1. ショームチーズの特徴

ショームチーズとは、フランスの南西部バスク・ベアルヌ地方にある有名なチーズメーカー「ショーム社」を代表するウォッシュタイプのチーズである。ショーム社は羊の乳を使ったチーズやハードタイプのチーズも作っているが、看板商品となっているのがウォッシュタイプのショームチーズだ。
ショーム社のあるバスク・ベアルヌ地方は、スペインに隣接し地中海から大西洋までの約400kmはピレネー山脈によって仕切られている。そのためスペインの影響を受けながらも、バスク料理など独自の食文化が見られる地域である。険しい山に囲まれているため、かつては羊の放牧が盛んで、その羊の乳を原料とするチーズ「オッソ・イラティ」が有名である。
ウォッシュタイプのチーズの中には、酒などで洗うことでにおいが強いものがあるが、ショームチーズは塩水で洗って作られるため比較的においは少ない。強烈なにおいのチーズとして映画にも登場したリンバーガーと同じく、人間の体臭の原因といわれるリンネス菌を使っていることから、やや独特のにおいがあるが、味は意外にマイルドである。また、ショームチーズの外観は、鮮やかなオレンジ色をしており、中はねっとりとしていてなめらかな食感が特徴である。クリーミーな味も穏やかで初心者にもおすすめのチーズである。
2. ショームチーズの製法
フランスには、昔ながらの製法や伝統を守って作られているチーズが多くあるが、ショームはほかの国のチーズをお手本に作られたという、フランスとしては珍しいチーズである。最近では、ショームのような新しいチーズも毎年のように登場しているが、これらの新しいチーズの特徴としては、熟成するために使う菌や製法がひとつではなく、ほかの伝統的なチーズのよいところをいくつも組み合わせて取り入れていることにある。
ショームチーズも、ベルギー原産のリンバーガーを手本としているため、チーズの表面を洗うウォッシュタイプのチーズの製法でありながらも、セミハードタイプの製法も組み合わせて作られている。また、熟成に使われるバクテリアもリンバーガーの強烈なにおいの原因とされるリンネス菌以外に、複数のバクテリアを培養して使用している。
ショームチーズのベースとなっているチーズは、白カビタイプのチーズで有名なカマンベールである。そのカマンベールの表面を「βカロテン」で洗っているため、表面は鮮やかなオレンジ色をしているが、中はカマンベールのような淡いクリーム色である。
3. ショームチーズの楽しみ方

ショームチーズは、そのままカットしても美味しく食べることができるが、熱を加えることによって、さらに旨みを引き出すことができる。そのため、薄くカットしたらパンにのせてトーストするのがおすすめである。さらにオリーブオイルやブラックペッパーなどをかければ、酒のつまみとしてもよく合う。
ショームチーズは、ウォッシュタイプとしてはにおいが軽く食べやすいチーズではあるが、それでも熟成が進むと独特のにおいを強く感じる。そのにおいは熱を加えることで穏やかになるので、においが強いチーズが苦手な人には加熱して食べることをおすすめする。ワインに合わせる際には、軽めでフルーティーな赤ワインがよく合う。
結論
フランスには伝統的な製法を守り続けるチーズが多くある中で、ショームチーズはベルギー原産のリンバーガーを手本にして作られる、珍しいチーズである。リンバーガーと同じリンネス菌を使って熟成させているが、ほかの菌も使うことでマイルドな味と香りになっている。リンバーガーは日本で入手するのが困難なため、興味がある人は、代わりにショームチーズを試してみてはどうだろうか。
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