目次
1. 重曹とは?

そもそも重曹とはどんな物質なのか、まずは基本的なところから解説していこう。
重曹は天然由来の物質
重曹はヒトの体内にも存在するといわれている天然由来の物質で、ふくらし粉として使われるものもある。ヒトにも環境にも優しい物質として、ナチュラルクリーニングには欠かせないアイテムのひとつになっている。
酸性の汚れを中和してくれる
弱アルカリ性であり、油汚れなど酸性の成分を中和し落としやすくする効果がある。すなわち衣類につく皮脂や汗、食べカスなど酸性の汚れを落としやすくする効果があるというわけだ。ところで洗濯機に溜まる汚れとは何だろうか?この場合の洗濯機とはつまり「洗濯槽」のことである。洗濯槽には洗剤の溶け残りや衣類に付いていた皮脂汚れなどが溜まっていき、やがてこれらをエサに雑菌や黒カビなどが繁殖する。汚れや雑菌、黒カビなどがひどくなれば洗濯物に移り、イヤなにおいの原因になることもある。
口に入っても安心
重曹はヒトの体内にも存在するほか、ふくらし粉として料理に使う種類があることからも分かるように、口に入っても安心である。洗濯機掃除に強力な洗剤を使うのに抵抗がある方もいるだろう。その点、重曹は洗剤と比べ洗浄力は劣るものの人体には影響がないという利点がある。子どもがいるご家庭で安心して使えるのもメリットだろう。それに洗剤は排水により少なからず環境に悪影響を及ぼすが、重曹は環境に影響を与えない。こうしたことが、重曹が洗濯機掃除に向いているといわれる理由だろう。
2. 重曹で洗濯機を掃除する方法

それでは重曹を使った洗濯機の掃除方法を紹介する。掃除を始める前に洗濯機に付いている糸くずネットは外しておこう。汚れが大量に浮いてきた場合、すぐに満杯になってしまうおそれがあるためだ。
1.洗濯機にお湯を溜める
水でもよいが重曹の洗浄力を高めるには40℃以上のお湯を使おう。できれば45〜50℃あたりが理想だ。なおお湯は高水位まで注ぐことを忘れないようにしよう。
2.重曹を入れて洗濯機を回す
お湯が溜まったら重曹を1カップ入れて「洗い」モードで運転する。5分ほど回したら「一時停止」を押していったん止め、そのまま5〜6時間放置しておこう。夜に準備をして翌朝まで放っておいてもよい。
3.浮いてきた汚れをすくい取る
重曹水が洗濯機の裏側まで行き渡り、カビや汚れを浮かび上がらせる。水の上に小さなわかめのような汚れが浮いてくるので、ごみ取りネットを使ってすくい取ろう。
4.2〜3回洗濯機を回す
汚れをすくい取ったら、再び「洗い」モードで洗濯機を5分ほど回転させる。また汚れが浮いてくるので「一時停止」をして取り除く。これを、汚れが浮いてこなくなるまで何度か繰り返そう。
5.お湯を換えて標準モードで回す
汚れが浮いてこなくなったら一度「排水」をし、新しいお湯を溜める。あとは「標準」モードで1サイクル回し脱水まで終われば完了だ。なお標準モードで回す際、不要なタオルなどがあれば一緒に入れよう。小さなごみを絡め取ることができる。
3. 重曹とクエン酸で強力に洗濯機掃除ができる

しばらく掃除をしていなかった洗濯機はクエン酸を加えてみよう。重曹とクエン酸を組み合わせると化学反応が起こり、頑固な汚れが浮きやすくなる。基本的な掃除方法は上記と同じだ。まずは糸くずネットを外し、洗濯機に45〜50℃のお湯を高水位まで注いでおこう。
1.重曹とクエン酸を入れる
重曹300g、クエン酸100gを投入して「洗い」で5分ほど回す。「一時停止」でいったん止めて数時間もしくはひと晩つけおきをする。
2.ごみ取りと撹拌を繰り返す
浮いてきたごみを取り、再度「洗い」で5分ほど回す。この工程を、汚れが浮いてこなくなるまで繰り返そう。キレイになったら排水して新しいお湯を溜め「標準」コースで1サイクル回せば完了だ。
クエン酸の代わりに酢でもよい
クエン酸が手元にない場合は、代わりに酢を使ってもよい。酢はクエン酸と同じ酸性なので代用できる。洗濯槽にお湯を溜めたら重曹と酢をそれぞれ1カップずつ入れる。あとはクエン酸のときと同じ手順で行えばOKだ。
4. ただし!洗濯機掃除に重曹をおすすめしない考え方もある

重曹やクエン酸を使った洗濯機掃除について解説してきたが、実は重曹をおすすめしないという考え方もある。その理由について解説しよう。
雑菌や頑固な黒カビまではキレイに落とせない
上述のように重曹は皮脂汚れなど「軽度な酸性の汚れ」を落とすには効果が期待できる。しかし洗濯槽にこびりついた雑菌や黒カビといった汚れを落とす効果はほとんど期待できない。そもそもヒトの体内にも存在し、口に入れても安心とされる天然由来の物質に黒カビを一掃できるほど強い洗浄力があるとは考えにくい。
洗濯機が詰まるおそれがある
重曹は水に溶けにくいうえ、洗濯機を掃除するとなれば大量に必要となる。たとえば洗濯槽に付着している皮脂汚れを落とすとしよう。皮脂汚れは酸性なので重曹が向いている。だが洗濯槽のサイズにもよるが、200gや500g、1kgなどかなりの量の重曹が必要になるだろう。これだけでも溶け残りが生じ、排水パイプなどが目詰まりを起こしてしまうおそれがある。こうしたことからも洗濯機、とりわけ洗濯槽の掃除には重曹を使わないほうがよいとする考え方があるのだ。
5. では、重曹を洗濯機掃除に使うとしたら?

