1. サルヴァ・クレマスコの特徴

サルヴァ・クレマスコはイタリアチーズの名産地、ロンバルディア州で作られるウォッシュタイプのチーズである。ウォッシュチーズの中でも比較的熟成期間が長く、その証拠に表皮にはさまざまなカビが生えている。外見に反し、生地は白色でほどよい固さのある質感だ。2007年にはD.O.Pを取得しており、その品質は保証済みである。サルヴァ(salvare)とはイタリア語で「保存」などの意味を持っており、地元の農民が春に余った牛乳を有効に活用するために作ったことが由来とされている。
味や香り
長期熟成のチーズのわりには香りや塩味が穏やかで、むしろコクのあるミルクの風味が際立つ。外皮に近いほどねっとりと濃厚な旨みがあるのに対し、中心部はシェーブルチーズ(山羊乳チーズ)のようなもろもろとした食感で、さっぱりとしている。ウォッシュチーズには熟成により中がとろとろになっているものも多いが、サルヴァ・クレマスコはセミハードタイプに近い食感である。全体的に上品な味わいで、ミルクの甘い香りとコクが存分に楽しめる。
ストラッキーノ・クレマスコ
サルヴァ・クレマスコをオイル漬けにしたものを「ストラッキーノ・クレマスコ」という。夏から秋にかけて作られていたサルヴァ・クレマスコを冬でも食べられるようにと開発された。サルヴァ・クレマスコ自体、長期保存を目的として作られていたといわれているが、ストラッキーノ・クレマスコはさらにそのうえを行く保存食だ。さっぱりとしたさわやかな風味のサルヴァ・クレマスコは油との相性もばっちりである。
2. サルヴァ・クレマスコの産地や食べごろ

主な産地
サルヴァ・クレマスコは世界でも有数のチーズの名産地、イタリアのロンバルディア州で誕生した。ミラノやベルガモのほか、ブレーシャ、クレモナ、レッコ、ローディの各県で作られる。同じロンバルディア地方で作られる「タレッジョ」に似ていることでも知られるが、その高さはなんとタレッジョの2倍ほどある。切り分けたものは見分けがつきにくいが、もとのチーズを見れば一目瞭然だ。
食べごろ
サルヴァ・クレマスコは年間を通して販売されるが、もっとも美味しいのは夏から秋にかけてだ。保存食とされていたため熟成期間は長く、最低75日以上とされている。一般的に販売されているのは3~4ヶ月熟成されているものが多く、なかには6~8ヶ月程度熟成しているものもある。熟成が浅いうちは中心部のもろもろとした食感とさっぱりとした風味が際立ち、熟成が進むにつれ、ねっとりと濃厚な味わいが感じられるようになる。どの程度日を置くかは好みによるが、時間が経つにつれて特有の香りも増してくるので、クセの強いチーズが苦手な人は早めに食べるのがよいだろう。
3. サルヴァ・クレマスコの食べ方

サルヴァ・クレマスコの切り方
サルヴァ・クレマスコは一般的なウォッシュチーズとは違い、中の生地もしっかりと形を保っているので、ナイフでカットすることができる。外皮をむき、ホールケーキをカットするときの要領で切り分けるとよい。食感や味の違いを感じるために外側と中心部を別々に食べてもよいが、一緒に食べることで独特のハーモニーが生み出される。
サルヴァ・クレマスコの食べ方
もっともシンプルに味わうにはそのままで食べるのが一番だ。クセが少ないので、初心者にも食べやすい。油との相性がよいので、オリーブオイルを垂らして食べるとなお美味しい。また、サラダやリゾットに入れてもいいだろう。火を通すとさらにミルクのコクと旨みを感じることができるので、焼いたり、炙ったりするのもおすすめだ。
相性のよいワイン
サルヴァ・クレマスコには辛口の白ワインやフルーティーな赤ワインを合わせると、お互いの長所を引き立たせることができる。また、日本酒との相性もよい。
結論
見た目に反して上品な味わいがクセになるサルヴァ・クレマスコについて紹介した。濃厚でコクのある風味は長期熟成のチーズだからこそ出せる味である。ウォッシュタイプのチーズは特有の香りが強く食べづらいものも多いが、サルヴァ・クレマスコはどちらかというとミルクの味が前面に出ているので食べやすい。インターネットでも購入することができるので、ぜひ一度試してみてはいかがだろうか。
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