1. オートミールとは?
オートミールとは、オーツ麦(燕麦/えんばく)を潰して食べやすくしたシリアル食品。アメリカやイギリスなどでは古くから食べられていたが、日本では「栄養バランスが優れている」「少量でも満腹感が得られる」などの理由から近年注目を集めている。なお、オートミールとは「Oats(オーツ麦)」と「Meal(食事)」を組み合わせた名前である。
2. オートミールの種類には何がある?
オートミールと呼ばれるものには、大きく「加熱調理が必要なもの」と「そのまま食べられるもの」の2種類がある。また、それぞれにいくつかの種類のオートミールがある。市販されている主なオートミールの種類を以下にまとめておくので、購入する際は種類を間違えないようにしよう。
【加熱調理が必要なオートミール】
- スティールカットオーツ:生の麦を割ったもの
- ロールドオーツ:麦を蒸したあとにローラーで伸ばしたもの
【そのままでも食べられるオートミール】
- クイックオーツ:ロールドオーツを細かく砕いたもの
- インスタントオーツ:ロールドオーツを味付けしたもの
3. オートミールの特徴と魅力とは?
日本でオートミールに注目が集まっている理由には、「栄養バランスが優れていること」「少量でも満腹感が得られること」「1食分が低カロリーで済むこと」などが関係している。ここではそんなオートミールの特徴や魅力について確認しておこう。
特徴1.栄養バランスに優れている
オートミールは、栄養バランスに優れた魅力的な食品である。小麦粉や白米のように精白していない全粒穀物であるため、食物繊維・たんぱく質・ビタミン類・ミネラル類といった栄養素を多く含んでいる。そのため、同じ穀物を食べるなら、オートミールのほうが栄養素は偏りにくい。この栄養面の特徴については、後述の「オートミールの栄養価と主な栄養素」でより詳しく解説する。
特徴2.少量でお腹いっぱいになれる
オートミールは食物繊維を多く含んでいるため、1食あたり30g程度で十分な満腹感が得られる。また、オートミール1食分のカロリーは105kcal程度である。そのため、ご飯(1杯:234kcal)や食パン(1枚:149kcal)などよりも1食分のカロリー量が少なくて済む(※1)。これらのことから一般的には「オートミールはダイエットに向いている」といわれている。
特徴3.ほかの穀物よりも糖質量が少ない
オートミールの糖質量は100gあたり59.7gであり、精白米(77.1g)や玄米(71.3g)よりも低糖質である。食品の糖質量が多いと、血糖値を早く下げるためにインスリンが多く分泌される。また、このインスリンには「脂肪合成を促す」という働きがあるため、余ったブドウ糖は脂肪として蓄積されてしまう(※2)。そのため、低糖質のオートミールはほかの穀物より太りにくいとされている。
特徴4.GI値も低めとなっている
シドニー大学の「GI FOODS ADVANDED SEARCH」によれば(※3)、オートミール(ロールドオーツ)の「GI値」は57である。GI値とは食後の血糖値の上がりやすさを表した指標であり、数値が大きいほど食後すぐにインスリンが大量に分泌される。前述のとおりインスリンの分泌量が増えると太りやすくなるが、オートミールのGI値は低めなのでこの観点からも太りにくい食品といえる。
4. オートミールの栄養価と主な栄養素
オートミールは栄養バランスが優れた食品ではあるが、実際にはどのような栄養素を含んでいるのだろうか。ここでは文部科学省の「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」を参考に(※1)、オートミール100gあたりの栄養価と特徴的な栄養素について確認する。
オートミール100gあたりの栄養価
- エネルギー:350kcal
- たんぱく質:13.7g
- 脂質:5.7g
- 炭水化物:69.1g
- 脂肪酸
・飽和脂肪酸:1.01g
・一価不飽和脂肪酸:1.8g
・多価不飽和脂肪酸:2.09g - ビタミン
・ビタミンA:0μg
・ビタミンD:0μg
・ビタミンE:0.6mg
・ビタミンK:0μg
・ビタミンB1:0.2mg
・ビタミンB2:0.08mg
・ナイアシン:1.1mg
・ビタミンB6:0.11mg
・ビタミンB12:0μg
・葉酸:30μg
・パントテン酸:1.29mg
・ビオチン:22μg
・ビタミンC:0mg - ミネラル
・ナトリウム:3mg
・カリウム:260mg
