1. 自然派ワインの基礎知識

定義
自然派ワイン、ビオワイン、オーガニックワイン...。実は現状として、この名を名乗るのに明確な定義はない。欧州最大の有機栽培認証機関であるエコサートのマークをつけているものもあるが、「このマークがあるから自然派ワイン」とは一概に言えない。というのもこのマークは土壌や栽培、収穫、保管、種子管理、商品広告に至るまで設けられた基準をクリアしたものにつけられているのだが、原料となるぶどうが認証されたというだけでワインそのものが認証を受けたわけではないのだ。
どんなものが自然派?
では自然派ワインとはどんなものを指すのだろうか?オリひとでは、ビオディナミ、ビオロジックと呼ばれる有機農法や無農薬で栽培されているぶどうを使用し、自然の法則にのっとった醸造を行なっているワインを自然派ワインと定義し、解説していく。
亜硫酸塩との関係
ワイン、そして自然派ワインを語る上でもうひとつ、キーワードになるのが、亜硫酸塩=H2SO3だ。亜硫酸塩は微生物の活動を抑制し、酸化を防ぐ働きをする。これは、本来ぶどうが発酵する際に自然と出てくるもの。ただ、現在の醸造方法は、古来のそれとは大きく異なり、自然に亜硫酸塩が発生しづらい。そのため、添加されるケースがほとんどだ。すなわち亜硫酸塩の添加が少ない、または無添加であるということは、自然の法則にのっとった醸造を行なっている証拠。これも自然派ワインの定義と言える。
2. ワインの作り方

古い歴史
ワインは、その歴史が極めて古い酒のひとつ。メソポタミア文明時代の文献にはその存在が書かれていると言われている。さらに、エジプト時代の壁画にもワインの壺や圧搾機が描かれている。ワインは歴史の発展とともに進化してきた。
醸造の原理
酒造りの基本は、酵母菌が糖分をエサにして発酵し、アルコールと二酸化炭素を発生させることにある。ワインの原料は、ご存知の通りぶどう。ぶどうはフルーツなので糖分がある。さらに皮には多くの酵母が付着している。そう、ぶどうは酒造りに欠かせない原料をすべて持ち合わせているのだ。潰すことで、酵母菌と糖分が合わさり、発酵、そしてアルコールが発生。その後、ワインとなるのだ。
工業化された醸造
ワインの需要が高まるにつれてその醸造は工業化されていった。多くのぶどうを安定的に生産するため、農薬の使用や品種改良を繰り返した結果、ぶどうの皮の酵母は減少し、古来の製法では発酵が促せなくなった。発酵しないということはアルコールにならないということである。そこで培養酵母を使い、発酵を促すようになったのだ。また、古来の方法では、安定的な味が再現できないことも工業化された要因のひとつだ。自然派ワインは、酵母を加えて作ることは基本的にはない。皮についた酵母を生かして、ワインを作る。ここに両者の大きな差がある。
3. 自然派ワインの楽しむ

ナチュラルな美味しさ
前述の通り、有機農法で栽培されたぶどうを自然の法則に則って醸造する自然派ワイン。無論、その味わいもとてもナチュラル。いうならば、体に染み渡るような飲み口が特徴だ。とろりとしたテクスチャーや濁りも美味しさのうち。ぶどうの味を素直に感じるとも言える。さらにこれは個人的主観だが、飲んだ翌日がとても楽。
ワインは生き物
亜硫酸塩の添加がほぼないワインは、瓶の中で酵母が生きている状態。これは自然派ワインの美味しさの秘訣とも言える。すなわちその状態をキープすることが、美味しく飲むポイント。傷まずにゆっくり熟成させるには、温度管理が重要になるのだ。実際、自宅ではなかなか難しいのも現状。飲む分を信頼できる酒屋からその都度購入するのがベストだ。
味の変化を楽しむ
開栓後、ワインは空気に触れることでその味わいが変化する。さらに酵母の働きにも変化が訪れる。これを防ぐため、瓶内の圧を抜く方法もあるが、この変化も楽しむのが自然派ワインラバーの飲み方。日を重ねるにつれて、味わいが深くなったり、独特の匂いが消えてよりまろやかな飲み口になったり。生きている酵母感を存分に味わえる。
結論
オリひと的自然派ワインの定義をお届けしてきた。ナチュラルな環境で作られたワインは、自然に体に馴染む。ワインというとイタリアンや洋風料理と決めつけがちだが、味わいがナチュラルな分、和食や中華、家庭料理とも合わせやすい。そう、自然派ワインは家飲みに向いているのだ。まずは1本、 信頼できる酒屋を探し、相談しながら買ってみよう。
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