1. 基本の「マガレイ(真鰈)」とは?
全国的に流通量が多く、一年中手に入るのが「マガレイ」である。そのことから一般的に「カレイ」といえば「マガレイ」を指すことが多い。そこでまずはカレイの基本であるマガレイを確認しよう。
その1.マガレイ(真鰈)
マガレイは体長40~50cmほどで、色味は黒っぽい褐色、見た目は典型的なカレイ型(楕円形)となっている。旬は秋から春にかけてではあるが、一年中流通している家庭用のカレイである。また、水揚量が多くて安価なのが特徴だ。活魚で出回ることが少ないため刺身ではなく、煮付け・塩焼き・唐揚げ・ソテーなどにするのが一般的。その他、干物などに加工したものも多く流通している。
2. 美味しくて手に入りやすいカレイ2種類
一般的に美味しいといわれているカレイには「マコガレイ」と「イシカレイ」の2種類がある。それぞれのカレイの特徴や美味しい食べ方などもチェックしておこう。
その2.マコガレイ(真子鰈)
マコガレイは体長40~50cm・黒褐色・楕円形のカレイであり、マガレイと非常によく似た見た目をしている。日本近海の広い範囲に生息しているが、特に大分県速見郡日出町(ひじまち)で獲れる「城下かれい」というマコガレイが有名だ。一般的に、マコガレイは夏頃が美味しくて旬とされている。活魚は刺身にして食べることもあるが、多くは煮つけ・塩焼き・唐揚げなどにして食べる。
その3.イシガレイ(石鰈)
イシガレイは体長40~50cmのカレイで、体表にある白っぽい斑点と石のような突起物が特徴となっている。活魚の新鮮な身が非常に美味しくて、旬の夏のものは高級魚として高い値段で取引されている。特に旬の活魚をさばいた刺身は美味として知られている。また、塩焼きや唐揚げにして食べることも多い。なお、鮮度が落ちると皮にやや独特な臭みを感じるようになる。
3. 高級魚として有名なカレイ2種類
カレイの中にも希少価値に違いがあり、特に高値で取引されているのが「マツカワガレイ」と「ホシカレイ」などである。なかなかお目にかかれないこの2種類の超高級魚についても確認しておこう。
その4.マツカワガレイ(松皮鰈、松川鰈)
マツカワガレイ(マツカワ)は体長70cmほどになる大型魚で、透き通った黒っぽい見た目をしている。北海道・青森・岩手などで漁獲されている超高級カレイであり、最上の味のよさと漁獲量の少なさから「幻のカレイ」と呼ばれることもある。旬は夏から秋頃で、その時期の刺身はエンガワや肝なども最高に美味しい。また、塩焼き・煮付け・ムニエル・唐揚げにしても格別の味わいを楽しめる。
その5.ホシガレイ(星鰈)
ホシガレイは体長60cmほどになる大型魚で、マツカワガレイと非常に似た見た目をしている。こちらもマツカワガレイ同様希少性が高く、料亭・割烹・寿司店などでしか出会えない超高級魚である。主な産地は宮城県や岩手県などで、夏から冬頃が旬となっている。活魚の刺身は甘みとうま味が強くて最上級の美味しさ。また、塩焼きや煮付けのほか、汁物などにしてもその美味しさを楽しめる。
4. 干物にして美味しいと評判のカレイ2種類
カレイの中には「干物にすると美味しい」といわれているものもある。それが「ムシガレイ」と「ヤナギムシガレイ」の2種類である。そこでこの干物にすると美味しいカレイについても確認しよう。
その6.ムシガレイ(虫鰈、蒸鰈)
ムシガレイは体長30~40cmほどの大きさで、茶褐色の色味をしている長楕円形のカレイである。北海道から長崎県の日本海側に生息しており、主な産地は島根県や長崎県などとなっている。旬は秋から春にかけてで、旬のものは焼き魚な唐揚げなどにすることもある。ただし、基本的には産地で干物にされることが多い。干物の値段は高くて、高級品として取引されることも珍しくない。
その7.ヤナギムシガレイ(柳虫鰈、柳蒸鰈)
ヤナギムシガレイは体長30cmほどの小さめなカレイで、細長い楕円形の見た目をしている。主な産地は島根県・鳥取県・福井などで、島根県産の「笹がれい(干物)」や福井県産の「若狭がれい」などが有名となっている。小ぶりのものは比較的安価だが、秋から冬にかけての大型魚は高値で取引されている。鮮魚として出回ることは少なく、一般的には一夜干しなど干物に加工されることが多い。
5. その他のよく食べられているカレイ3種類
日本では前述したカレイ以外にも、さまざまな種類のカレイが漁獲されている。そこで日本で比較的よく食べられているカレイについても3種類紹介しておこう。
その8.ババガレイ(婆鰈、母鰈)
ババガレイは体長40cm程度で、暗褐色の長楕円形の見た目をしている。北海道や東北地方の太平洋側に多く生息している。秋口から漁獲量が増えはじめて、真子(卵巣)を持った大型魚は高値で取り引きされている。また、真子や白子が非常に美味しく、旬のものを煮つけにして食べるのがおすすめである。活魚は刺身にすることもあるが、焼いたり揚げたりすることも多くなっている。
その9.アサバガレイ(浅場鰈、浅羽鰈)
アサバガレイは体長40cmほどの暗褐色で、卵型の見た目をしている。主な産地は北海道で、日本ではアラスカ産の「シュムシュガレイ」がアサバガレイとして出回ることもある。美味しいが他のカレイに比べるとうま味が少ないため、値段は比較的安めとなっている。旬は秋頃から春先であり、産卵期を迎えたものは特に美味しい。煮付け・ソテー・塩焼きなどにして食べることが一般的である。
その10.メイタガレイ(目痛鰈、目板鰈)
メイタガレイは体長30cmほどのカレイで、身体は菱形、色味は赤褐色(灰色)となっている。東北地方沿岸から九州地方まで幅広く生息しているが、特に近畿地方・四国地方・九州地方など西日本で好まれる。非常に美味しいが皮に独特な臭みがあり、好みが分かれるといわれている。活魚は刺身や洗いにして食べられることが多いが、煮付け・フライ・潮汁などで食べられることもある。
結論
カレイには数多くの種類があり、その種類によって流通量や希少価値などが大きく異なる。ただ、比較的入手しやすいマガレイ・マコガレイなどであっても非常に美味しい。もしいろいろなカレイの種類を食べる機会があったら、その味や食感を比べてみるのもよさそうだ。
【参考文献】
- ※:全国漁業協同組合連合会「カレイ食ばなし」
http://www.jf-net.ne.jp/jf-net/syun/sakana/karei/karei_top.html - ※:日本水産資源保護協会「わが国の水産業 ひらめ・かれい」
http://www.fish-jfrca.jp/02/pdf/pamphlet/062.pdf