目次
1. にんじんをカレーの隠し味におすすめする理由

カレーに入れるにんじんといえば、乱切りやいちょう切りにして具材とするのが一般的だ。だが実は、隠し味ににんじんを使うこともできる。むしろ、ぜひおすすめしたい隠し味である。
うま味成分がカレーに溶け出す
にんじん100gあたりには、40~80mgほどのグルタミン酸が含まれている。これは、白菜やほうれん草などと同程度の量だ。にんじん1本あたりの重さはおおよそ150〜200g程度なので、60〜160mgほど含まれている計算になる。グルタミン酸とはアミノ酸のひとつで、イノシン酸やグアニル酸と並ぶ「うま味成分」である。すりおろして隠し味にすることでうま味成分がカレーに溶け出し、ぐっと美味しくなるというわけだ(※1・※2)。
甘みも加えられる
にんじんは糖度が高いものも多く、甘みをプラスすることもできる。カレーにうま味と甘み、両方を効率よく加えられるというのが、にんじんを隠し味におすすめする理由である。
栄養がたっぷり摂れる
にんじんは100gあたりβカロテン8600μg、カリウム300mgが含まれるなど栄養豊富だ(※3)。βカロテンには活性酸素の発生を抑えたり取り除いたりする働きがあり、動脈硬化や老化、ガンの予防などに効果があるといわれている(※4)。またカリウムは細胞内液の浸透圧を一定に保つよう調節する働きのほか、ナトリウムを排出する作用がある。塩分の摂り過ぎを調節するうえで重要な役割を持つ栄養素だ(※5)。具材のほか隠し味にもにんじんを入れることで、こうした栄養をたっぷりいただけるのも魅力ではないだろうか?
苦手な方も食べやすい
にんじんをすりおろすと、特有の風味が隠れる。小さな子どもなどにんじんが苦手な方も美味しく食べられるというメリットがある。もちろん、にんじんの風味は消えてもうま味や甘みは感じられる。
ジュースなら時短も可能
にんじんをすりおろすのが面倒という場合は、にんじんジュースを用いるとよい。ただし、その際注意したいのが「にんじんのみのジュース」を選ぶことである。にんじんのほかに果物が入っているジュースを選ぶと、甘みが強くなりすぎることがあるためだ。またにんじんジュースにする場合、その分、水を減らさないととろみが弱くなるので気をつけよう。
2. にんじんをカレーの隠し味にするときのポイント

隠し味としてにんじんを使う場合、いつ、どのタイミングで、どれくらいの量を入れればよいのだろうか?ポイントをまとめたので参考にしてほしい。
入れる量
市販のカレールーに加えるなら2本程度がおすすめだ。ほどよくとろみがつき、にんじんの甘みも感じられる。ほかの隠し味と違い、多少入れ過ぎても味がおかしくなることはまずないというのも、安心できるポイントではないだろうか?
入れるタイミング
隠し味のためにすりおろしたにんじんは、野菜を炒める段階で入れるとよい。にんじんの水分を飛ばすように炒めるのがポイントだ。
3. にんじんの隠し味が合うおすすめカレー

もちろん、ごく一般的なカレーの隠し味としてすりおろしたにんじんを使うのもおすすめだが、どうせならもうひと手間かけてみてはいかがだろうか?
インドカレー
スパイスから作る本格的なインドカレーは、すりおろしたにんじんの隠し味がピッタリ合う。皮つきのまますりおろすと、栄養を余すことなく摂取できる。にんじんのほか、玉ねぎやりんご、にんにく、それにしょうがもすりおろそう。すりおろした野菜に鶏肉を漬け込むと、柔らかく仕上がるのでおすすめだ。
キーマカレー
すりおろしたにんじんをキーマカレーの隠し味として加えると、うま味や甘みを感じられるだけでなく時短にもつながる。ひき肉を入れるタイミングで加え、汁気がなくなるまで炒めよう。
4. 絶品!にんじんが隠し味のカレーの簡単レシピ

インドカレーやキーマカレーは手間だという方のために、基本のカレーですりおろしにんじんを隠し味に使うレシピをひとつ紹介しよう。
材料
- にんじん
- 玉ねぎ
- 肉
- じゃがいも
- カレールー
- 水
- オリーブオイル
分量は人数に応じて調節してほしい。にんじんを隠し味のほか具材としても使いたいときは、多めに用意しよう。オリーブオイルは加熱に向いているエキストラバージンがおすすめだが、なければサラダ油でもよい。
作り方
- 隠し味用のにんじんをすりおろす
- 具材を乱切りや串切りなどにカットする
- 鍋にオリーブオイルをひいて玉ねぎを炒める
- 玉ねぎがしんなりしてきたらほかの具材を入れて炒める
- 隠し味のにんじんのすりおろしを加えて炒める
- 水を加えて煮込む
- じゃがいもに火が通ったら火を止め、ルーを溶かす
- しっかり溶けたらふたをして弱火で煮込んで完成
特別なことといえば、最初ににんじんをすりおろすくらいだ。あとは、いつもの手順で普通にカレーを作ればよい。同じカレールーを使っていても、すりおろしにんじんが入っているかいないかで味わいが変わるはずなので、ぜひ試してみてほしい。
5. にんじんはカレーの隠し味以外にも活用できる

最後に、隠し味以外でカレーににんじんを使う方法も紹介しておこう。
にんじんバターライス
カレーにサフランライスを合わせることもあるが、サフランの代わりにすりおろしにんじんを入れるのもおすすめだ。米2合に対し、にんじん1本の割合を目安にしよう。また水は、にんじんの水分を考慮していつもより少なめにするとよい。
福神漬け
カレーの付け合わせといえば福神漬けを思い浮かべる方も多いだろう。にんじんを厚さ2~3mmのいちょう切りにし、沸騰させた調味液に加えて火を止め、冷めたら冷蔵庫で半日以上寝かせれば完成だ。にんじんが余ったときなどに試してみてはいかがだろうか?
結論
カレーの隠し味に「にんじん」とは意外だったかもしれないが、うま味や甘みを手軽に加えられるのだから、具材だけで使うのはもったいないだろう。いつものカレーをワンランクアップさせたいときはぜひ、すりおろしにんじんの隠し味を試してみてほしい。
(参考文献)
- 1:日本うま味調味料協会「うま味の成分」
https://www.umamikyo.gr.jp/knowledge/ingredient.html - 2:NPO法人 うま味インフォメーションセンター「野菜・豆」
https://www.umamiinfo.jp/richfood/foodstuff/vegetables.html - 3:文部科学省 食品成分データベース「野菜類_(にんじん類)_にんじん_根、皮つき、生 - 一般成分-無機質-ビタミン類-アミノ酸-脂肪酸-炭水化物-有機酸等」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06212_7 - 4:厚生労働省「抗酸化ビタミン _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-008.html - 5:厚生労働省「カリウム _ e-ヘルスネット」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html