1. オートミールとは?
オートミールとは、イネ科カラスムギ属のオーツ麦(燕麦)を加工したシリアル食品のこと。市販品にはいくつか種類があり、蒸したオーツ麦をローラーで伸ばした「ロールドオーツ」、ロールドオーツを細かく砕いた「クイックオーツ」、ロールドオーツを味付けした「インスタントオーツ」などが有名だ。いずれも栄養バランスが優れており、健康志向の高い人たちの間で注目を集めている。
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2. オートミールの基本的な栄養価
一般的に、オートミールは栄養面が優れた食品として知られている。そこで、文部科学省の「日本食品標準成分表」を参考に、オートミール100gあたりの栄養価を確認してみよう。
オートミール100gあたりの栄養価
- エネルギー:350kcal
- たんぱく質:13.7g
- 脂質:5.7g
- 炭水化物:69.1g
- 脂肪酸
・飽和脂肪酸:1.01g
・一価不飽和脂肪酸:1.8g
・多価不飽和脂肪酸:2.09g - ビタミン
・ビタミンA:0μg
・ビタミンD:0μg
・ビタミンE:0.6mg
・ビタミンK:0μg
・ビタミンB1:0.20mg
・ビタミンB2:0.08mg
・ナイアシン:1.1mg
・ビタミンB6:0.11mg
・ビタミンB12:0μg
・葉酸:30μg
・パントテン酸:1.29mg
・ビオチン:22.0μg
・ビタミンC:0mg - ミネラル
・ナトリウム:3mg
・カリウム:260mg
・カルシウム:47mg
・マグネシウム:100mg
・リン:370mg
・鉄:3.9mg
・亜鉛:2.1mg
・銅:0.28mg
・マンガン:-
・ヨウ素:0μg
・セレン:18μg
・クロム:0μg
・モリブデン:110μg - 食物繊維:9.4g
(・水溶性食物繊維:3.2g)
(・不溶性食物繊維:6.4g)
3. オートミールの栄養面の特徴
オートミールにはさまざまな栄養素が含まれるが、特に注目したいのが食物繊維・たんぱく質・ミネラル類の3つ。また、GI値が低いこととグルテン量が少ないことも人気の理由となっている。ここではそんなオートミールの特徴的な栄養素を、ほかの食品とも比較しながら詳しく解説する。
特徴1.食物繊維
食物繊維は「水溶性」と「不溶性」に分けられるが、オートミールはどちらもバランスよく含んでいる。そんな食物繊維にはさまざまな働きがあり、主には整腸作用、血中コレステロールの上昇を抑える作用、食後血糖値の上昇を抑える作用などがある。成人男性(18~64歳)は1日あたり21g以上の食物繊維を摂るのがよいため(※2、3)、オートミールで不足しがちな食物繊維を補うことが可能だ。
【食物繊維が多い主な食品(100gあたり)】
- オートミール:9.4g
- ごぼう(生/根):5.7g
- 板こんにゃく(精粉):2.2g
特徴2.たんぱく質
オートミールは、植物性たんぱく質を多く含んでいることでも有名だ。たんぱく質は体内では筋肉などの材料になるほか、ホルモンや酵素などを正常に保つのに欠かせない。成人男性は1日に50~65gのたんぱく質を摂るとよいため(※2、3)、オートミールでかなりの量を補える。ただし、アミノ酸構成比で見ると、必須アミノ酸の「リジン」と「スレオニン」が少ないので注意が必要だ。
【たんぱく質が多い主な食品(100gあたり)】
- 黄大豆(ゆで):14.8g
- オートミール:13.7g
- 薄力粉:8.3g
特徴3.ミネラル類
オートミールは、現代人が不足しがちなカルシウム・鉄分などのミネラルも多く含んでいる。ミネラルには、身体を作る材料になったり、調子を整えたりする役目がある。また、ミネラル同士で互いに影響を与えあうことからバランスよく摂るほうがよいとされており(※2)、その点でもオートミールは優れているといえる。
【カルシウムが多い主な食品(100gあたり)】
- 普通牛乳:110mg
- ほうれん草(通年/生):49mg
- オートミール:47mg
【鉄分が多い主な食品(100gあたり)】
- 豚レバー:13.0mg
- オートミール:3.9mg
- ほうれん草(通年/生):2.0mg
特徴4.低GI・低グルテン
オートミールは、GI値が低いことやグルテン量が少ないことでも注目を集めている。GI値は食後血糖値の上昇しやすさを表す指標のことで、一般的には低い食品ほど太りにくいといわれている。そんなGI値は「57」であり、ほかの主食(穀物)に比べたら低くなっている。また、小麦粉に含まれるたんぱく質の一種で、近年話題になっている「グルテン量」も少ない。
