1. ほうれん草とは
●産地
日本各地で栽培されているが、千葉、埼玉、群馬などが主な生産地である。ただ、暑さに弱い作物なので、夏場は北関東や東北、北海道など比較的冷涼な地域で育てられ、たくさん市場に出回っている。
●旬
ほうれん草の旬は冬である。しかし、最近は品種改良や栽培方法を変えることで、一年を通して市場に出回っている。ほうれん草の根のほうは赤みを帯びているが、これはてんさいと同じく寒い時期にその部分に甘味を蓄えるからである。冬の霜にあたることで旨みが増すほうれん草。栄養価も冬に採れるほうれん草のほうが高いのである。
●由来
ほうれん草は、漢字で「菠薐草(ほうれんそう)」と書く。「菠薐(ほうれん)」とは、いまのペルシア(いまのイラン)を意味していることから、ほうれん草はペルシアあたりで発祥したと考えられている。シルクロードを伝わって東洋に広まったほうれん草が「東洋種」。ヨーロッパに広まったのが「西洋種」である。日本ではいずれの品種も販売されているが、最近は2つを掛け合わせた新しいほうれん草も登場している。
2. 栄養について
●栄養
ほうれん草の鉄分量は100gあたり2.0mgである。β-カロテンや鉄分の吸収を促すビタミンCも豊富。ほうれん草を100g食べると一日に必要な鉄分とβ-カロテンの1/3量を摂れる。ビタミンCはビタミンEを一緒に食べるとたくさん吸収できる。そのため、ビタミンEの含有量が多いごまと合わせて、あえ物などにして食べると効果的である。ただ、ビタミンCの含有量は季節によって変わり、夏に比べ冬に収穫されるものは3倍量にもなる。その他、造血に役立つ葉酸などのビタミンB群も多く含まれている。
●非ヘム鉄とは
肉や魚などに含まれる鉄分はヘム鉄であるが、ほうれん草などの野菜に含まれている鉄分は、非ヘム鉄だ。非ヘム鉄とは、野菜や海藻に含まれている鉄分である。非ヘム鉄は鉄分の吸収率が1~6%と低く、またそのままでは吸収されない。ビタミンCや消化酵素と一緒に摂取すると吸収される。ヘム鉄は他のビタミンなどの助けを借りなくても、そのまま吸収できる。従って、肉や魚の鉄分吸収率は高く、10~20%である。つまり、ほうれん草から鉄分を摂りたい時は、他の野菜や果物などいろんな食品を組み合わせたほうが、たっぷり非ヘム鉄を吸収できるのだ。肉とほうれん草を一緒に食べても、ほうれん草の鉄分吸収率は高められる。良質なタンパク質には、鉄分の吸収を促進する力があるためである。
3. 種類と選び方、保存方法
●種類
西ヨーロッパ原産のほうれん草は、ヨーローッパで広まったものと、シルクロードを伝って中国から伝播したものがある。ヨーロッパのほうれん草「西洋種」は葉が丸みを帯びていて、アクが強い。中国から伝わった「東洋種」は葉に尖った切れ込みがあり、アクが少ない。また、西洋種と東洋種などほうれん草を掛け合わせた新しい品種も続々とできていり、その数は数百品種とも言われる。その一つであるサラダほうれん草は、グリーンのものの他、赤軸ほうれん草や赤茎ほうれん草がある。サラダほうれん草は柔らかくアクも少ない。
●選び方
葉に生き生きとした張りがあり、濃い緑色のものがよい。また、根の切り口が太く軸がしっかりしていて弾力性のあるものを選ぶ。
●保存方法
濡らした新聞紙でふんわりくるみ、ビニール袋に入れて野菜室に立てて置く。野菜を保存するには湿度も必要なのだが、野菜から蒸発した余分な水分を新聞紙は吸湿することができるからである。ビニール袋に直接入れると、水滴になってしまう。また、新聞紙に野菜の水分を吸収されないために新聞紙は濡らすのである。
生のまま冷蔵する以外にまとめてゆでて保存する方法もある。小分けにしてラップでくるんで冷凍するか、冷蔵庫で密閉容器に入れて保存する。
生のまま冷蔵する以外にまとめてゆでて保存する方法もある。小分けにしてラップでくるんで冷凍するか、冷蔵庫で密閉容器に入れて保存する。
結論
野菜の中でも鉄分の含有率が高く、貧血予防などに効果のあるほうれん草。それだけでは鉄分をしっかり吸収しにくいので、肉や野菜、果物、胡麻など他の食品をバランスよく食べるとよい。