗剤と道具
色柄物には還元系漂白剤が使えないため、弱アルカリ性の液体洗濯洗剤を用意しよう。なければ食器用中性洗剤で代用してもOKだ。
落とし方
まずは汚れてもよいタオルを下に敷き、そのうえにシミが重なるよう服や布をのせたら、インクのシミをタオルに「移す」イメージでトントン叩く。ゴシゴシこすると広がるので気をつけよう。また下に敷くタオルは常にキレイな面を当てておきたいので、汚れが移ったらこまめに面を変えるなどしよう。
ある程度シミが落ちたら流水で優しくすすぎ、いつものように洗濯機で洗濯をして干せば完了だ。洗濯機がNGの服や布は手洗いをしよう。
4. 皮膚・壁紙・床(畳)などについた水性ペンの落とし方
服以外のものに付いた水性ペンの落とし方も紹介しておく。
皮膚に付着した水性ペンの落とし方
石鹸をよく泡立ててしっかり洗い、ぬるま湯ですすぐといった基本的な落とし方をしよう。手のシワなどに染み込んだ水性ペンのインクはすぐには落ちないが、生活していく中で次第に落ちていく。入浴中や入浴後などはとくに落ちやすいのでそのタイミングでやるのもよいだろう。
壁紙に付着した水性ペンの落とし方
付いてすぐであれば、汚れてもよい布に水を含ませてシミを拭く。時間が経ったものは完全には落ちないかもしれないが、布に石鹸を塗ってシミを拭き、最後に水に濡らして固く絞った布で拭き取るようにしよう。
消毒用エタノールや除光液を使った落とし方もあるが、壁紙が変色するおそれがある。本稿では推奨しないが試してみたい方は必ず、目立たないところで変色の有無などを確認してからにしよう。
フローリングに付着した水性ペンの落とし方
ワックスがかかっていないフローリングに付着した水性ペンは、フローリング用洗剤を布につけて拭き取ろう。もしくはメラミンスポンジで軽くこするのもよい。ワックスがけがしてあるフローリングは、重曹や研磨剤の入っていないフローリング用洗剤を使う落とし方が有効だ。いずれの場合もフローリングの変色を防ぐため、目立たないところで試してからにするとよいだろう。
畳に付着した水性ペンの落とし方
畳に付着した水性ペンのインクを落とす場合、牛乳が効果的といわれている。牛乳を染み込ませた布で畳のインク汚れをポンポンと軽く拭き取り、最後に消毒用アルコールで牛乳が残らないように拭き取ろう。湿っている場合は扇風機を当て、できる限り速やかに乾かそう。
結論
水性ペンは日常生活で頻繁に使うため、ふとしたはずみで服や壁紙、床などにインクをつけてしまうこともあるだろう。水性ペンのインク汚れは乾くと落ちにくくなるので、紹介した落とし方をできるだけ早めに試してみよう。
(参考文献)
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