【主な食品のGI値】
- 食パン:95
- 精白米:88
- オートミール:57
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4. オートミールの栄養を効率よく摂るポイント
前述のとおり、オートミールは食物繊維・たんぱく質・ミネラル類を多く含んでおり栄養面で優れている。しかし、栄養価・栄養面が優れているといっても食べ過ぎはNG。また、ビタミン類など不足している栄養素もある。そこで、オートミールの栄養を効率よく摂るポイントを確認しよう。
ポイント1.1食あたり30~50g程度にする
オートミールは、1食あたり30~50g程度にするのがよい。実は、オートミールのカロリーは100gあたり350kcalと高く、食べ過ぎると肥満やカロリー過多に繋がる恐れがある。食物繊維が豊富で腹持ちがいい食品なので、1回あたりの食事量は30~50g程度にしておこう。
ポイント2.たんぱく質食品を食べる
オートミールはたんぱく質を多く含んでいるが、前述の数値はあくまで100gあたりのもの。そのため、1食分を30~50gに減らすなら、たんぱく質を補うのが重要になる。たんぱく質食品はたくさんあるが、おすすめはオートミールと相性がいい牛乳やヨーグルト、豆乳などととなっている。
ポイント3.野菜やキノコ類を食べる
オートミールは栄養面が優れているが、ビタミン類が少ないことには注意が必要だ。ビタミンB群は多く含んでいるものの、ビタミンA・ビタミンD・ビタミンK・ビタミンCは全く含んでいない。そのため、緑黄色野菜やキノコなどを使った副菜を一品添えるようにするのがおすすめだ。
5. オートミールの栄養面に関するよくある質問
ここまでオートミールの栄養面について詳しく解説してきた。しかし、まだオートミールについて知りたいこともあるだろう。そこで最後にオートミールの栄養面に関するよくある質問に回答する。
Q1.オートミールはいつ食べるのがいい?
特別、オートミールを食べるタイミングは決まっていないが、一般的には「朝食に食べるとよい」とされている。これは、オートミールに食物繊維が多く含まれているため、朝食に食べるとその日の腸の調子がよくなることが関係しているようだ。ただし、夕食・間食・夜食などにオートミールを食べても問題ないということは覚えておこう。
Q2.オートミールを間食・夜食に食べるコツは?
間食(おやつ)や夜食としてオートミールを食べるときには、食べ過ぎに注意しよう。農林水産省の「栄養バランスガイド」によれば(※5)、1日あたりのおやつの量は「200kcal以内」を目安としている。オートミールを30~50g程度食べるなら105kcal~175kcal程度なので問題ないといえるが、食べ過ぎるとカロリーオーバーにつながる可能性もあるため注意が必要だ。
結論
栄養バランスが優れたオートミールは、日々の健康作りのためにもおすすめの食品の一つである。食べ過ぎるとカロリーオーバーに繋がる可能性もあり注意が必要だが、1食30~50gにすればダイエットなどに役立てることも可能だ。もし興味があるならオートミールを上手に食生活に取り入れてみよう。
【参考文献】
- ※1:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
https://fooddb.mext.go.jp/ - ※2:e-ヘルスネット「トップページ」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/ - ※3:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf - ※4:THE UNIVERSITY OF SYDNEY「GI FOODS ADVANDED SEARCH」
http://www.glycemicindex.com/index.php - ※5:農林水産省「料理区分が難しいもの」
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/zissen_navi/use/concept.html
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