1. 【ピコドンチーズ】とは?

チーズの種類は非常に多く、製法によって分類されることが多い。熟成中に白カビをつければ白カビチーズ、青カビをつければ青カビチーズなど製法で区別するだけでも数種類ある。しかしピコドンチーズが属するシェーブルチーズは、製法によって区別された分類ではなく、山羊の乳から作られたチーズの総称である。なぜシェーブルチーズだけ原材料で区別されているのかというと、山羊の乳の性質による。同じくチーズの原材料に使われる牛や羊の乳よりも固まりにくいのだ。そのため、製法自体は同じだが小ぶりなチーズしかできないという特徴をもつ。
・ピコドンチーズの特徴
名前の響きがかわいらしいピコドンチーズだが、その名前はフランス語で辛いという意味をもつ「ピカン」に由来しているそうだ。日本人にとってチーズが辛いというのは想像しにくいが、山羊の乳から作られたチーズはしっかり熟成させるとスパイシーな味わいとなる。つまりピコドンチーズはしっかり熟成されたチーズだということだ。しかし辛みだけがピコドンチーズの持ち味ではない。熟成させていない、または熟成期間の短いピコドンチーズは辛みがなく、ほっくりとした甘みを味わうことができる。熟成度に合わせて変化する味わいを楽しめるのもピコドンチーズの特徴だ。ピコドンチーズはフランスの南東に位置するローヌ・アルプ地方で作られるチーズで、伝統に作られてきた背景から一部の食品しか取得できないA.O.Pという品質保証の証を取得している。
2. ピコドンチーズができるまで

多種多様のチーズがあるが製造方法は基本的に同じで、チーズの原料が牛の乳であろうと山羊の乳であろうと、まずは乳に含まれるたんぱく質を固めることから始まる。そのままでは固まらないため、乳に乳酸菌とレンネットという酵素の2つを加える。乳酸菌とレンネットを加えて時間を置くとチーズの素となるたんぱく質の集合体である凝乳と、たんぱく質が除かれた液体部分である乳清(ホエー)に分離する。凝乳の部分だけを集めて型に入れる。チーズによって使われる型は異なるが、ピコドンチーズは固まる力が弱いため大きい型で作ってしまうと、型から取り出す際にチーズの形が崩れてしまう。そのため直径7cmほどの小さな型が使われる。しっかり固まったら型から取り出して熟成させるのだが、ピコドンチーズはフレッシュチーズのように熟成させなくても食べることができるので、熟成させないタイプのピコドンチーズであればこれで完成だ。熟成させる場合は、ここからさらに倉庫などでピコドンチーズを保管し熟成させる。ピコドンチーズはカビつけを行わないが熟成の過程で自然にカビがつく。
・ピコドンチーズの食べごろ
ピコドンチーズの熟成具合にもよるが、春から秋にかけてが食べごろである。熟成をさせないタイプのピコドンチーズであれば、乳を搾ってから実際に食べられるまでの期間が短いため、山羊の乳が搾れる間は食べることができる。また熟成させるタイプでも1ヶ月ほどで熟成が終わる。
3. ピコドンチーズの食べ方

小ぶりなピコドンチーズだが、食べる際はぜひカッティングしてほしい。見栄えがよくなるだけでなく、バランスよく味わえるというメリットがあるからだ。チーズを切ったときの断面を見てもらえば分かると思うが、チーズの熟成は外側から始まるため、外側と内側では熟成具合が異なり、色合いや質感も大きく異なる。外側の部分だけ、内側の部分だけといったような食べ方をしては、ピコドンチーズを堪能したとはいえない。おすすめは中心から放射線状にカットすることだ。放射線状にすることで、何切れ食べても同じ味わいを楽しめる。
・ピコドンチーズのおすすめの食べ方
そのままでもスパイシーな味がやみつきになるピコドンチーズだが、トッピングに使うのもおすすめだ。サラダにトッピングすれば、ピコドンチーズのスパイシーな味がアクセントとなり、いつものサラダも特別になるだろう。また、熟成度の異なるピコドンチーズを食べ比べてもおもしろい。ほっこりとした甘みのピコドンチーズとスパイシーなピコドンチーズを食べ比べたら、同じピコドンチーズとは思えないだろう。
・ワインと組み合わせる
チーズの一大産地であるフランスは、ワインの一大産地でもある。そのためチーズとワインをともに楽しむことが多い。チーズとワインの組み合わせを考えるのは難しいが、同じ産地のものを選ぶと間違いない。ピコドンチーズの場合は、ローヌ・アルプ地方のワインを組み合わせるとよい。またピコドンチーズの味わいを相殺してしまわないよう、白ワインを選ぶようにしよう。
結論
日本人にとっては意外性のある、スパイシーな味わいのピコドンチーズ。熟成具合が低ければほっこりとした甘みのあるチーズとなり、いろいろな楽しみ方ができる。見た目も小ぶりでかわいらしいため、チーズ好きならば一度は手に取っておきたい。
この記事もCheck!
- チーズタッカルビは美味しい・低カロリー・高栄養価だった!?
- 【チーズ】の奥深い世界。チーズにまつわる豆知識いくつ知ってる?
- ぶどう色が美しいスペインチーズ【ケソ・デ・ムルシア・アル・ビノ】
- 意外と簡単!?チーズタッカルビの作り方のポイント
- 真っ黒がポイント!?注目の【バスクチーズケーキ】の基礎知識
- ティラミスでお馴染みのチーズ【マスカルポーネチーズ】とは
- 入手困難?幻のチーズ【ブッラータ】ってどんなチーズ?
- 【ラクレットチーズ】の魅力とは?トロ~リ溶けた姿が食欲をそそる
- 【パルミジャーノ・レッジャーノ】ってどんなチーズ?特徴を解説
- 水牛乳製ウォッシュチーズ【クアドレッロ・ディ・ブーファラ】とは?