・カルシウム:47mg
・マグネシウム:100mg
・リン:370mg
・鉄:3.9mg
・亜鉛:2.1mg
・銅:0.28mg
・マンガン:0mg
・ヨウ素:0μg
・セレン:18μg
・クロム:0μg
・モリブデン:110μg - 食物繊維:9.4g
(・水溶性食物繊維:3.2g)
(・不溶性食物繊維:6.2g)
食物繊維を豊富に含んでいる
オートミールは、100gあたり9.4gの食物繊維を含んでいる。これは精白米(0.5g)や玄米(3.0g)などよりも多い。食物繊維は腸のぜん動運動を促したり、便のカサを増やしたりする働きがあるため、「第6の栄養素」といわれている。成人男性(18~64歳)の1日あたりの摂取目標量は21g以上であるため(※4)、オートミールを食べることで不足がちな食物繊維を補いやすくなる。
たんぱく質も多く含んでいる
オートミールのたんぱく質は100gあたり13.7gであり、精白米(6.1g)や玄米(6.8g)、コーンフレーク(7.8g)よりも含有量が多い。たんぱく質は身体を動かすためのエネルギー源になったり、筋肉や内臓を作るための材料になったりする(※4)。一般的に「たんぱく質はシリアルで摂りにくい栄養素」とされているが、このようにオートミールなら効率よくたんぱく質を摂取できる。
ミネラル類をバランスよく含んでいる
オートミールは、カリウム・カルシウム・マグネシウム・リン・鉄などのミネラル類をバランスよく含んでいる。また、その含有量は精白米、玄米、コーンフレークなどを上回っているものが多い。例えば、カルシウムは精白米が5mg、玄米が9mgであるのに対し、オートミールは47mg。また、鉄分は精白米が0.8mg、玄米が2.1mgであるのに対し、オートミールは3.9mgと多く含んでいる。
5. オートミールの基本的な食べ方「ポリッジ」とは?
オートミール(ロールドオーツ)は、そのまま食べたり、冷たい牛乳をかけて食べたりすることも可能だが、かたいためあまり美味しくない。そのため、一般的には「ポリッジ」といって、お粥のようにふやかして食べるのが基本である。ここではそんなポリッジの作り方を2種類紹介しておこう。
作り方1.電子レンジで加熱調理する方法
- 深めの耐熱皿にオートミールを30g程度入れる
- オートミールが浸るくらいまで水(牛乳)を加える
- ラップをしてから電子レンジで2~3分程度加熱する
作り方2.鍋で煮込んで柔らかくする方法
- 鍋にオートミールと水を入れる
- 弱火にかけてゆっくりと煮込む
※時々スプーンで鍋をかき混ぜる - 水気が少なくなるまで煮たら完成
6. オートミールの美味しい食べ方・味付け方法
オートミールは、えんばく特有の苦みや雑味もあり食べにくいかもしれない。そんなときには甘みを加えたり、塩気を加えたりして美味しく食べるようにしよう。ここではそれぞれの味付けのポイントを紹介する。以下の味付け方法を参考に美味しくいただこう。
味付け1.甘みをプラスする
甘みをプラスしたいなら、牛乳や豆乳などで煮込むのがおすすめだ。自然な甘みがプラスされて美味しく食べられるようになる。また、ハチミツやドライフルーツなどを加えても美味しく食べられる。その他、そのまま食べられる「クイックオーツ」や「インスタントオーツ」などの場合には、冷たい牛乳を注いでからバナナ・イチゴなどのフルーツをトッピングするのもおすすめだ。
味付け2.塩味をプラスする
塩味をプラスしたいなら、食塩を一つまみ加えるのがおすすめ。または、お茶漬けやお吸い物の素、味噌、インスタントスープなどを活用するのもよい。鍋に水とオートミールを入れて煮込んだら、火を止めてお好みの調味料を加えて味付けしよう。また、和風の味付けにする際は「梅干しと大葉」「桜エビと水菜」などをトッピングすることで、いつもと異なる上品なオートミールを楽しめる。
7. オートミールのおすすめ商品3選
市販のオートミールには数多くの種類があり、それぞれオートミールの種類や特徴が異なる。そこでここでは市販されているオートミールの中から特に人気の商品を3種類紹介しておこう。
おすすめ品1.日本食品製造「日食プレミアムピュアオートミール300g」
日食プレミアムピュアオートミール300gは、老舗シリアルメーカーの日本食品製造が販売している「クイックオーツ」である。すでに加熱加工されているため、そのまま食べることも可能である。また、オーツ麦100%であるため、オートミール本来の味わいを楽しむことができる。内容量も300gであるため、初めてオートミールに挑戦するという人にとってもおすすめのサイズである。
