目次
1. アンチョビとは?

アンチョビ(Anchovy)は、地中海などに生息しているカタクチイワシに似た小魚の総称。また、日本ではカタクチイワシを塩漬けにして発酵させた保存食(塩蔵アンチョビ)を指すことが多い。市販の塩蔵アンチョビには、切り身をそのまま入れた「フィレタイプ」や、ペースト状にした「チューブタイプ」などの種類がある。一般的にはピザ・パスタ・サラダ・バーニャカウダなどに使われる。
オイルサーディンとの違いとは?
アンチョビとオイルサーディンは、いずれもイワシを原材料としているため混同されることも多い。しかし、アンチョビがイワシを塩漬けにしてオリーブオイルとともに缶や瓶に詰めたものであるのに対し、オイルサーディンは「茹でたイワシ」とオリーブオイルを缶や瓶に詰めたものである。塩漬けされたアンチョビと異なり、オイルサーディンはイワシの風味が強く残っているのが特徴だ。
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2. アンチョビの特徴や魅力とは?

イタリア料理などに多く使われているアンチョビには、「塩辛さと発酵食品らしい風味が楽しめること」「たんぱく質やビタミンB群などが多いこと」などの特徴がある。ここでは、そんなアンチョビの特徴や魅力について詳しく紹介する。
その1.塩辛さと風味を楽しめる
塩漬け・発酵させて作るアンチョビは、塩辛さと発酵食品特有の風味が楽しめるのが特徴だ。調味料として使うことで、料理にアクセントや変化を与えることができる。また、細かく刻んだアンチョビとオリーブオイル・塩・パセリパウダーなどを合わせて「アンチョビソース」を作ることも可能。アンチョビソースは、パスタ・サラダ・トーストなどと合わせるのがおすすめだ。
その2..たんぱく質やビタミンB群が多い
アンチョビにはイワシ由来の栄養素が多く含まれる。例えば、100gあたりの数値を見ると、たんぱく質量は24.2g、ビタミンB2は0.31mg、ビタミンB12は14.0μg、カルシウムは150mgとなっている。このように調味料でありながら、栄養素も補えるのが利点となっている。ただし、食塩相当量は13.1gと多いため、食べ過ぎによる塩分過多には注意が必要だ(※1)。
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3. アンチョビを使ったおすすめ料理

アンチョビはイタリア料理などでは定番の食材であり、ピザ・パスタ・サラダ・バーニャカウダなどの味付けに使われることが多い。また、炒め物の味付けに使うのもおすすめだ。ここではそんなアンチョビを使ったおすすめ料理を紹介する。余ったアンチョビを使い切りたい場合にも参考にしよう。
料理1.ピザ
アンチョビは、チーズ・トマト・オリーブ・ガーリックなどと相性がよいため、ピザのトッピングとしてよく使われている。ピザの本場イタリアでは伝統的に使われているほか、日本でもピザのトッピングとしても人気。家で作るときは2~3切れ程度のアンチョビを千切りながら使うようにしよう。
料理2.トマトパスタ
アンチョビはパスタソースにも使われることが多い。特におすすめなのはトマトソースで、トマトの酸味とアンチョビのうま味を堪能することができる。作り方はさまざまだが、簡単なのはオリーブオイルでニンニクを炒めてから、アンチョビとトマト缶を加えて炒めるというものだ。
料理3.キャベツ炒め
アンチョビは炒め物との相性もバツグンによく、キャベツやジャガイモなどさまざまな食材の味付けに使える。例えば、キャベツ炒めの場合は、まずフライパンでアンチョビ・鷹の爪・ニンニク・オリーブオイルを炒める。それからざく切りにしたキャベツを加えて炒めれば、あっという間に完成だ。
4. 市販のおすすめアンチョビ3選