たしかに重曹を洗濯機掃除に使うのは心配だ、という方もいるかもしれない。それでも重曹を洗濯機掃除に使うとしたら、洗濯槽ではなく外側の操作パネルなど、皮脂汚れが付着しそうな部分の掃除程度にとどめよう。やり方をお伝えするので参考にしてほしい。
用意するもの
- 空のスプレーボトル
- 重曹
- キレイな雑巾3枚
- ゴム手袋
以上をそろえたら、スプレーボトルに水100mlにつき小さじ1杯程度の重曹を加えて溶かしておこう。
掃除の方法
- キレイな雑巾に重曹水をスプレーして含ませる
- 皮脂汚れが気になる操作パネル部分などを拭き掃除する
- 別の雑巾を水に濡らして固く絞り、水拭きをする
- 3枚目の雑巾で乾拭きをして完了
重曹が残らないよう、水拭きをしっかりしておくことが大切だ。
6. 重曹以外の洗剤で洗濯機掃除をする方法

ここからは、洗濯機は重曹ではなく何で掃除すればよいのかについて解説していく。まずは酸素系漂白剤を使った方法から見ていこう。
用意するもの
- 粉末の酸素系漂白剤
- ごみ取りネット
以上をそろえよう。酸素系漂白剤も重曹と同じようにナチュラルクリーニングに欠かせないアイテムで、漂白や消臭、除菌といった作用がある。塩素系のようなツンとし刺激臭がないのも特徴だ。たとえばシャボン玉石けんの「過炭酸ナトリウム 酸素系 漂白剤」といった商品がある。
洗濯機掃除の方法
- 洗濯機に付いている糸くずフィルターを外す
- 洗濯機の電源を入れ、30〜50℃のお湯を満水位置まで注ぐ
- お湯10Lにつき50gの酸素系漂白剤を加える
- 洗濯機の運転ボタンを押し、1〜2分程度「洗い」をする
- 一時停止ボタンを押し、2〜3時間放置する
- 洗濯機のふたを開け、浮いている汚れをごみ取りネットで取る
- ふたたび運転ボタンを押し、最後まで完了させる
- 「すすぎ」の意味で、洗濯物を入れずに洗濯機を1サイクル回す
以上が酸素系漂白剤を使った洗濯機掃除の手順だ。ただしドラム式洗濯機は途中でドアを開けられないため、この方法は使えない。後述する洗浄剤を使って掃除をしよう。またしばらく洗濯槽を掃除していない、あるいは初めて掃除をするという場合、汚れがこびりついているおそれがあるので、半日やひと晩など長めに放置するとよい。
7. 洗濯機にこびりついた雑菌や黒カビの掃除方法

一見キレイそうな洗濯槽も、裏側(目に見えない部分)には雑菌や黒カビがびっしりこびりついていることが多い。より強力に洗浄するのであれば、酸素系漂白剤ではなく塩素系の洗浄剤を使うのがおすすめだ。ドラム式洗濯機の洗濯槽を掃除する際もこの方法がよいだろう。
用意するもの
洗濯槽用の塩素系液体洗浄剤(洗たく槽カビキラーなど)があれば十分だ。ただし商品によって使い方が異なる場合がある。中にはごみ取りネットが必要なものもあるため、商品の使用方法を確認して必要に応じてアイテムをそろえよう。
洗濯機掃除の方法
- 洗濯機の電源を入れ、洗浄剤を全量投入する
- 高水位まで注水する
- 標準コースで1サイクル回す
液体洗浄剤の場合、投入したらあとは運転ボタンを押して放置するだけというものが多い。汚れがひどい場合は、運転ボタンを押す前に3時間ほど浸け置きするとより効果的だ。なおパッケージにも書かれているはずだが、塩素系の洗浄剤は酸性のアイテムと混ざると有害なガスが発生して危険だ。必ず単独で使用することと、換気をしながら作業に当たることを心がけよう。
8. 洗濯機掃除におすすめの重曹以外のアイテム3選

最後に、洗濯機(洗濯槽)掃除におすすめのアイテムを紹介しよう。
NICHIGA(ニチガ)「酸素系漂白剤」
洗濯槽の黒カビのほか、台所用品やつけおき漂白などもできる便利なアイテムだ。3kgなど大容量のものもありコスパにも優れている。
シャボン玉石けん「洗たく槽クリーナー」
酸素系の洗濯槽クリーナーだ。重曹や無添加粉石鹸なども含まれており、それぞれが作用して汚れを落としてくれる。ただしドラム式洗濯機には使えないので気をつけよう。
SCジョンソン「洗たく槽 カビキラー」
縦型・ドラム式いずれにも使える液体の洗濯槽クリーナーがこちら。塩素系の強力なパワーで黒カビなどの汚れを落としてくれる。
結論
洗濯機、とりわけ洗濯槽には汚れが蓄積されていく。雑菌や黒カビが繁殖すれば衣類のイヤなにおいの原因にもなるし、なにより気持ちのよいものではない。頑固にこびりついた汚れをゴッソリ落とすには、重曹よりも酸素系漂白剤や洗濯槽クリーナーを使うことをおすすめする。