1. リヴァロチーズの原産地と歴史

リヴァロチーズは、フランス北部のノルマンディー地方に位置するリヴァロ村で作られているウォッシュタイプのチーズだ。ノルマンディー地方は、チーズ王国として名高い地域で、「ノルマンディー三大チーズ」と呼ばれる「カマンベール」や「ポン・レヴェック」の産地でもあり、オルヌ県アルジャンタン郡の人口200人ほどの小さな村、カマンベール村からペイ・ドージュ地区中心のリヴァロ村、リジューとドーヴィルの間のポン・レヴェック村へと連なる道は「チーズの散歩道」と呼ばれている。
3つの村があるノルマンディー地方のペイ・ド・オージュ地区は、気象条件に恵まれ土地も肥よくなことから、牧草が豊かに育つ地域である。そのため牧畜が盛んで、良質な牛乳が多く生産され、古くからチーズ作りも行われている。
リヴァロチーズは、12世紀に修道院で作り始めたと記録が残っており、ノルマンディー地方で作られるチーズの中では最も歴史が古いチーズといわれている。AOC(原産地名称統制制度)に認定されたのは1975年である。1880年代には年間2,200tも生産されていたが、現在の生産量は1,300tほどで、5つの生産組合によって作られている。
2. リヴァロチーズの特徴

長時間熟成されるリヴァロチーズは、型崩れを防ぐためにレーシュ(葦の一種)の葉を使い、円筒形のチーズの側面を5周巻いている。その5本線が、フランス将校の軍帽の階級を表す帯に似ていたことからコロネル(colonel:大佐)という別名を持っている。かつては、型崩れ防止のために巻かれていたレーシュであるが、現在は装飾的な意味合いが大きくなり、紙テープで代用されることも多い。
帯以外のリヴァロチーズの特徴は、チーズの表面がオレンジ色をしており、ウォッシュタイプのチーズの特有の強いにおいである。そのにおいは、有名なグルメ漫画「美味しんぼ」にも登場していて、あまりの臭さに登場人物がひっくりかえるシーンが描かれているほどである。古漬けやクサヤのにおいにもたとえられるようであるが、味はクリーミーで、ミルクを濃縮したような非常に豊かなコクを味わうことができる。
3. リヴァロチーズの楽しみ方

リヴァロチーズの食べごろは、製造から5~6週間経ったころで、それ以上熟成が進むと苦みが強くなる。リヴァロチーズは、強いにおいが特徴であるため、においが気になる人は製造日からあまり日にちが経っていない若いものを選ぶとよい。それでも気になる場合には、チーズの表皮を取り除いて食べるとよい。
熟成が進んだウォッシュタイプのチーズの食べ方として一般的なのは、スプーンを使ってクリーミーな中身をそのまますくって食べる方法であるが、リヴァロチーズの場合には、無塩バターに混ぜてパンやクラッカーに塗って食べたり、リンゴやチコリなどフルーツや野菜に合わせても美味しく楽しめる。
一緒に合わせて酒を楽しむ場合には、リヴァロチーズの強い個性に負けないようなフルボディーの赤ワインや、同じノルマンディー地方の特産であるリンゴで作ったブランデー「カルヴァドス」との相性がよい。
結論
リヴァロチーズは、カマンベール、ポン・レヴェックと合わせてノルマンディーの三大チーズと呼ばれるウォッシュタイプのチーズである。ノルマンディーでは最も歴史が古いチーズで、型崩れ防止に側面に巻かれた5本の帯が、軍帽の帯に似ていることから大佐という愛称で親しまれている。独特の強いにおいが特徴であるが、非常にクリーミーで濃厚なコクが楽しめる。ウォッシュタイプのチーズが好きな人にはぜひ試してみてもらいたい。
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