現在はさまざまな食品メーカーからアンチョビが販売されている。その種類は「フィレタイプ」「ロールタイプ」「ペーストタイプ(チューブタイプ)」「アンチョビソース」などさまざまある。ここでは市販の塩蔵アンチョビの中から、特に人気の商品を3種類紹介しておこう。
おすすめ1.トマトコーポレーション「アンチョビ」
「アンチョビ」は、大阪府大阪市にあるトマトコーポレーションが販売しているフィレタイプの塩蔵アンチョビである。1缶あたり35g(固形量18g)と少量サイズになっており、使い勝手のよさとリーズナブルな価格が特徴となっている。ちょっとした料理の隠し味やアクセントなどにもおすすめだ。
おすすめ2.GABAN「フィレアンチョビ」
「フィレアンチョビ」は、調味料メーカーとして有名なギャバンのフィレタイプの塩蔵アンチョビである。ヒシコイワシをオリーブオイルに漬けた商品であり、塩気の強いアンチョビとオリーブオイルが料理の味わいを引き立てる。1缶あたり48gであり、2~3人分の料理を作るのに適している。
おすすめ3.讃陽食品工業「S=O アンチョビーフィレ」
「S=O アンチョビーフィレ」は、瓶詰・缶詰製品の製造・販売などを行っている讃陽食品工業のフィレタイプの塩蔵アンチョビである。カタクチイワシの塩漬けを食用油(ひまわり油)に漬け込んでいる。1缶あたり50g入っており、さまざまな料理に使うことができる。
5. 自家製アンチョビの作り方

アンチョビは一般的なスーパーでも手に入るが、食材さえあれば家で作ることも可能だ。本来はカタクチイワシを使うが、入手しやすいマイワシでも作れる。また、イワシのほかには、食塩とオリーブオイルを用意すれば作れる。これらを準備したら、以下の手順でアンチョビを作ってみよう。
イワシの下処理・さばき方
- イワシを流水で洗いながら鱗を取り除く
- イワシの頭を切り落とし、腹を切り開く
- 内臓を取り除いて、キレイに水洗いする
- 中骨に沿って身を外し、中骨を取り除く
- 腹骨、尾びれ、背びれを切り落とす
- イワシの頭のほうから皮を剥がせば完了
アンチョビの作り方・手順
- フタつき保存容器に食塩を満遍なく振る
- イワシを重ならないように並べる
※(1)~(2)をもう1段分繰り返しす - 2段目のイワシの上に満遍なく塩を振る
- 塩の上から食品用ラップでピッタリとイワシを包む
- フタをして1か月~1か月半ほど冷蔵庫で寝かせる
- 十分寝かせイワシを取り出しキッチンペーパーで拭く
※余っている水分は「ナンプラー」として使える - 清潔なビンにイワシを入れ、オリーブオイルを注げば完成
※自家製アンチョビは冷蔵庫で1か月程度保存できる
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6. アンチョビの正しい保存方法

市販の塩蔵アンチョビは、基本的に瓶詰タイプか缶詰タイプのいずれかである。いずれも開封後は冷蔵保存が基本になるが、瓶詰タイプはそのままフタをして冷蔵庫に入れればよいが、缶詰タイプは開封したら別の保存容器に移してから冷蔵庫に入れる必要がある。また、あまり使わないなら食品用ラップに包んでから冷凍保存するのも可能。アンチョビの保存方法は以下のページで詳しく解説している。
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7. アンチョビの代用品となる食材

もしアンチョビを切らしていたら、ツナ缶・サバ缶・塩辛・オイルサーディンなどの魚介製品を使えば代用できる。ポイントはアンチョビよりも塩気が少ないため、食塩などをプラスして味を調節することだ。以下では、アンチョビの代用になる食材を3種類紹介しておこう。
代用品1.ツナ缶
アンチョビは、油漬けのツナで代用することが可能だ。油漬けの場合はオイル感があるため、食塩をプラスすることでアンチョビのような味わいになる。また、よりアンチョビに似せたいなら、タイ料理の定番調味料である「ナンプラー」を使うのもおすすめだ。食塩の代わりに塩麹を使うのもよい。
代用品2.サバ缶
アンチョビは、サバの水煮缶やサバのオイル漬けで代用することもできる。サバ缶を使うときは、ペースト状になるまでしっかりと刻むこと。また、食塩で塩味をプラスすることだ。アンチョビに比べると風味は弱くなるが、ボリューム感を楽しむことができる。
代用品3.塩辛
塩辛や酒盗などもアンチョビの代わりになる。塩辛は魚介の塩漬けであるため、そのままでもアンチョビのような塩味をプラスすることができる。また、酒盗には発酵の工程もあるため、アンチョビのような風味を楽しめる。もし家にストックがあるなら、アンチョビの代用品として使ってみよう。
結論
強い塩気と特徴的な風味が魅力のアンチョビは、具材や調味料としてさまざまな料理に使うことが可能だ。また、アンチョビを使えば、手軽に上品な料理を作ることができる。一般的なスーパーやネット通販などで入手できるので、もし興味があるなら探してみよう。なお、もし買い忘れなどがあったらツナ缶・サバ缶・塩辛といった魚介製品で代用するのがおすすめだ。
【参考文献】
- ※1:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
https://fooddb.mext.go.jp/
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