おすすめ品2.クエーカー「オールドファッションオートミール」
オールドファッションオートミールは、アメリカに本社を置くクエーカーオーツが販売している「ロールドオーツ」である。ロールドオーツであるため、オーツ麦本来の風味や食感を楽しむことができる。ただし、そのまま食べても美味しくない可能性があるため、「ポリッジ」などにするのがおすすめだ。また、1パック2.26kgとアメリカンサイズなので購入する際には注意が必要だ。
おすすめ品3.ボブズレッドミル「オーガニック オールドファッションド オートミール」
オーガニック オールドファッションド オートミールは、アメリカのボブズレッドミルが販売している「ロールドオーツ」である。こちらもロールドオーツであるため、オーツ麦本来の風味や食感を楽しめる。また、日本人でも食べやすいと評判になっている。内容量は907 gとやや多いため、オートミール(ロールドオーツ)に慣れてきてから購入してみるとよさそうだ。
8. オートミールでダイエットする際の注意点
オートミールはダイエッターにもおすすめの食品であるが、食べ方を間違えると十分にダイエット効果が得られない可能性もある。そこでオートミールでダイエットする際の注意点も確認しておこう。
注意点1.食べ過ぎると高カロリーになる
オートミールは穀物であるため、100gあたりのカロリーは380kcalと高めになっている。そのため、食べ過ぎてしまうと、かえって高カロリーになってしまう場合がある。一般的に一食分は30gとされているため、食べ過ぎないように注意しよう。
注意点2.オートミール以外の食品も食べる
オートミールは栄養バランスが優れているが、例えば、ビタミンA・D・K・B12などは含まれていない。そのため、オートミールだけを食べるだけでは栄養バランスが偏ってしまう。オートミールを食べつつも、野菜類・キノコ類・海藻類・果物・豆類・乳製品などの食品もバランスよく食べるようにしよう。
9. オートミールに関する疑問・質問に回答!
ここまでオートミール全般について解説してきたが、まだ疑問・質問などもあるだろう。そこでオートミールに関連するよくある疑問・質問に回答しておく。
Q1.オートミールに使われるオーツ麦とは?
オーツ麦とはイネ科カラスムギ属の植物であり、米(イネ)・小麦・トウモロコシなどと同じ穀物の一種である。日本語では「燕麦(えんばく)」と呼ばれており、その名前のとおり殻の形がツバメに似ていることが特徴である。古くは主に家畜の飼料として使われていたが、1870年にアメリカでフレーク化の技術が誕生したのがきっかけで人間も食べるようになったという。
Q2.オートミールとグラノーラの違いとは?
グラノーラとは、オーツ麦やライ麦などをシロップやハチミツといった調味料で味付けしてから、カリカリになるまで焼いて食べやすくしたシリアル食品である。また、商品によってはドライフルーツやナッツ類などが入っていることもある。「オーツ麦を使う」という点ではオートミールとグラノーラは同じだが、材料や味わいなどは異なる。購入する際には間違えないようにしよう。
結論
栄養面が優れていることから、健康志向が高い人たちの間で注目を集めている「オートミール」。そんなオートミールには「加熱調理が必要なもの」「そのまま食べられるもの」などいくつか種類がある。オートミールを美味しく食べるためにも、種類に合わせて正しい方法で調理しよう。また、好みに味付けになるよう、甘みや塩気などもプラスしてみよう。
【参考文献】
- ※1:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
https://fooddb.mext.go.jp/ - ※2:厚生労働省e-ヘルスネット「インスリン」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-011.html - ※3:THE UNIVERSITY OF SYDNEY「GI FOODS ADVANDED SEARCH」
http://www.glycemicindex.com/index.php - ※4:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
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